時計の実力は、触れて、眺めて、試着しないとわからない。そこで4人の時計愛好家を招いて、注目の新作モデルを中心に品評会を開催! 相応の知識と経験を積んできただけに、まなざしは真剣そのもの。実際に購入する気でチェックし、大いに語り合った。
本気買いモードの愛好家が集まった!
小ぶりで薄く、端正な時計を好む。この日はアンティークのカルティエ「タンク ノルマル」を着用。GSなど日本の時計にも興味あり。
アンティークから新作まで幅広く好み、先日ついに念願のロレックスのヴィンテージクロノグラフを購入。時計欲は誰よりも旺盛!
朝日新聞社随一の服&時計好きで知られ、スイスでの時計フェア取材も行う。最近はパルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF」を愛用。
アンティークウォッチの愛好家で、当日は古いジャガー・ルクルト「レベルソ」を着用。現行の時計も出会いによっては検討したい。
PATEK PHILIPPE|年次カレンダー 5396
ムーブメント:自動巻き
ケース素材:18KWG
ケース径:38.5㎜
価格:¥10,060,000
家族経営を守り抜く名門。2月末に修正すれば年間を通じて使える年次カレンダーを搭載し、月の満ち欠けを示すムーンフェイズも収まる。インデックスはバゲットカットのダイヤモンドで、ブルーのダイヤルと美しい対比をつくる。
「構成要素が多いのに、圧倒的な美しさ。控えめなダイヤモンドも好き」(尾崎)
「確かに高価な時計ですが、納得させるだけのクオリティです。王道のデザインで、やっぱりいい。感覚が麻痺しているかもしれないけど、1000万円超という価格は高くないと思えます」(後藤)
BREGUET|クラシック 7147
ムーブメント:自動巻き
ケース素材:18KRG
ケース径:40㎜
価格:¥3,729,000
天才時計師ブレゲが1775年にパリで創業。彼が残したデザインや機能を継承した、クラシックでエレガントな時計が得意。このモデルは、職人が手仕事で焼き上げるグラン・フー エナメルのフェイスが特徴。ガラス質特有の深い光沢感は息をのむほど美しく、ブルースティール針もまた、大変美しい。
「光沢のある美しいダイヤルとゴールドの合わせが上品です」(水澗)
「グラン・フー エナメルならではといえるスモールセコンドのくぼみ。とても美しいですね」(尾崎)
「これぞザ・クラシック! シンプルなのに程よく主張もある。絶妙なバランスが見事すぎます」(西野)
A. LANGE & SÖHNE|ランゲ1
ムーブメント:手巻き
ケース素材:18KWG
ケース径:38.5㎜
価格:¥6,105,000
1845年に創業し、冷戦による中断を経て1990年に復興したドイツの名門。このモデルは復興第一弾として’94年に誕生し、それ以来スタイルを変えることなく30年も継承される傑作。時刻をオフセットし、余白にスモールセコンドなどの表示を配置。個性的なデザインだが、視認性を高めた機能美ウォッチだ。
「物として美しすぎる。スーツスタイルに合わせたい」(尾崎)
「ランゲ1といえば、誰がどう見ても、いい時計でしょう!」(後藤)
「30年前にこんな時計が生まれていたと思うと、あらためてすごいことですよね。デザインがとにかく秀逸で38.5mmというのがうれしい」(水澗)
VACHERON CONSTANTIN|フィフティーシックス・オートマティック
ムーブメント:自動巻き
ケース素材:18KPG
ケース径:40㎜
価格:¥3,784,000
現存するジュネーブ最古の時計ブランドで、創業は1755年。ボックス型の風防やセクターダイヤルといった1950年代のスタイルを現代的にアレンジ。ピンクゴールドとブラックダイヤルの組み合わせは艶っぽいが、ストラップをヌバック革にすることで程よくカジュアルに。バランスよく仕上がっている。
「セクターダイヤル好きにはたまらない魅力があります」(後藤)
「ブラック×ピンクゴールドの時計にチャコールグレーのヌバックストラップは、かなりしゃれてる!」(尾崎)
「上品さとかわいらしさが融合している。カジュアルにもドレッシーにもつけられそうな時計ですよね」(西野)
AUDEMARS PIGUET|CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
ムーブメント:自動巻き
ケース素材:SS×ブラックセラミック
ケース径:41㎜
価格:¥4,125,000
スイスの山深い街ル・ブラッシュにて1875年に創業したオーデマ ピゲ。名門だが前衛的な時計作りを得意とし、このモデルでは八角形のミドルケースを挟み込む三層構造やグラデーションダイヤルで大胆な個性を演出。ストラップはカジュアルなので、オールマイティに使える。
「老舗ブランドですが新しさを感じるデザインです。ケースデザインが独特ですが、ミドルケースをブラックセラミックにするというコンビ使いがカッコいいと思います」(水澗)
「文字盤のデザインが好みです。一本持っておきたい変化球モデルですね」(西野)
高価でもその価値があるいつか手にしたい名品たち
――時計品評会のスタートは、誰もが憧れる「5大ブランド」。スイス、フランス、ドイツの時計文化を継承する存在だ。
尾崎 このブランドたちには、いつもワクワクさせられますよね。
水澗 パテック フィリップは、ダイヤモンド製のインデックスが上品。いやらしさもなくて、さりげない表現だなと。
西野 パテック好きとしてはたまらない時計ですよ。針の先まで美しい。
後藤 僕らも結局は、王道が好きなんですよね。王道といえばブレゲもきれい。スモールセコンドが絶妙な位置で、そのバランスも素晴らしい。
水澗 光沢の美しいグラン・フー エナメルのダイヤルとゴールドのコンビが上品ですよね。個人的には、40㎜あるケースがもう少し小ぶりだったらさらにうれしい。
尾崎 サイズのバランスならA.ランゲ&ゾーネがいいです。ケース径は38.5㎜と小ぶりで、厚さも9.8㎜と控えめですし。
西野 超高級時計なのに、カレンダー表示(アウトサイズデイト)が大きくて、針がオフセンターで配置されているなど、個性があるところもたまりません。
尾崎 個性ならオーデマ ピゲも負けてはいない。さすがともいえる過多なデザインは、ストリート系のスタイルにさりげなく取り入れたらおしゃれだと思う。
後藤 横からの見た目が素晴らしいですし、つけ心地も良好。オン、オフと似合いそう。ヴァシュロン・コンスタンタンも好き。なにせセクターダイヤルに目がなく(笑)。
水澗 ブラック×ピンクゴールドの組み合わせが美しいですよね。
※文中すべて、SS=ステンレススチール、WG=ホワイトゴールド、RG=ローズゴールド、PG=ピンクゴールド、Pt=プラチナ、Ti=チタンの略です。