時計の実力は、触れて、眺めて、試着しないとわからない。そこで4人の時計愛好家を招いて、注目の新作モデルを中心に品評会を開催! 相応の知識と経験を積んできただけに、まなざしは真剣そのもの。実際に購入する気でチェックし、大いに語り合った。
本気買いモードの愛好家が集まった!
小ぶりで薄く、端正な時計を好む。この日はアンティークのカルティエ「タンク ノルマル」を着用。GSなど日本の時計にも興味あり。
アンティークから新作まで幅広く好み、先日ついに念願のロレックスのヴィンテージクロノグラフを購入。時計欲は誰よりも旺盛!
朝日新聞社随一の服&時計好きで知られ、スイスでの時計フェア取材も行う。最近はパルミジャーニ・フルリエ「トンダ PF」を愛用。
アンティークウォッチの愛好家で、当日は古いジャガー・ルクルト「レベルソ」を着用。現行の時計も出会いによっては検討したい。
GRAND SEIKO|Heritage Collection 45GS復刻デザイン 限定モデル
ムーブメント:手巻き
ケース素材:SS
ケース径:38.8㎜
価格:¥1,342,000
初期のグランドセイコーで到達したデザインと機構の最高峰といわれる1968年製「45GS」の姿を、最新型の10振動手巻き式ムーブメントCal.9SA4を搭載して復刻。12時位置に堂々と「SEIKO」ロゴを掲げ、オリジナルモデルを彷彿とさせる佇まいに。世界限定1200本。
「とにかく巻き心地が最高。ムーブメントを眺めてほしい」(後藤)
「グランドセイコーらしい、まっすぐな“日本男児感”が素敵です」(尾崎)
「クラシックなセイコーのよさと高級なグランドセイコーのよさ、その両方がうまく取り入れられています」(西野)
CARTIER|サントス デュモン
ムーブメント:手巻き
ケース素材:SS
ケース径:46.6㎜×33.9㎜
価格:¥984,500
パリ社交界の有名人だったサントス=デュモンのために、ルイ・カルティエが1904年に製作した世界初の紳士用実用腕時計をベースに、’11年に市販化された「サントス」。このモデルは薄型のCal.430MCを搭載し、オリジナルモデルにも似たエレガントな雰囲気に。
「手巻き式ならではのレトロ感は歴史あるモデルと相性がいいですね」(西野)
「これは一生モノの時計と言っていいでしょう。この価格帯で薄型のムーブメントを搭載し、デザインも素晴らしい。最強です」(後藤)
「完成されたデザインですし、価格もこなれている。言うことなしです」(水澗)
PANERAI|ラジオミール オフィチーネ
ムーブメント:手巻き
ケース素材:SS
ケース径:45㎜
価格:¥748,000
イタリア海軍特殊潜水部隊のために1935年に製作したプロトタイプウォッチを、後に製品化したのが「ラジオミール」。クッション型のケースやワイヤー式のラグが特徴で、秒針もカレンダーもなく、ムーブメントが手巻き式なのも当時のスタイル。タフな時計だが、レトロな温かみがある。
「原点のモデルだからこそ、手巻き式とこのサイズが正解」(水澗)
「ちょっと重さは気になりますが、1930年代に完成されたデザインが美しい」(尾崎)
「パネライらしい形と少しモダンな作りに、ブレないブランドの哲学を感じる」(西野)
味わいを追求するのも時計好きならではの視点
――機械式時計に搭載されるムーブメントは、機能性と実用性に優れた自動巻き式が主流派。しかし自分の手でゼンマイを巻き上げ、レトロな味わいも魅力となる手巻き式にこだわる人も多い。
後藤 今年はグランドセイコーの新型ムーブメントが話題でした。デザインや仕上げもきれいですし、巻き心地も素晴らしい。
水澗 確かにムーブメントがすごくきれいです。ヴィンテージもいいのですが、復刻モデルはメンテナンスや防水などの安心感があるので、ユーザーにはうれしい。
西野 手巻き式は少しレトロ感があるといい。カルティエ「サントス デュモン」にも、当時のよさが残っていますよね。
尾崎 この薄さ、軽さがいい。
水澗 パネライもいいですよね。いろいろなタイプがあるけど、原点モデルが好き。薄くて小ぶりな時計が欲しいけど、パネライだけは、むしろこのサイズ感がいい。
後藤 むしろこのサイズじゃないと、パネライって感じがしないですよね。
※文中すべて、SS=ステンレススチール、WG=ホワイトゴールド、RG=ローズゴールド、PG=ピンクゴールド、Pt=プラチナ、Ti=チタンの略です。