ジュネーヴで開かれた世界最大級の時計見本市を終えて、新たに見えてきた潮流とは? 時計連載でもお馴染みの二人がマニアックな対談をお届けする。
時計についても一家言もつ人気スタイリスト。自身もパテック フィリップをはじめアンティークウォッチを所有するが、現行品も気になっている。
時計の機構や技術にも精通しており、スイス時計取材歴は20年近くに。時計は新しいほうが好きで結構ミーハー。
CARTIER|パンテール ドゥ カルティエ
1980~’90年代のモデルが復活。クオーツ。18KYG。ケースサイズ42㎜×31㎜。9月発売予定。¥4,554,000(予価)/カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター)
ROLEX|オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー
時計全体の重さは、300gを超える。重厚感と存在感を楽しみたい。自動巻き。18KYG。ケース径44㎜。¥7,806,700/ロレックス(日本ロレックス)
PATEX PHILIPPE|ゴールデン・エリプス 5738/1
着用感も最高。自動巻き。18KRG。ケースサイズ39.5㎜×34.5㎜。¥9,510,000/パテック フィリップ(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター)
一周まわってフルゴールドに注目
篠田 今年もスイスの「Watches and Wonders」を取材してきましたが、そこでいちばん感じたのは、ブレスレットまでゴールドを使った時計が増えていること。
小林 それは絶対に、ファッション的文脈でしょう。2~3年前から、1980~’90年代のトレンドだったゴールドのアクセサリーが流行り始めています。ひと昔前まではどちらかといえば敬遠されていた主張の強いものが、ようやくリバイバルされている。
篠田 でもファッション的には、いわゆるクワイエットラグジュアリーという流れもありますよね。ゴールドは派手では?
小林 シンプルな着こなしの中に、ゴールドのアクセサリーを一つ取り入れるというのが、正解だと思いますよ。
篠田 確かに時計もただゴールドにしました、ではなく、仕上げや細部のクオリティは極めて高い。パテック フィリップの「ゴールデン・エリプス」は、繊細な細工を施したチェーンタイプのブレスレットを採用したのですが、それ自体が工芸品レベルといっていい。しなやかに腕に馴染むだけでなく、コマ調整で長さを変えられるというのも驚きました。
小林 チェーンブレスレットをカットして調整するのは気が引けますからね。
篠田 アクセサリーとしての文脈だと、カルティエの「パンテール ドゥ カルティエ」もよかったですね。
小林 あの定番のデザインが、そのまんま大きくなったってことですか?
篠田 そうです。ケースの薄型フォルムを生かすため、ムーブメントはあえてクオーツ式。その割り切りもいいと思います。
小林 何が自分たちの強みなのかを理解しているのが、カルティエのすごさですよね。それはロレックスも同様かも。
篠田 ケースもブレスレットもイエローゴールドなのに3900m防水。優れた機能をゴージャスに遊ぶなんて、ロレックスにしかできない芸当ですよ。