2024.12.13
最終更新日:2024.12.13

【ジャガー・ルクルト】「レベルソ」はなぜ人気? その魅力とは? 腕時計のプロが解説【大人の一生モノ腕時計】

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UOMOが以前行った「次に欲しい腕時計」アンケートでも高い人気を集めたジャガー・ルクルトの「レベルソ」。シンプルで小さめな時計のため、服を選ばず合わせやすいという意見がおしゃれな大人たちから寄せられた。

1833年に創業したジャガー・ルクルトの傑作といわれる「レベルソ」は、一体何がすごいのか? その特徴と人気の理由を腕時計ジャーナリストの篠田哲生氏が解説。あわせて、大人が選ぶべきモデルと愛用者の声も紹介しよう。

「ジャガー・ルクルト」は時計業界人が敬意を抱く名門

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仕事柄、おすすめの時計は何ですか? と聞かれることが多い。そこに必ず挙げるのが、ジャガー・ルクルトの「レべルソ」だ。1931年に誕生したこの傑作は、知るほどに引き込まれていく魅力がある。

僕が本格的に時計の仕事を始めたのは30代前半だった。時計専門誌付きのジャーナリストとしてスイスへ飛び、フェアの取材を終えると、コーディネーターさんとカメラマンと一緒に時計メーカーの工房を巡る。そこで対峙するのは技術責任者やデザイナーたち。実年齢よりも若く見えることもあって、最初は「こいつに時計のことなんてわかるのかよ」という空気も無きにしも非ずなのだが、僕の腕元の時計を見ると態度は軟化する。それはなぜか? そこにあるのは、ジャガー・ルクルト「レベルソ」だからだ。

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フランス国境に近いスイスのジュウ溪谷の街、ル・サンティエにあるジャガー・ルクルト。ここが創業の地であり、ずっとここで時計をつくっている。

1833年に創業したジャガー・ルクルトは、これまでに430以上の特許を取得し、1300種のムーブメントを製作してきた実力派マニュファクチュール。当然スイス時計業界で働く人たちにとっては、敬意を抱く対象である。そんな名門の傑作をサラリとつけているジャーナリストなら信用できるぞ…。と思ってくれたのだろうか、必ずいい取材ができるだけでなく、「その時計、ちょっと見せてよ」と僕の時計をルーペで子細に観察することも一度や二度ではなかった。

僕にとって「レベルソ」は、時計の仕事をしていくための一種のパスポートであり、“良い時計”がもたらす効果を実感した最初の時計でもあったのだ。

独創的なケース構造と普遍の美が融合

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1931年に誕生した初代レベルソ。驚くほど完成度の高い時計であり、そのデザインコードは現代へと継承されていることがわかる。

ではなぜ、「レベルソ」はこれほどまでに業界支持率が高いのか? まずはゆるぎないデザインコードにある。そもそもこの時計は、インドに駐留していた英国軍の将校が、ポロ競技中に風防が割れないような時計が欲しいと注文してきたことから始まる。その答えとして提案したのが、ケース自体が反転して風防を内側に隠すという驚異的なケース構造だった。“世紀の反転”とも呼ばれた反転ケースによって、この時計の個性は決定づけられた。

さらにケースを反転させるために採用された角形ケースは、当時のデザイントレンドでもあった「アールデコ」と結びついた。シャープな直線と優雅なカーブを合わせもったこの様式には普遍的な美しさがあり、しかもレベルソのケースの縦横比は誰もが美しいと感じる「黄金比」から導き出されたもの。独創的なケース構造と普遍の美が融合した時計が、人気を集めるのは当然であろう。

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この「レベルソ」のレクタングルケースは、プロポーションの良さもあってか数値以上に小さく感じる。そのためこれ見よがしにならず、腕元にすんなりと馴染んでくれる。エレガントなのでスーツに似合うが、ポロ競技発祥という歴史を考えればカジュアルなスタイルに合わせるのも正解だ。ファッションを選ばないオールラウンダーであるという点も、選ばれる理由になるだろう。

反転ケースへのあくなき探求心

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レベルソの名声がさらに高まったのは、反転するケースの裏側にも機構を搭載するようになった1994年に発売された「レベルソ・デュオ」からだろう。小さなケースにムーブメントを収めるだけでも困難だが、このモデルは裏面にも時分針を搭載しており、しかも異なる時間を表示することができた。そのうえ、ケースをひっくり返すだけで異なるタイムゾーンを行ったり来たり出来るという機能性も備わっている。それはジャガー・ルクルトの技術力の賜物でもあり、レベルソの特殊なケース構造の賜物でもあった。

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反転ケースの両面に加え、台座の両面という4面を利用し、11の複雑機構を詰め込んだ「レベルソ・ハイブリス・メカニカ キャリバー185」。搭載する機構は天文系が多く、宇宙の神秘を縦51.2×横31mmというサイズに詰め込んだ驚異的な時計となっている。生産本数は10本のみで、もちろん完売。

これ以降ジャガー・ルクルトは、表面はシンプルに徹しつつ、裏面にクロノグラフやトゥールビヨンなどの機構を搭載するようになる。そして技巧派ゆえに反転ケースに対する探求心は行きつくところまで達し、レベルソ誕生90周年を祝って2021年に発表された「レベルソ・ハイブリス・メカニカ・キャリバー185」では、時計の表面と裏面だけでなく、台座の表と裏にも機構を組みこむという前代未聞の4面ウォッチを実現。その技術力もさることながら、「レベルソ」という時計の奥深さを知らしめるモデルとなった。

ジャガー・ルクルトの類まれなる技術力を生かし、反転ケースを極限まで複雑化した「レベルソ」だが、つねにシンプルなモデルを作り続けている点も、評価されることだろう。ジャガー・ルクルトでは表面が時計、裏面がソリッドバックになっているモデルを、モノフェイスと呼ぶ。時計をひっくりすと時間がわからなくなるという演出は、どこかロマンティックなムードがあるし、ケースバック部分には、イニシャルやメッセージなどのエングレービングを入れることもできるので、人生の節目を飾る時計として、思い出を刻むにも適している。

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エングレービングサービスはホームページからも申し込みが可能。絵柄や文字のシミュレーションできるうえに、価格も¥44,000からと、かなりリーズナブル。

しかもこのエングレービングサービスは、購入後数年たっても対応してくれる。例えば子供が生まれた記念にレベルソを購入し、その子が節目を迎えた時にメッセージを加えて渡す。そんな楽しみ方もできるのだ。

ジャガー・ルクルト「レベルソ」は、時計界におけるマスターピースのひとつであり、誰もが納得する選択肢となる。しかもメカニズムを通じて知的好奇心を刺激し、そして思い出深い宝物にもなる。その楽しみ方の広さも魅力となっている。

【腕時計のプロが激推し】大人が一本目に選ぶべき「レベルソ」

レベルソ・トリビュート モノフェイス

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¥1,399,200

1931年の初代モデルのケースサイズに近づけることで、さらに美しいプロポーションが完成。バーインデックスやドーフィン針といったデザインも、初代をトリビュートしたものだ。カジュアル感のあるストラップは、ポロから生まれた時計ということで、アルゼンチンの馬具メーカー、カーサ・ファリアーノが製作した。手巻き(Cal.822)、SSケース、ケース縦40.1×横24.4㎜。

篠田哲生プロフィール画像
腕時計ジャーナリスト
篠田哲生

時計の機構や技術にも精通しており、スイス時計取材歴は20年近くに。時計は新しいほうが好きで結構ミーハー。

【編集部推薦】大人が選ぶべき差がつく「レベルソ」

レベルソ・クラシック・ラージ・スモールセコンド

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¥ 1,645,600

エレガントで洗練されたケースは、1920~1930年代に流行した幾何学的な図柄のアールデコ様式が取り入れられており、シンプルで飽きのこない一本。6時位置に非常に小さいスモールセコンドダイヤルを備える。ストラップはカーフ製。手巻き。SS。ケースサイズ45.6㎜×横27.4㎜。

レベルソ・トリビュート・スモールセコンド

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¥3,564,000

初代の「レベルソ」にオマージュを捧げた「レベルソ・トリビュート・スモールセコンド」。厚さ7.56㎜の超薄型ケースの開発によって威厳を損なうことなく、より洗練されたムードに。バーガンディのダイヤルとそれを包み込むピンクゴールドのラグジュアリーなカラーコンビは、手元に添えるだけで毎日の装いを格別なものに仕立ててくれる。手巻き。PG。ケースサイズ45.6㎜×27.4㎜。

おしゃれな大人が「レベルソ」を愛用する理由

「種類豊富なタンクに迷っていた頃、レベルソが気になって」(白石健太朗さん/バッグデザイナー)

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「30歳を過ぎたら年相応の良い時計が欲しいとずっと考えていました。当初はカルティエのタンクを漠然と考えていたのですが、実際にその歳になったらピンとくる時計が見つからなくて。ある時、結婚指輪がゴールドなのに、時計がシルバーなのは違和感があると思ったんです。そこで、ゴールドのタンクを探したら、タマ数も種類も多すぎて何を基準に選んだらいいのかがわからなくなってしまいました(笑)。そんなときに意識し始めたのがレベルソでした。ケースが回転するギミックも個性的ですし、予算の範疇にある価格だったので、1年半ほど前に思いきって購入することにしたんです」

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「一番気に入っている点は、廃盤のボーイズサイズということ。ただでさえレベルソは華奢なので、とにかくどんなスタイルでも合うし、気分を上げてくれる存在です。最近ではクリーンなスタイルやモードな着こなしにもつけることが多いですね。仕事柄、レザーバッグや小物を自分で作るため、今付けているストラップも自作しています。」

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