ジュネーヴで開かれた世界最大級の時計見本市を終えて、新たに見えてきた潮流とは? 時計連載でもお馴染みの二人がマニアックな対談をお届けする。
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時計についても一家言もつ人気スタイリスト。自身もパテック フィリップをはじめアンティークウォッチを所有するが、現行品も気になっている。
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時計の機構や技術にも精通しており、スイス時計取材歴は20年近くに。時計は新しいほうが好きで結構ミーハー。
CHANEL|J12 クチュール
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秒針は縫い針で、ベゼルのデザインはメジャー。クオーツ。高耐性セラミック×SS。ケース径33㎜。数量限定。¥1,182,500/シャネル(シャネル カスタマーケア)
JAEGER-LECOULTRE|デュオメトル・カンティエーム・ルネール
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シンメトリーな配置の中に、カレンダーなどの実用的な機構を搭載。6時位置は、1秒間で6回ジャンプするフドロワイヤント針。手巻き。SS。ケース径42.5㎜。ブティック限定。¥6,556,000/ジャガー・ルクルト
A. LANGE & SÖHNE|ダトグラフ・アップ/ダウン
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搭載ムーブメントはCal.951.6。ホワイトゴールド×ブルーの配色を初採用。手巻き。18KWG。ケース径41㎜。世界限定125本。価格要問い合わせ/A.ランゲ&ゾーネ
あの人気モデルはこう変わる
篠田 今年は人気モデルのアップデートも目立ちましたね。例えばA.ランゲ&ゾーネの「ダトグラフ」が25周年を迎えたということで、新色が出ています。
小林 ランゲってあんまり新作を出しませんよね。でもそこが、孤高って感じでいいんですよね。だから手に入れたいのですが、なにせ人気が高すぎて…。
篠田 特にダトグラフは人気が高い。とにかくムーブメントがきれいなんですよ。仕上げも構造も完璧。こういうところはずっと変わらずに継続しているから、ずーっと憧れが消えることがない。
小林 ランゲの場合、色が変わるくらいで十分なんです、われわれとしてはね。
篠田 ジャガー・ルクルトの「デュオメトル」も、14年ぶりにリニューアルしました。この機構は、時刻用と付加機構用とで動力や伝達経路を分けることでお互いが干渉しないようにして、高い精度を出すという技巧派らしい高度なメカニズムです。精度=品質ですから、ブランドの哲学として精度を求めるのは当然なのでしょう。
小林 アンティークウォッチ好きからすると、もはや精度はそこまで重視する基準ではない。でも正確さをとことん極めようという姿勢や信念には惹かれるし、そういったこだわりがファンをつくるんだよね。
篠田 だから時計好きって、急激な進化を求めませんよね。自分の中で審美眼が出来上がっているからかもしれませんが。そういう点でシャネル「J12」って、いつも自分の発想力を試されている気がする。2000年の誕生以来変わらないスタイルがあるけど、毎年新作を提案してくるでしょう。で、毎回その手があったか!って驚かされる。
小林 今年は時分針がハサミになっているんですね。こういう発想は面白い。この小さな世界の中で、ブランドの精神を表現している。それって素敵です。
篠田 歴代の「J12」をずらっと並べたら、さぞかし圧巻でしょうね。