時計も手土産も、会う人を想って選ぶもの。毎月気になる時計の新作をピックアップして、ユニークな共通点のある手土産を一緒にお届けする。
NOMOS Glashütte|タンジェント
ドイツ時計の個性を
濃厚に感じられる
ドイツ時計産業の中心地グラスヒュッテにて、1990年に創業。バウハウスの理念を表現した、シンプルだが使いやすいデザインやサイズが評価され、ドイツでは国民的人気を得ている。小ぶりな35㎜ケースのベストセラーモデル「タンジェント」は、繊細なインデックスと繊細な針で静かに時を刻む。ストラップに使用している素材は、ホーウィン社製のシェルコードバンである。
サヴール|ガトー・ア・ラ・クレーム
シンプルな造形に
秘められた奥深い味
「サヴール」は、ヤエカが2020年に田園調布にオープンした洋菓子店。こちらは同店の看板商品で、ケーキ生地を重ね、その周りに白いバタークリームをきれいに塗ることでシャープなエッジをつくり出している。味わいはあくまでも優しく、心に染み入る。冷凍商品であるため、手土産の際には、保冷バッグや保冷剤を用意しコンディションに気をつけたい。
「シンプルだけどセンスがいい」って究極だ
シンプルであることは、退屈なことではない。むしろ要素をそぎ落とすことで、物事の本質が見えてくる。
ドイツの実力派時計ブランドであるノモス グラスヒュッテは、時を告げる機械として生まれた。シンプルで無駄のないスタイルは、そっけないともいえるだろう。しかしバウハウスの影響を大きく受けており、腕馴染みがよくて、時間も読みやすく、ムーブメントの仕上げも丁寧で美しい。それはまさに機能美の極みであり、真面目さの中に強いこだわりを楽しめる。
こうしたセンスを手土産でも披露するなら、サヴールの「ガトー・ア・ラ・クレーム」がうってつけだ。画家の牧野伊三夫氏が手がけたパッケージから現れるのは、凜とした佇まいの白いケーキ。これは焼き上げた生地の周囲に濃厚なバタークリームをデコレーションすることで、シャープな造形に仕上げたものだ。そしてもちろん美味。滑らかなバタークリームは口の中ですっと溶け、甘美な余韻が残る。
どちらも見た目はシンプル。しかしそれでは終わらない奥深い個性があるため、これ見よがしではないけどセンスがいい。だからいい印象が残るのだ。
40を超える媒体で時計記事を担当し、イベントの企画なども手がける。手土産はあげるよりも、もらうほうが多い。
広告や雑誌で活躍。撮影現場などに持っていく手土産に一家言アリ。時計好きでもあり、ヴィンテージを複数持つ。