
2025年4月1日(火)から7日(月)の期間、スイス・ジュネーブで開催された世界最大の時計見本市「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025(Watches and Wonders Geneva 2025)」。ここで日本を代表するブランド「グランドセイコー(GRAND SEIKO)」から3つの新作モデルが披露された。
異次元の高精度を誇る 「スプリングドライブ U.F.A.」

まず紹介したいのが、“異次元の高精度”と謳われて新たに登場したスプリングドライブ・ムーブメント「キャリバー9RB2」を搭載する「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.(Ultra Fine Accuracy)」。レギュラーモデルと限定モデルの2種で発売される。

1970年代後半にスプリングドライブ・ムーブメントの開発がスタートし、2004年には実用的な自動巻と約72時間のパワーリザーブを備えた、グランドセイコー専用設計のスプリングドライブ・ムーブメント「キャリバー9R65」が誕生した。その後もスプリングドライブは進化を続け、この度ぜんまい駆動式の腕時計としては世界最高(※2025年4月現在、セイコーウオッチ(株)調べ)の年差±20秒という高精度を持った「キャリバー9RB2」が登場。3カ月間の入念なエージングを経て精度を安定させた水晶振動子を、新設計のICとともに真空に密封し、温度、湿度、静電気、光などの影響を最小限に抑えることで、この高精度が実現された。
さらに、この新ムーブメントには、スプリングドライブ史上初めて、精度を補正するための緩急スイッチを採用。これにより、長年の使用で発生する可能性のある精度のずれをアフターサービス時に補正することが可能に。

ムーブメントの造形は、スプリングドライブ・ムーブメントの製造地「信州 時の匠工房」から望む北アルプスの山々から着想を得ており、ムーブメントの表面には、霧が凍結したかのような、グランドセイコー独自の「霧氷仕上げ」を施した。ムーブメントの随所に椀状の面取りを施し鏡面に磨き上げることで、美しい輝きを放つ逸品に仕上がっている。
回転錘には、年差精度を実現したムーブメントに名付けられた名称である「SPRING DRIVE ULTRA FINE ACCURACY」の文字が刻まれているのもたまらない。
キャリバー9R搭載モデルの中で最小のつくり

小型化と薄型化を叶えた新ムーブメント「キャリバー9RB2」を搭載することで、ケース径37.0mmという、キャリバー9R搭載モデルの中で最も小さいサイズとなった本作。レギュラーモデルのケース・ブレスレットには、グランドセイコー独自の素材である「ブライトチタン」を採用。「ブライトチタン」は、重量がステンレススチールより約30%軽く、純チタンよりも明るい素材なので、「ザラツ研磨」を駆使して磨き上げることによって、美しく輝くことも特徴だ。一方、限定モデルのケースにはプラチナ950を採用。2モデルともに、熟練の研磨師による「ザラツ研磨」によって、ゆがみのない鏡面と際立つ稜線が生み出されている。

ダイヤルにも注目したい。ムーブメント同様、「信州 時の匠工房」付近の景色を反映させた。工房の東に位置する諏訪・霧ヶ峰高原の澄み切った雪原に林立する樹氷の美しさを、精緻な型打模様で表現。光の変化によって美しく煌めく表面加工を施すことで、淡いブルーの色合いでありながらも存在感のあるダイヤルに仕上がっている。
ちなみに、レギュラーモデルのダイヤルはブルースチールの秒針と組み合わせ、シルバーがかったブルーで清々しい空気を通した樹氷を表現し、限定モデルのダイヤルにはプラチナケースとネイビーのストラップに合わせて、わずかに深みのあるブルーを採用した。

<グランドセイコー>
Evolution 9 Collection スプリングドライブ U. F. A. モデル
¥1,518,000
ケース・ブレスレット:ブライトチタン(微調整機構つき中留)
ガラス:ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)
防水性能:日常生活用強化防水(10気圧防水)
ケースサイズ:[外径]37.0mm(りゅうず含まず) [厚さ]11.4mm
発売予定日:2025年6月6日(金)

<グランドセイコー>
Evolution 9 Collection スプリングドライブ U. F. A. 限定モデル
¥5,500,000
ケース:プラチナ950
ストラップ・中留:クロコダイル・プラチナ950(中留の一部は18Kホワイトゴールド)
ガラス:ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)
防水性能:日常生活用強化防水(10気圧防水)
ケースサイズ:[外径]37.0mm(りゅうず含まず) [厚さ]11.4mm
限定数量:世界限定80本(うち国内40本)
発売予定日:2025年6月6日(金)
獅子の姿をデザインソースとした機械式クロノグラフ

最後に紹介するのが、スポーツコレクションに加わったグランドセイコーを代表するメカニカルクロノグラフムーブメント「テンタグラフ」を搭載したスポーツウォッチ「トーキョー ライオン テンタグラフ(Tokyo Lion Tentagraph)」。ブランドのシンボルである「獅子」の持つ、威厳や気高さを投影した一本だ。

獅子の力強い爪をモチーフとし、金属の塊を削ぎ落としたかのような、大胆な造形は、まるで獅子が腕をしっかりつかんでいるような形状に仕上がっている。また、金属の表情をより際立たせるヘアライン仕上げが爪の鋭さを強調し、ケースフォルムのアクセントに。
ケースにはステンレススチールの約2倍の硬さを持つグランドセイコー独自の先進素材である、ブリリアントハードチタンを採用した。
躍動感のあるダイヤルに注目

ダイヤルには、獅子のたてがみが風になびく姿にインスピレーションを得て、「風靡(ふうび)」という言葉にふさわしい有機的な模様をデザイン。さらに、3時・6時・9時位置の3つのサブダイヤルには別体パーツを採用し、変化を与えている。椀状のサブダイヤルのため、針と目盛の距離が近く、計測結果が読み取りやすいのも魅力の一つだ。

この時計のために新たに開発されたラバーストラップも見逃せない。シリコンストラップの2倍以上の引っ張り強度(当社比)を持ち、強靭なケースの造形にふさわしいつくり。また、このストラップはなめらかなで、獅子の肉球のような、どこか愛嬌のある裏側の突起部も心地よく腕に寄り添ってくれる。緩やかにカーブする裏ぶたと内巻きのバックルに、このラバーストラップを組み合わせることで、快適な着け心地を実現させた。
自動巻クロノグラフムーブメント「テンタグラフ」

本作に搭載されるキャリバー9SC5「テンタグラフ」は、2020年に発表した高精度と優れたエネルギー効率を誇る革新的なハイビートキャリバー9SA5をベースに、2023年に開発されたもの。毎秒10振動による安定した精度と、クロノグラフ作動時でも最大約3日間(約72時間)の駆動をお約束するロングパワーリザーブだ。
また、「正確な計測と操作、耐久」を確保したストップウォッチ機構を設計。垂直クラッチが指針ずれや針飛びを抑制し、計測精度を高め、ピラーホイールはストップウォッチの作動を正確に制御してくれる。

<グランドセイコー>
Sport Collection Tokyo Lion Tentagraph
¥2,310,000
ケース:ブリリアントハードチタン
ストラップ:ラバー
ガラス:ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)
防水性能:日常生活用強化防水(20気圧防水)
ケースサイズ:[外径]43.0mm(りゅうず・突起物含まず) [厚さ]15.6mm
発売予定日:2025年8月8日(金)
セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) TEL:0120-302-617