ハードなキャラクターじゃないところが今の自分と合っている
「2年ほど前にスクエアケースの時計を探していて、いろいろ物色していたらカルティエのタンクとこのピアジェのレクタンギュラーが候補に残ったんです。タンクよりも少し安価で、ピアジェは文字盤も華美ではなく、シンプルな二針というのが絶妙なバランスだなと。インデックスのローマ数字だけ少し立体的ですが、ギョシェも入っていないしとてもクリーンな面持ちで。ちなみに、このモデルは1960年代後半~70年代にかけて製造されたものなのですが、その時期のキャリバーはタンクにも使われているそうで、そういった共通項にも惹かれました」
「実際に手に入れて、かなり満足しています。小ぶりでかなり薄型ですが、主張を感じる。スクエアはクラシカルなので、着こなしに振れ幅をつけやすいのかもしれません。クラシックな装いにまとめたときは端正な顔立ちになし、スウェットやラグジュアリーブランドの服と合わせてもいい意味でアンバランスに仕上がって、常に静かに主張しているんです。ベルトは青山にある『クロンヌ』というお店のオリジナルに交換しました。18Kゴールドのケースに、深みのあるブルーが絶妙な色気を醸し出しています。このブルーにしてよりカジュアルな着こなしとの相性が良くなったと思いますね」
「時計は常に気になっていて、暇を見つけては山田五郎さんの『機械式時計大全』を読んでいます(笑)。機構の話などを知ると、こういうことを面白がって作っているんだというのが手に取るようにわかっていいんですよね。最近は、オーバルシェイプが美しいパテック フィリップのゴールデン・エリプスが気になっています。ケースに加えてベルトも18Kゴールドを使ったチェーンタイプがあって、それが漠然と欲しい…もちろん頻繁に買えるものではないですが(笑)。最近はアクセサリーやメガネなどもゴールドを選ぶことが多いので、ゴールドケースやゴールドのチェーンベルトは自分のアクセとも相性がいいんです。ほんと、時計の話をし出すと止まらないですね」
1986年、東京都生まれ。多摩美術大学を卒業後、2018年春夏よりブランド「カル」のディレクター。ショールームを兼ねる東麻布のオフィスでは、アートギャラリーも運営。独自の審美眼をもとに、ファッションデザインに限らず幅広く活躍。
Photos: Yumi Yamasaki
Text: Yasuyuki Ushijima