脇役のアクセ感覚で着けられる
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「このレクタングルを恵比寿の『コンティニュエ エクストラスペース』で購入したのは去年の秋でした。インスタグラムをチェックしていたら偶然出てきて、すぐに店頭に足を運んで購入しました。ジャガー・ルクルトのレベルソやカルティエのタンクも以前からチェックしていましたが、レクタングル系は業界ではすでにいろいろな人が着けていることもあって、正直迷いもありました。しかし、実際にショップで見るとシンプルながら味わいのある見た目が気に入ってしまったんです。そしてなにより、ケースの厚みが丁度よかった。アクセサリーは華奢なものを着けることが多いのですが、時計はある程度の厚みを求めていて、自分の中でしっくりきました」
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「あくまでスタイリングの中心は服。時計は手元に干渉せず、洋服を繊細に見せることを条件に選んでいます。ゴールドの華奢なアクセサリーを着ける感覚に近いですね。このレクタングルは本当に着こなしの幅が広く、シンプルなジャケットやニット、シャツなどあっさりとした服に合わせることが多いです。思い返すと、はじめに買った時計はセイコーのスプーン。そこから時計選びの思考は変わっていなくて、性別を問わず、主張が強くないデザインの時計が好きです。だからラグジュアリースポーツのような“時計らしい時計”にはあまり食指が伸びない。スタイリングのなかの一つのアイテム、という感覚は何年経ってもブレていないですね(笑)」
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「目星をつけている時計は、これまで話してきたこととは真逆ですが(笑)、パテック フィリップのノーチラスか、ユニバーサル ジュネーブのポールルーター ファーストです。どちらも偉大な時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタによるデザイン。オーデマ ピゲのロイヤルオークもそうですが、ジェンタデザインの時計はアートワークとして完成されている。だから、自分が身に着けるというよりは、家具やアート作品に近い感覚で、集められたらな…なんて思ってしまうんです」
アダム エ ロペの看板PRで、現在はフリーランスとしてもマルチに活躍。時計はアクセサリー感覚で着けられるものが好みだが、最近では完成されたアートワークのようなデザインの時計も気になっている。
Photos: Takahiro Idenoshita
Text: Yasuyuki Ushijima