パリなら何でもおしゃれだった時代があったんです

パリ滞在中にたまった洗濯物をコインランドリーに投げ込んだ僕は、仕上がりを待ちながら近くのカフェでカフェ・クレームを飲みながらこの原稿を書いている…。
そんなシャラ臭い雑誌記事を今読んだとしたら震えが止まらない。が、かつてはこういうのが素敵とされた時代があった。自分が働き始めたのはその末期あたり。女性誌編集の重要任務としてパリでのおしゃれスナップがあり、自分も20代で初めてパリを訪れた。街を歩く人を流し撮りしたり、声をかけて取材したり。界隈のカフェで時間をつぶし、適当にショップを覗いて買い物したり。当時はパリの古着屋にはよくブルーのトラバイユジャケットが激安で畳んで積まれており、ご多分にもれず勢いで買った。20代の頃は何度も洗って色落ちさせつつよく着ていた。
T.TのカバーオールはUOMOのショッピング定点観測連載でスタイリスト豊島くんも紹介していたもの。豊島くんのはグレーだったが、こちらはブルー。もろフレンチテイストではないが、良い具合に色落ちしそうな天然インディゴの風合いが、愛用していたトラバイユジャケットを思い出させてくれる。

実はこの原稿、本当にパリ出張中にコインランドリーの仕上がりを待つ間、カフェの片隅で書いている。しかも当時よくスナップをしていたエティエンヌ・マルセル界隈の。偶然にもカフェ店主がよく着込んだトラバイユジャケットを着ていたので撮影させてもらった。
と、シャラ臭くて体感温度は急降下してしまうが、こういうのが素敵だった時代が確かにあったんです。



ワードローブは、アウトドアやミリタリーものから唐突なハイブランドまで混ぜたもん勝ち。恒例「試着フェス®」発案者だが、ショップに行く暇を惜しみ、試着ゼロ状態で衝動的に通販しがち。好きなモノは、深夜の飲酒からの寝落ち。MT車の運転。スノーボードとキーボード。
Movie:Mitsuo Kijima
Stylist:Rui Goto