燃やした後にこそ価値がある

キャンドルはインテリアの一部になるので香りだけでなく容器も重要。世の中になんとなくミニマルでナチュラルな雰囲気の「おしゃれ風」キャンドルが氾濫するなかで、トム フォードの香水やキャンドルには、容器に独自性があって昔から大好きだ。
「ロストチェリー」は甘酸っぱさがありながら芳醇な香りで、冬の暖房の効いた室内になんともいえない瑞々しさを与えてくれるのだが、やはりお気に入りは容器。真っ赤なガラス容器は火を灯すと、クリスマスのほっこりとしたムードとは一味違う情熱的な姿になり、とても色っぽい。考えてみたら愛用している香水のひとつである、同じくトム フォードのプライベートブレンドコレクション「ジャスミン ルージュ」の容器も同じ深みのある赤だ。
普段着の9割が黒の自分にとって、香水やキャンドルには決して身に着けることのない赤への憧れのようなものが反映されているのかもしれない。燃焼を続けて、ロウがなくなった後の容器の二次使用について妄想するのが楽しいのだ。



編集主任
中野健吾
ファッション担当。映画と韓流ドラマが好き。甘いものと炭水化物が大好きで、運動は嫌い。にも関わらず30歳半ばを過ぎても中学時代と体重が変わらない代謝の良さが自慢。ワードローブは、白、黒、ベージュ。
Movie:Mitsuo Kijima
Stylist:Rui Goto
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Editor Shibutsu