ダメな映画ほどカワイイ

常に話題作を仕掛けてくる映画プロダクションA24。公式サイトで販売している作品関連グッズもいちいちおしゃれ。しかし、この帽子はA24のなかでも結構なコケ具合だった映画『I saw The TV Glow』のベースボールキャップだ。作品がどのくらいスベっているかというと、国内公開、配信まったくナシ。偶然にも飛行機内のプログラムで発見して観ることができたのだが…。
『I Saw The TV Glow』は、架空のカルトTVドラマ『The Pink Opaque』にハマった90年代のティーンエイジャー男女が主人公。作中内作品にあたる『The Pink Opaque』に登場する能力者たちは首の後ろ、盆の窪あたりにピンク色のオバケの紋章が浮かび上がってるんだけど、この帽子はそのゆるいタッチのオバケを刺繍している。映画ではこのオバケマークが多感で傷つきやすい若者の象徴、お互いのサインのごとき扱いになっている仕掛け。
映画は終始ミステリアスでナイーブ、かつ細かい辻褄や物語の着地は投げっぱなし、風呂敷広げっぱなしでストンと終わる、いまどき珍しいくらい偽悪的に90年代な映画だった。正直、飛行機内で観ると徒労感で胸いっぱいだったが、かつて『ツイン・ピークス』にドハマリしていた自分としては嫌いではない。デヴィット・リンチも亡くなったし、あの頃を懐かしんで。



ワードローブは、アウトドアやミリタリーものから唐突なハイブランドまで混ぜたもん勝ち。恒例「試着フェス®」発案者だが、ショップに行く暇を惜しみ、試着ゼロ状態で衝動的に通販しがち。好きなモノは、深夜の飲酒からの寝落ち。MT車の運転。スノーボードとキーボード。
Movie:Mitsuo Kijima
Stylist:Rui Goto