ゆるふわ茶碗かと思いきや
正直、「茶道」のことは何も知らない。ただ、陶芸家の長谷川剛さんのかわいい絵付けの茶碗の存在を知り、春日駅にある茶道具店「いとうや商店」へ見に行ってみた。店内の一角にずらりと並ぶ、長谷川さん作の隅田川焼。「東京名所めぐりシリーズ」、「山手線シリーズ」、「楽譜茶碗シリーズ」など、絵付けのモチーフにするものがユニーク。ちょうどお店を訪れたときはパリ五輪前だったので、スケートボードやブレイキンなどの競技を描いたものもあった。作家ものの器にありがちな高尚さとは無縁で、ゆるくてポップ。
長谷川さんの茶碗の特徴は、側面や内側を使ってひとつの「物語」が描かれているところ。店主の伊藤さんいわく、描くモチーフへの資料集めがすごいらしい。日々街中や図書館などに行きリサーチしているとのこと。
そんな話を聞いていたら、とりあえず見るだけのつもりだったが、ひとつ買いたくなった。いろいろ悩んだ末、かわいい蛙の茶碗を買うことに。「長谷川さんに『この絵の題材を見つけるのは難しいと思うよ』といわれて、いろいろ調べてみたんです。どうやら、薄田泣菫の「初蛙」という随筆が元ネタみたいで……。柳田将監という笛の名手に歌を習った雨蛙の話が描かれているらしいですよ」。全く知らない(笑)。だいぶ渋いものを選んでしまったようだ。
カルチャー・食担当。トレードマークは、ボリューミーなパーマ(入稿・校了時、1.5倍増)。一年中ほぼシャツ、冬だけニットもあり。年始に琺瑯鍋とフライパンを新調したので、きちんと自炊ができるようになりたい。
Movie:Mitsuo Kijima
Stylist:Rui Goto
最終更新日:2024.11.13