20年ぶりのサーモント
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集英社に入社して気づけば20年以上経っている。「20年」。自分にとっては「地続き」だが、編集部最若手の堀池と話していると、たびたびそれは「隔絶」だと思い知らされる。まさに隔世の感。
で、20年前、まだ新人時代だった頃の自分は「サーモント」のメガネだった。今も青山にあるクレイドルで購入したエフェクター。なぜサーモントを選んだのかは忘れてしまったが、ブローラインがゴリゴリに太かったのは覚えてる。正直、似合っていたのかも怪しい。
その後、今に至るまでいくつものメガネをかけ替えてきたが、その間サーモントを選ぶことは二度となかった。が、昨年のユウイチトヤマ.の展示会でなぜか目に留まり、手を伸ばしていたのがこの「U-151」だった。丸みを帯びたボストン寄りのウェリントンシェイプ。記憶のサーモントよりずいぶんとマイルドな印象だ。ブリッジの細工も品があって、ただクラシックなだけじゃない。
その自分の姿を鏡で見て思い出したけど、そういえば、ちょうど今の自分の年齢くらいだった頃の父親がやはりサーモントをかけていた。昔は特に何とも思わなかったけど、こうしてみると、やはり父親の面影を感じる。「20年」。目には見えないけれど、やはりそれは着実に自分の中に堆積され、今と地続きに繋がっていた。
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大人の文化系男子のためのマンガレーベル「UOMOマンガ」では、かっぴー先生と福満しげゆき先生の連載を担当。セルカークレックスの愛猫「ほこり」を飼い始めてからは、静電気を発しない素材や毛が付いても目立ちにくいグレーを選ぶなど、“猫ファースト”のワードローブにシフト中。
Movie:Mitsuo Kijima
Stylist:Rui Goto