さらば青春の光・森田哲矢が選ぶ2024年のダウンBEST5
全国の古着屋を巡る"古着DIY"が人気のYouTubeチャンネル「さらば森田の五反田ガレージ」。チャンネルの主宰者であり、理想の一着に出会うたびに「めっちゃええやん」と目を輝かせる男、さらば青春の光・森田哲矢さん。そんな彼に編集部が厳選した新作ダウン&中綿アウターを用意。昨年UOMOで見せてくれた私物の古着ダウンに続いて、今回は2024年冬の新作ダウンからベスト5を一人でガチ選定。アメカジをこよなく愛する森田流の審美眼で、徹底的に着比べてもらった。果たして「めっちゃええやん」は出るのか。
5位 Marmot|Mammoth Down Jacket
1974年の設立以来、本格的なアウトドアギアを展開してきたマーモット。アウトドアアパレル企業としていち早くGORE-TEXをギアに採用するなど、革新的な姿勢で業界をリードしてきた。近年では高機能性を保ちながら洗練されたデザインを加え、タウンユースでも存在感を発揮。現代のライフスタイルブランドとして新たな進化を遂げている。
——では5位から発表していきましょう。森田さんの5位はマーモットの冬の定番アウター「マンモスダウンパーカ」ですね。
森田:こういうオーソドックスなタイプ、一着持っておきたいという気持ちがあります。あと1982年からあるモデルのアーカイブ版って聞いて。俺とほぼタメ。そこに親近感湧きました(笑)
——2000年代のNYのストリートシーンで大ブレイクした伝説のモデルなんですよ。
森田:へぇ。このナイロンの素材感でカーキの色もいいっすよねぇ。今日着てるオレンジのスウェットにも合うし。一番持ってるグレーにも絶対に合いますよね。
——単に古いモデルの焼き直しじゃなくて、現代の最新テクノロジーがしっかり入ってます。WINDSTOPPERという防風の技術と、750フィルパワーの撥水ダウン。
森田:「750フィルパワー」とか「撥水ダウン」とかって何なんすか?
——まず「フィルパワー」なんですが、これはダウンの膨らみやすさを示す数値なんです。数値が大きいほど、少量でもよく膨らんで暖かいんです。
森田: へー。じゃあ750って数字は結構いいんすか?
——そうなんです。一般的なダウンジャケットだと550~650くらいが多いので、750というのはかなり高品質なダウンだと言えますね。
森田:なるほど! じゃあ「撥水ダウン」の方は?
——通常のダウンって水に弱いんですよ。濡れると膨らまなくなって、保温性が著しく低下してしまう。でも「撥水ダウン」は特殊な加工で水をはじくようになってるんです。
森田:雨や雪が降ってきても大丈夫ってこと?
——そうなんです。濡れても膨らみを保てるので、保温性が落ちにくい。アウトドアでも安心して使えるという。
森田:しっかりした見た目の割に軽いのもよかったっすね。
——総重量960グラムです。
森田:あとね、ウエストにゴムスピンドルがついてるのもよかったです。
——おお、そこに注目されましたか?
森田:ダウンジャケットって、シルエットの調整難しいじゃないですか。でもここ絞ったら、シュッとタイトめにもできる。アメカジ好きとしては、アウターはオーバーサイズよりある程度フィット感が欲しい。82年からの歴史と最新テクノロジーの融合っていうのもいい。というわけで堂々の5位です!
4位 Timberland TOKYO DESIGN COLLECTIVE|Allgender Heavy Duty Long Down Jacket
2023年からスタートした、ティンバーランドと日本のデザインチーム「TOKYO DESIGN COLLECTIVE」による日本限定ライン。メイド・イン・ジャパンのプロダクトデザインの美学と、ティンバーランドが築き上げてきたアメリカンワークウェアの歴史を現代的な解釈で再構築したコレクションを展開している。
——では、第4位のアイテムについて聞かせてください。
森田:はい。第4位は「ティンバーランド トウキョウデザインコレクティブ」のダウンジャケットです。
——ワークブーツの重鎮ブランドの歴史上、初めて日本のデザインチームが関わったラインで、「オールジェンダー ヘビー デューティー ロング ダウン ジャケット」というモデル名の通りジェンダーレスに着られるデザイン。森田さんにはMを用意しました。
森田:80年代のアメリカ古着っぽい絶妙な丈感とマットな生地の質感がいいっすね。あとこのフードとかジップのストラップの紐が…。
——あのイエローブーツのシューレースと同じ素材使ってるんですよ。
森田:そうなんすね! これがまたいい感じのポイントになってますよね。
——あとは限定のオリジナルタグが付いていて、ロゴの後ろに『+813』という日本を表す数字が入っていたり。そういった細かいところまでこだわった見た目にプラス機能性もバッチリです。糸自体に特殊な処理をした撥水加工に、フードも取り外しできます。
森田:フード取り外せるのポイント高いすよね。フードついたスウェット着るときに“フードONフード”にならずに済むんで。
——“フードONフード”って駄目なんですか?
森田:インターネットかなんかで見たんすけど、「男のNGなファッションランキング」みたいなのあって、それでフードのついたスウェットの上からフードのついたアウター羽織るのはダサい、みたいな(笑)。
——えー。駄目なんですか。
森田:僕、フードついたスウェットも好きでよく着るんで、それ見て以降、“フードONフード”は絶対やめとこ、と(笑)。
——ほかにはどんなところが気に入りました?
森田:ポケットがたくさん付いてるところすね。
——たしかに。フロントに2つジップポケットがあって、さらにスナップ留めのポケットも2つ。内側にもウェルトポケットが付いてます。
森田:あとポケットに手いれるとき、このちょっと上についてるポケットに手を入れたいんです。下のポケットだとなんか落ち着かんっていうか。
——ハンドウォーマーポケットですね。このダウンは、ちょうどいい高さでした?
森田:ちょうどいい高さについてますねぇ。この脇が締まる感じ。自分で持ってるダウンでも、ポケットの位置がしっくりこないとあんまり着ないようになったりとか、自分的に地味にこだわりがあって(笑)。このダウンの一番のお気に入りポイントはこのポケット。ということで第4位です。
3位 BIG ROCK CANDY MOUNTAINEERING|ALPINE JACKET
2024年秋冬シーズンにアメリカでスタートした注目の新鋭ブランド「ビッグ ロック キャンディーマウンテニアリング」。ROWING BLAZERS(ローイング ブレザーズ)の立ち上げに携わったサミュエルと、WYTHE(ワイス)でデザインを手掛けるピーターのタッグによる渾身のプロジェクトだ。彼らが追い求めたのは、'50s〜'70sの黄金期アメリカンアウトドアの世界観。当時、アウトドアシーンを席巻した先駆的アルピニストたちのギアやスタイルを徹底的にリサーチし、その精神と機能性を今日のテクノロジーと素材で表現している。
——3位に選ばれたのが「ビッグ ロック キャンディーマウンテニアリング」のアルパインジャケット。選んだ理由を教えていただけますか?
森田:まずこのブランド名がめっちゃ気になって(笑)。長すぎません?
——(笑)。じつは1927年の古いフォークソングからとった名前なんです。アウトドアウェアなんですけど、あえてふざけた要素も入れてる面白いブランドで。
森田:へー。そういうことだったんですね。
——着てみていかがでしたか?
森田:肌触りがめっちゃ良くて、軽いです。ダウンってモコモコ感が出るじゃないですか。でもこれ、スウェット感覚なんですよ。袖も裾もリブになってて。
——じつはこれダウンじゃなくて、中綿なんです。
森田:あ、これはダウンじゃないんですね。全然見分けつかんけど(笑)。
——はい(笑)。それもあって、比較的リーズナブルな価格になってます。
——森田さん、このアップルグリーンの色味はいかがですか? ちょっと派手かもと思ったんですが。
森田:あ、これめっちゃいい色と思いました! じつは最近、福岡でライブの合間に古着屋さん寄ったんですけど、そこでグリーンのミリタリーダウン買ったんですよ。なんかグリーンは最近、気になる色っていうか。
——なるほど。このジャケット、着丈も短めで、本格的な防寒着というより普段着感覚で着られる感じですよね。
森田:そうなんですよ。最近の冬ってそんな寒くないじゃないですか。ガチガチの防寒着買っても着る機会少なそうやなって。その点、この中綿の軽さとかリーズナブルさがちょうどええんですよね。街着感覚で使えるし。まあそんな感じで3位にしました(笑)。
2位 CRESCENT DOWN WORKS|NORTH BY NORTHWEST VEST
1974年、アメリカ・シアトルで誕生した「クレセント ダウン ワークス」。創設者のアン・マイケルソンは、エディーバウアー社でのダウン研究のキャリアと、アウトドアへの深い造詣を武器に、独自のダウンベストとパーカーの製造をスタートさせた。80年代に入るとグローバル市場へと躍進。そして現在もシアトルの自社工場で守り続けてきた家族経営のスタイルは健在だ。熟練の職人たちによるハンドメイド製法は、新時代に突入してもなおブランドのアイデンティティとして息づいている。
——色々と着比べていただきましたが、2位に選んだのがクレセントダウンワークスのノースバイノースウェストベスト。
森田:これはアメカジ好きな僕からしたら、もう王道中の王道の見た目で。
——表地は綿60%、ナイロン40%の64クロスを使用していて、メイド・イン・USAです。
森田:「メイド・イン・USA」。それ聞くだけでテンションアガるんすよねぇ、なんなんすかね。
——森田さん、じつは去年の取材で「ダウンベストは着ない」って言ってましたよね? でも今回、あえてクレセントのベストをラインナップに入れさせていただいたんです。
森田:あ〜! たしかに言いましたね(笑)。普段着としては着ないって感じでした。暑いんか寒いんか、いつ着たらええん? みたいなアイテムっていうか。
——森田さんってクルマの運転する機会多いじゃないですか。そこを考えてセレクトしたんです。ダウンジャケットだと運転中に動きづらかったりすると思うですけど、ダウンベストならちょうどいいんではと思って。
森田:なるほど。たしかにダウンジャケット着て運転すると、ちょっともたつくというか…。
——このクレセントのベストなら、腕の動きが制限されないし、700フィルパワーのエシカルダウンの暖かさもしっかりある。表地も裏地も滑らかなストリークフリーナイロンで軽量だから、運転中に着ていても快適だと思います。
森田:めっちゃ考えられてるじゃないですか! たしかに試着してみて、運転するときのことを考えたら「これはアリかも」って。だから2位に選びました。去年の自分に教えてあげたいです(笑)。
——あとダブルジッパーを採用していて、着こなしに応じてシルエットを変えられるんです。シートベルトをしても着崩れしにくそうですよね。
森田:たしかに。さすが老舗ブランド、細かいとこまでこだわってるんすね。
——去年と違う評価をいただけて、セレクトした甲斐がありました(笑)。
森田:いや〜ダウンベスト、特にこのクレセントに関しては考えを改めましたね。一着は持っておきたいかも。色はこのベージュが気分です。
1位 WILD THINGS|MAKALU JACKET
「ワイルドシングス」は、1981年創業のアメリカンアウトドアブランド。創設者のジョン&マリー・ジョー・ブッチャー夫妻が、本格的な登山経験から培った知見を基に立ち上げたブランドで、タフなギアづくりにこだわり続けている。特にモンスターパーカーやデナリジャケットといったアイテムは、アウトドア好きからストリートユーザーまで、幅広い層から支持を得ている。90年代後半から日本でも展開をスタートし、米軍サプライヤーとしての実績を持つ高機能素材アイテムに、シティユースできるデザイン性を落とし込んだスタイリングで独自のポジションを確立した。
——映えある第1位は、ワイルドシングスのマカルジャケット。2024年冬の最新ダウン&中綿アウターから厳選した5着を森田さんに着比べてもらいましたが、見事トップに輝きましたね。
森田:もう、着た瞬間に「めっちゃええやん」って(笑)。5着それぞれ素晴らしかったんすけど、これは別格でしたね。ホンマこのまま着て帰りたいくらいです。
——そんなに気に入ってもらえてよかったです(笑)。
——アメカジ好きの森田さんの目にどういったところが魅力的に映ったんですか?
森田:まず、レトロアウトドアなシルエットっすね。丸みを帯びたフォルムで、僕の好きな90年代のアウトドアの雰囲気なんすけど、でも今風なんすよ。それに胸のロゴのデザインがめちゃくちゃツボです。
——なるほど。マカルジャケットは、ワイルドシングスのアーカイブモデルをベースにしているんです。ロゴも「WILD CAT」の旧ロゴを現代風にアレンジしたデザインなんですよね。
森田:へぇ。どうりでめっちゃしっくりくるわけですね。
——このモデルは河田フェザーのリサイクルダウンを使っているのもポイントです。日本で回収された羽毛製品をリサイクルして作られたもので、約700フィルパワー。
森田:環境にもやさしいし、めっちゃ暖かいってことですね。
——そうなんです。じつは河田フェザーの技術力はすごくて、リサイクル時の洗浄処理が徹底的で、新品以上にきれいになるケースもあるんです。
森田:このマットなナイロンの生地もいい感じですよね。
——日本のアウトドア用高機能生地メーカーSAITOSの生地で、3層構造のリップストップです。防水性、透湿性が高く、軽量。丈夫なので長く愛用できます。
森田:あとこういうアウトドア系のアウターの裾は絞れるだけ絞って、フィットさせるのが好きです。丈が長くなるとなんとなく落ち着かないんで。フロントジップは全閉めが好みです。
——カラーはブラックを選ばれましたね。
森田:はい。やっぱり黒って使い勝手抜群じゃないですか。アメカジ好きとしては、カーキとかも魅力的なんすけど…結局、黒が一番何にでも合わせやすいんすよ。デニムでも、チノでも、カーゴでも。なんでも合わせられるっていうか。
——たしかに、特にアウトドアブランドのジャケットだと、あえてブラックを選ぶことで都会的な雰囲気も出ますよね。
森田:そうそう。でもワイルドシングスらしいアウトドア感は残ってるとこがかっこいいんすよ。これはもう、自分的に間違いない一着です。
1981年大阪府出身。2008年にコンビ「さらば青春の光」を結成。2011年に「第32回ABCお笑い新人グランプリ」優秀新人賞を受賞、2012年の「キングオブコント」では準優勝に輝き、その後も2013年、2014年、2015年、2017年、2018年に決勝進出。現在はテレビ、ラジオと多数のレギュラー番組を抱えながら、100万回再生超え多数の人気YouTubeチャンネル「さらば青春の光Official Youtube Channel」のほか、古着屋巡りが人気の「五反田ガレージ」に「裏さらば」とサブチャンネルも精力的に更新。主演を務めた映画『大阪古着日和』がU-NEXTほか配信中。
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