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「反転するケースが余裕と遊び心を感じさせる」
2021.09.26
最終更新日:2024.12.18

「反転するケースが余裕と遊び心を感じさせる」

江口大介|江口洋品店/江口時計店 オーナー

「“タンク”以上に美しい時計を見つけるのは難しい」

江口大介

「お店では常時100本以上の時計を扱っていますが、この“タンク レベルソ”を私物として購入したのは3、4年前。出張先のパリで巡り合って、カルティエの時計を本場フランスで購入するというのも運命的でした。レベルソはポロ競技中に文字盤が割れたり、傷がつくのを防ぐためにケースを反転させて保護するというジャガー・ルクルトの画期的なアイデア。ジャガー・ルクルトがカルティエの時計を作っていたという深いつながりもあって、1970年代前後に極少量のみ生産されたモデルです。“タンク”の美しいデザインとレベルソという革新的なギミックが出合ったのは後にも先にもそれきり」

江口 大介 2

「ケースを反転すると、所有者の名前が刻まれています。腕時計として使っているので普段は文字盤を表にしていますが、時には裏返して身に着けています。腕時計なのに文字盤がないということがファッション的にいい違和感になりますし、時計に詳しい方に会う機会があると会話のきっかけにもなりますね」

タンク レベルソ

「“タンク”を初めて見たときの衝撃は忘れられません。こんなに美しい時計があるんだって。調べれば調べるほど魅力に取りつかれていきました。その純粋な造形美は、ずば抜けて完成された美しさをもっていると思います。デコラティブなデザインが多かった1900年代初頭に、これだけミニマルなものを作れたことがすごい。そして、外観だけでなく中身に妥協もない」。

江口 大介 3

「100年以上同じ形で存在し続けるものってなかなかありません。時を超越する完璧さを備えているんでしょうね。“タンク”以上に美しいものを腕時計というプロダクトの中で見つけるのは難しい。“タンク”は永遠です」。

DAISUKE EGUCHIプロフィール画像
DAISUKE EGUCHI

服とヴィンテージ時計を扱う東京・吉祥寺の名店、江口洋品店・江口時計店のオーナー。カルティエの時計は“レ マスト ドゥ カルティエ”から希少な50年代以前のモデルまで豊富な品揃えを誇る。時計の修理もできる他、ベルトやパーツも取り揃える。

Photos:Katsunori Suzuki
Text:Masato Nachi

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