「この時計は私の欠かせないルーティーン」
「14年間暮らしたパリでは、バスやメトロの時刻表というものがなくて、いつも携帯のアプリで到着時刻を確認していました。だから、時間は携帯電話で確認する癖がついていました。でも、帰国して日本で仕事をする中で腕時計の必要性を感じ、どうしようかと思っていた矢先に何気なく通りかかったヴィンテージショップで目に止まったのがこの時計です。一度通り過ぎたもののハッとしてすぐ引き返して試着してみると、とても手にしっくりきて、“絶対にこれだ”って。一目惚れだったんです」。
「直感で”好き”という気持ちだけで買ったので、”タンクの好きなところは?”と聞かれた時にピンと来なくて(笑)。私にとっては、”この時計が好き”と言うほうがしっくりきます。主張し過ぎず上品で飽きることがない。フェイスの大きさとアイボリーの文字盤も気に入っています。もともとネイビーのストラップが付いてたのですが、ボロボロになってしまって、最近付け替えたばかりです」。
「身支度の最後に時計をすると、キリッとモードを切り替えてくれると同時に安心するんです。お守りみたいですね。タイムスケジュールが決まっている撮影現場には欠かさずつけていきます。使い始めて7、8年経ちますが、今ではしていないと落ち着かない。経年変化で、傷がついたりしていくのも自分の時計になっていく感じがして、それが愛おしくてたまらないんです。きっとおばあちゃんになっても使い続けると思います」。
1999年に渡仏し、ARTLIST Parisに所属。2013年にベースを東京に移し、数多くのファッション誌やビューティ誌で活躍中。
Photo:Tomoko Meguro
Composition & Text:Yoko Enomoto