2019.11.23

結婚式にスニーカーはありですか?【教えて! 東京スニーカー氏 #36】

“東京スニーカー氏”ことエディターの小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月イチ連載。今回のお題は「結婚式にも履いていけるスニーカー」について。

結婚式にスニーカーはありですか?【教えての画像_1
結婚式にスニーカーはありですか?【教えての画像_2

ヴァンズのオーセンティックは足が小さく見えるから、僕みたいな背がでかい人が履くとサザエさんの足みたいでバランスがとりにくいです。でもソールにボリュームができたことで、太めのパンツにも合わせやすい。スタイリストの庄くん、結婚おめでとう。この場を借りてお祝い申し上げますが、席次表の僕の字、間違ってました。



ウオモでも活躍しているスタイリストさんの結婚式に招待していただき、出席してきました。ひと回り以上も年下のお祝い事にご招待いただく機会はなかなかないので、何を着て履いていくか迷いました。しかも僕が座る円卓は皆UOMO編集部やMEN’S NON-NO編集部の人間ばかりなのに、席次表に記された僕の肩書は「東京スニーカー氏」。これでは革靴を履いていくわけにもいきません。年に数回も出番がない大好きなジョン ロブの「シティII」を泣く泣く封印することに決めました。



昨今のカジュアルセットアップは例外として、僕は基本的に真面目なスーツにスニーカーって合わないと思います。着こなしのルールにはアイビーリーガー以上に厳格なタイプなので、冠婚葬祭には内羽根のストレートチップ一択。内羽根でスニーカーを選ぶとなると、ケッズかヴァンズかトップサイダーのデッキ型に絞られます。



今回のスーツはエンジニアド ガーメンツにビームス プラスが別注した、ショールカラージャケットと軍パンのセットアップ。サマーウールとサテンを切り替えた、涼しくゆとりのあるシルエットが特徴です。僕の中でデザイナーの鈴木大器さんといえば、ニューバランスかヴァンズなので、今回は黒いオーセンティックに決定。



しかしあまりに定番すぎて芸がないと思っていたら、インスタグラムでビブラム社のクリスティソールを貼り付けたオーセンティックを自作したポスト(@shopgoodsandservices)を偶然発見しました。クリスティソールとはレッド・ウィングに見られるワーク系のソールですが、これなら革靴風にも見えるかな、と早速DMを送ってコンタクト。LAでカスタムやリペアを主に行っている小規模なブランドで、ヴァンズだけでなくナイキやアディダスなどの見慣れた定番をアレンジする発想にセンスを感じました。



英語のやりとりやインスタとの距離感、決済方法などを判断するに、オーナーのローレンはかなり気さくな若い青年と想像を膨らませています。親切でレスも早く「US10で同じものを作ってくれないか」と頼んだら1週間もたたないうちに配送してくれました。思っていた以上に仕上がりも上々。披露宴にふさわしい足元といえませんが、悪目立ちせず、肩書なりのお呼ばれマナーは守れたかと。ちなみにシャツはコム デ ギャルソンの裏前立てのポプリンシャツ、蝶ネクタイはギーブス&ホークス、ホーズソックスはザ ソブリンハウスと、われながら絶妙なチョイス。



イラストやカスタムなど、スニーカーで自分の芸術性や職人魂を表現するアーティストが、インスタグラムをきっかけに増えています。このヴァンズも、商売根性むき出しでお店で売るとルール違反な気がするけれど、こういった個人間のやりとりなら問題ない。昨今はPaypalが主流ですが、今後は誰もが安心して利用できるスマホ決済サービスがどんどん増えそう。スニーカーの流通ももっと自由になれば、盛り上がると思います。

小澤匡行プロフィール画像
小澤匡行
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。スニーカー好きが高じて『東京スニーカー史』(立東舎)を上梓。靴のサイズは28.5㎝。

Illustration:Yoshifumi Takeda
Photos,Composition&Text:Masayuki Ozawa
(2019年12月号掲載)

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