2019.02.25
最終更新日:2024.03.07

【教えて! 東京スニーカー氏 #28】春夏のコレクションで気になるスニーカールックは?|2019年4月号掲載

エディター・小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月いち連載【教えて! 東京スニーカー氏】。第28回は春夏コレクションの気になるスニーカールックについて。

【教えて! 東京スニーカー氏 #28】春の画像_1
【教えて! 東京スニーカー氏 #28】春の画像_2
1月中旬、次の足元事情はいかがなものかと、2019-20年の秋冬のパリ・ミラノコレクションを視察してきました。ショー自体は、相対的に革靴へとトレンドが移行しつつありますが、各会場に集まったファッショニスタたちの割合はスニーカーがまだまだ圧倒的。歩きやすいとか楽だから、という体感的な理由ではなく、純粋にファッションとして楽しんでいるように感じました。


だから最新の一足を買うことも大切だし、色も派手なものばかり。今回は、そんな経験を踏まえて春夏のコレクションから、気になるスニーカールックをピックアップしました。



4つのルックは、スタイリングも靴のテイストもバラバラながら、共通点が一つだけあります。それはこれだけ色を多用しているのに足元が浮いて目立っていないこと。なぜなら全体が同じ配色でまとまっているから。トータルバランスがきちんと考えられているところに、目新しさを覚えました。



個別に見ていくと、話題のヴァージル・アブローによるオフホワイトは、爪先しか見えないのですが、白とスカイブルーの組み合わせをトップス&パンツでも表現。ペンドルトンのブランケットを象徴するチマヨ柄を大胆に取り入れたサカイも、似た配色をナイキとのコラボレーションに使っています。ぱっと見は派手ですが、統一感がきれいです。



今最も勢いを感じるデザイナー、ルーク・メイヤーによるOAMCもまたしかりです。スニーカー単体で見るとボルドーとライトグレーって珍しい配色ですが、コート&パンツのセットアップとインナーのニットの色で構成されているからいたってナチュラルで品がある。



アクネ ストゥディオズは、フェミニンなボーダーの雰囲気をスニーカーで拾いつつ、白パンで爽やかに仕上げています。ちなみに、4足ともソールに共通して厚みやボリュームがありました。ダッド人気の流れはまだ継続って感じです。



ナイキやアディダスといったスポーツメーカー主導でスニーカーを履くことがブームだった時代は、定番や名品を選んだり、ロゴを主張させたり、人がうらやむモデルを履くことが優先されていましたが、今のような絶妙なトレンドの移行期は、ある意味で円熟期。スニーカーに頼るのではなく、どうファッションに変化をもたらすことができるかを考えると、新しい着こなしに出会えるのでは。



「色」が全体のテーマだった3月号のUOMOで伝えたかったのはそんなことだと思います。スニーカーにとって色は、革靴では表現できないおしゃれ要素の一つ。僕も最近はスニーカーをニットの配色に合わせるなど、引き立て役ではなく調整役として考えています。

小澤匡行プロフィール画像
小澤匡行
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。スニーカー好きが高じて『東京スニーカー史』(立東舎)を上梓。靴のサイズは28.5㎝。

Illustration:Yoshifumi Takeda
Text:Masayuki Ozawa
(2019年4月号掲載)

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