UOMOプリント版の連載『教えて! 東京スニーカー氏』でもおなじみの小澤匡行さんが、数多の中から極私的なおすすめモデルを厳選。
01:Clarks|MARTINE ROSE Oxford
センスが光る“オックスフォード”スニーカー
「メゾン系のブランドが好きな人が履くのにちょうどいいのではと思い、今回ピックアップしました。内羽根式のオックスフォードシューズというメンズトラッドのアイコンを、ファットにアレンジしてトウで絞るというのはマーティン・ローズらしい大胆なアイデアだと思います。ほかのスニーカーブランドとのコラボもそうですが、彼女がアレンジするとすごくモードになるのが素晴らしいなと、いつも感心しています。それはイギリスのストリート・カルチャーをきちんと理解しているからなせる業なのでしょう。入口(インスピレーション)と出口(プロダクト)がリスペクトできるデザイナーのひとりです」(小澤)
クラークスがマーティン・ローズをゲストクリエイティブディレクターに迎えた、初のコレクション「カミングアップ・ローズ(COMING UP ROSES)」。2024年春夏のランウェイショーで披露され、話題を呼んだ。オーストリアのアーティスト、エルヴィン・ヴルムの作品”Fat car(ファット カー)”にインスパイアされたフォルムが印象的。ラバーアウトソールと足首まわりにパッドを入れてスニーカーのような履き心地を実現している。
02:KARHU|Synchron Classic
北欧らしい配色と安定感のあるフォルムが見事
「カルフのスニーカーは色がすごく好き。ほかのスニーカーブランドではあまりやらないようなグリーンとブルーグリーンの2トーンに惹かれました。日本ではそこまでメジャーではありませんが、フィンランドでは国民的なブランドです。1952年のヘルシンキオリンピックで15個の金メダルを取ったテクノロジーは、その後も進化を続けています。このシンクロンクラシックはライフスタイルモデルで、スエードの使い方やラストの感じがオーセンティックの半歩先ぐらいで気に入りました。目新しさはありませんが1980年代後半から90年代前半くらいのスニーカーの中央値のようなデザインがいいんです」(小澤)
フィンランドにて1916年に創業されたカルフ。シンクロンクラシックは1980年に発売された。フィット感と耐久性を高めるために内外非対称な革新的レーシングシステムを採用。エアクッションユニットを搭載し、履き心地も快適だ。ちなみにカルフはフィンランド語で熊、サイドのMラインはチャンピオンを意味する「Mestari(メスタリ)」に由来する。
03:AIRWALK CLASSICS|DECKOUT SP “mita sneakers”
スケートシューズだから成立するギミックに注目
「以前は革靴っぽいスニーカーやスニーカーっぽい革靴を受け入れられませんでした。ファッションありきでもスニーカーを考えるようになると、革靴回帰のトレンドにもマッチしているし、今いちばんいいのでは? と思えるようになりました。昔に比べてデザインのクオリティが上がったのも要因のひとつ。エアウォークは90年代からアフタースケートモデルを手がけていますが、このローファースニーカーも然り。ONEというモデルのソールをローファーのアッパーに搭載しています。アッパーはサドルパートやタッセル&キルトが面ファスナー仕様で取り外せるようになって、マルチに楽しめるこのギミックもスケートブランドならではのウィットによるもの。エアウォークだからこそ寛容になれる遊び心だなと思います」(小澤)
エアウォーク クラシックスは1986年に南カルフォルニアで創業したエアウォークの限定ライン。トラッドなローファーのアッパーに名品ONEのソールを組み合わせたDECKOUT(デッキアウト)をミタスニーカーズがアレンジした。面ファスナーで脱着できる黒・白のサドルとキルトタッセルのパーツを組み込み、マルチに楽しめる一足に。艶やかなレザーとマットなスエードで切り替えた、コンビネーションアッパーも好印象。
クラークスジャパンTEL:03-5411-3055
ミタスニーカーズ TEL:03-3832-8346
Stylist:Masayuki Ozawa
Composition&Text:Hisami Kotakemori
Illustration:Yoshifumi Takeda