今季、注目したいのが、ブラウンやベージュ系のアースカラーのスニーカー。暖かみのあるカラーリングは大人っぽさを演出できるし、幅広いコーディネートにマッチする。東京スニーカー氏こと小澤匡行氏がピックアップした6型なら、どれを選んでも損はない。
01:SALOMON|SPEEDVERSE PRG
アーシーカラーのローファイなサロモン
「硬質でテッキーなデザインやオールブラック、オールホワイトといったモードなモデルが定着しているサロモン。タウンシューズのラインでは、ベージュ×ブラウンのような自然を連想させる配色が春夏から目立ってきています。アウトドアブランドでは自然回帰の流れもあるので、サロモンの革新性を意図的に隠しているのも今の時代を象徴しているなと思い、今回このスピードバース ピーアールジーをピックアップしました。スピードクロスのデザインコードを踏襲しているそうですが、ローファイなサロモンにもいいデザインがあるなと感じさせてくれた一足です」(小澤)
サロモンを代表するモデル、スピードクロスを大胆にアレンジした個性的デザインが目を引く。サロモン独自のQuicklace™(クイックレース)レーシングシステムで、着脱しやすいのも人気の理由。
02:ALTRA|OLYMPUS 5 HIKE MID GTX
履いてみたいと思わせる独特のシェイプ
「この連載に登場するのは初ですが、リアルに履いてファッションにも取り入れてみたいと思っていたアルトラ。高低差のないドロップゼロを早くから打ち出してベアフットブームを牽引し、本気のトレイルランナーに高く評価されています。侵してはいけない領域かと思っていましたが、近年、ファッションにも応用しやすい配色が増えました。ブランドを代表するオリンパス・シリーズから登場したハイクシューズもそのひとつ。つま先部分にボリュームのある独自シェイプで足指が広がるスペースを確保してくれるので圧迫感がなく、Vibram®メガグリップのアウトソールの地面をつかむ感じも最高です」(小澤)
安定感とクッション性に定評のあるオリンパス・シリーズ。オリンパス 5 ハイク MID GTXは、トレイルランイングシューズのオリンパス 5をベースにしたハイクシューズ。つま先部分にゆとりのあるアルトラ独自のFootShape™ Fitはもちろん、ミッドカットのデザインが足首のサポートを強化してくれる。軽量で全天候型のGORE-TEX仕様だから、ハイク初心者にもおすすめ。
03:ASICS|GEL-KAYANO 14
白じゃなくてバニラだから合わせやすい名品
「テック感を象徴するシルバーのあしらいやこの粗いメッシュは、白でなくバニラカラーだと落ち着いて見えることに最近気づきました。ゲルカヤノ14は2008年にリリースされ、アメリカのランニング専門誌『RUNNER’S WORLD』の「INTERNATIONAL Editor’s Choice」賞を受賞したことで日本でも脚光を浴びました。2021年に復刻されてからは、キコ・コスタディノフがデザインしたり、JJJJoundやKITHもコラボするなど、現在のスニーカーシーンを牽引する存在です。2000年代を象徴するど真ん中のデザインだからこそ、クリームアッパーとかペールトーンのラインのような大人っぽいこの感じがよいと思っています」(小澤)
1993年に初代が登場したゲルカヤノの14代目。機能に応じて適材適所に多様な素材を配すことで生まれた、当時としてはボリュームのあるシルエット。メゾンブランドもオマージュするモデルとして、スニーカーファンからも注目されている。バニラカラーは2024年春夏の新色。
04:Reebok|Adsum Club C Mid Ⅱ
ミッドカットにソールまでのブラウンが絶妙
「クラブ シーはハイテクソールとか機能とは別の次元での履き心地のよさ、履き口がパイルになっているのも気に入っていて、毎日履きたいと思える要素がこの靴にはあります。NYのブランド、アドサムとのコラボはミッドカットという点と、使いやすいブラウン×ダークブラウンソールの配色もいいんです。ワイドジーンズなんかのときは足元にボリュームが欲しくなるので、ミッドカットがバランス的に合うんですよね。それから本来“Reebok”と入るべきタンやヒールカウターが”Adsum“になっていたり、サイドのボックスがブランクになっているのがブートレグっぽくて素敵です」(小澤)
2015年スタートした東海岸スタイル×スポーツを提案する、NY発のメンズウエアブランド、アドサムとのコラボレーション。クラブシー ミッド IIをベースに、ダークブラウンのヌバックアッパー&ヘアリースエードのヒールパッチでミニマルにアレンジした。スポーティなスタイルよりも、かっちりした着こなしに合せたくなる一足。
05:THE ROW|OWEN RUNNER
上品なレトロモデルにはアノニマスな魅力も
「ザ・ロウの定番“オーウェン ランナー”の新色です。ミニマルが魅力のザ・ロウが、こういうスニーカーをつくっているのはとても合点がいきます。ナイロンの素材感がすごく有機的で、アッパーのサイドに自然にできるシワの凹みもすごくいい。70年代のランニングシューズを彷彿とさせるデザインも好印象です。僕のラグジュアリーブランドのスニーカー所有率は、全体の1割にも満たないですが、スニーカー好きなら一足ぐらいはメゾンのものを持っておくと、価値観が変わっていいと思います。例えばこの配色のように、スポーツメーカーにはない魅力に気づけたり、偏差値が高まるんですよね」(小澤)
シンプルベーシックな定番モデルを、1年を通してどんなワードローブにも合わせやすい、ソフトなスエードとナイロンのコンビネーションで仕上げた。ロゴなどがなく、匿名性の高いプロダクトを提案し続ける、ザ・ロウの哲学が反映された一足は、タイムレスに履くことができる。