幅広いコーディネートに似合ううえ、着こなし全体を引き締めてくれる黒スニーカーは、何足持っておいても損はない。今回は、UOMOプリント版の連載でもおなじみの「東京スニーカー氏」こと小澤匡行氏が、アウトドアやスポーツに対応するモデルから、ジャケットスタイルに似合うエレガントなモデルまで計6型をピックアップした。
01:KEEN|WK400
転がるように楽しく歩ける新テクノロジーを採用
「世の中の多くの人が描く“キーン=フェスのサンダル”というイメージが、僕の中ではだいぶ薄まって、今はWK400(ダブルケーフォーハンドレッド)のようなテック感のあるシューズに注目しています。WK400は歩くことを科学的に掘り下げた、KEEN.CURVE™(キーン・カーブ)テクノロジーを採用したウォーキングシューズ。転がるように楽しく歩けるのが魅力です。キーンの動画では、歩くことでストレスが減り、よりクリエイティブになれるとアピールしていたのが印象的でした。心と仕事にいいこのシューズありきで、コーディネートを考えるのもありなのではないでしょうか」(小澤)
キーンを代表する「ユニーク」を発明したローリー・ファースト Jrが、物理学と環境科学の博士号をもつ友人チーロ・フスコとKEEN.CURVE™テクノロジーを開発。足を包み込むアッパーとカーブした形状のハイテクソールユニットがスムーズな前進力を生み出し、新感覚の歩き心地を実現する。
02:J.M. WESTON|Canasta Elastic #938
ミニマルなルックスの洗練された革スニーカー
「革靴で名を馳せたブランドが、秀逸なカジュアルスニーカーをたくさんつくる時代になりました。とはいえ、多くの人はスニーカーを買うぐらいなら革靴を買いたいと思っているようで、その気持ちもわかります。そんな折、ジェイエムウエストンで革靴を買う満足感も満たしてくれるモデルを見つけました。外周を一周するラバーテープのあしらいや内羽根のつくりがスニーカーっぽくはあるんですが、ステッチを表に出さない縫製がミニマルで、モードっぽい雰囲気もあります。これはまさに、革靴を買う気持ちで買える傑作。見れば見るほど欲しくなります」(小澤)
ソフトカーフのアッパーにモノグラムラバーソールの「カナスタ エラスティック #938」は2022年秋冬に登場した新型。エラスティックの構造を採用して、洗練されたフォルムと脱ぎ履きが簡単にできる仕様を両立した。スマートカジュアルからモードな着こなしまで、幅広いスタイルに合せられる万能シューズ。
03:Salomon|REELAX MOC 6.0
リカバリーシューズの可能性を画策
「先月、国立競技場で開催された駅伝を走ったり、リカバリーシューズが活躍する場面が、僕のライフスタイルにも出てきました。リカバリーサンダルに比べて、デザイン的には発展途上な感じがしますが、サロモンのリラックス モックは踵が踏めたり、足にやさしいメッシュのフィット感だったり、余計なものがないところがいいなと思いました。これをどうファッションとして昇華していくかは目下の課題ですが、ポジティブに取り入れていこうと画策中」(小澤)
踵部分を折り畳んでスライドとしても活用できる2WAYモック。やわらかくて通気性に優れたメッシュアッパーと成型インソールで、長時間ラクに履ける。コーディネートにテックなムードを添えたいときにも重宝する一足。
04:Last Resort AB|CM001 Suede / Leather
レザーアッパーも大人っぽいカップソールモデル
「兼ねてから注目しているスケートシューズブランド、ラストリゾートエービーから新型でカップソールのモデルが登場しました。それにともなってPUを注入したCloudy Cush(クラウディクッシュ)というインソールも新たに開発されたようですが、何より惹かれたのは僕が好きなデザインの流れを踏襲している点。特にこの黒×黒は履き口のブラウンのライニングが映えて、ラグジュアリーな雰囲気。スポーツメーカー以外で履きたいと思うスニーカーブランドは希少ですよね」(小澤)
シボレザーのアッパーにスエードを配した、ミリタリートレーナー風のデザイン。スケートボーディングの摩擦に強い素材を採用することで、ハードスケーターにも対応するタフなスケートシューズが完成。
05:ENGINEERED GARMENTS×K・SWISS|CLASSIC GT
K・SWISSとの初コラボもアシンメトリーに
「K・SWISSの『クラシック』は80年代、90年代に大きなブームがあって、個人的には中学時代に学校で履いていたスニーカーというのが出会いでした。EG(エンジニアド ガーメンツ)がK・SWISSとコラボするのはこれが初だそうです。スムースレザーとスエードの切り替えがEGらしい感じですよね。意外にポイントはゴム紐に替えられたシューレースかもしれない。レザーも上質なのか、とても履きやすいし。気分的にもコーディネート的にも、ハイテクなスニーカーよりもローテクが落ち着くときってありますよね? もう卒業かと思っていた『クラシック』をまた履きたいと思わせてくれました」(小澤)
80年代に大ヒットしたオールレザーのテニスシューズ「クラシック」をベースにした別注。スニーカーには珍しいDリングアイレットや、5本のサイドライン、つま先の強度を高めた3ピーストウ構造はそのまま、同色のスムースレザーとスエードで左右非対称に切り替えた。スピンドルの留め具が付いたゴム紐仕様だから、イージーに脱ぎ履きできる。
06:On|Cloudsurfer
オンらしい顔ながらファッション感度高め
「まわりでオンを履いている人が急激に増えています。NYあたりでもスーツにニューバランスというテンションだった人たちが、ジャケパンにオンを合わせるようになったそうです。最新のクラウドサーファーは、オンの創設期のモデルに最新のテクノロジーを搭載した新型だそう。足入れしたら想像以上によくて、ちょっとモード感のある服装に合わせるとクールに見えることが自分にとって大きな発見でした。今まではオンの中でもスニーカーのトレンドに沿った厚底モデルが気分でしたが、クラウドサーファーのようなオンを象徴するモデルを、人に勧めたくなりました」(小澤)
クラウドサーファーは2010年にオン初のランニングシューズとして登場。「雲の上の走り」が体感できるシューズとして人気を博した。今回その履き心地を進化させるため、最先端のテクノロジー「CloudTec Phase®(クラウドテックフェーズ)」を搭載。ドミノ倒しのように次々と崩れて連動することで、画期的なローリング動作が可能になった。