幅広いコーディネートにマッチして、着こなし全体を引き締めてくれる黒スニーカー。今年も新作が続々登場したが、選択肢が多いだけにどれを選ぶべきか頭を悩ませている人も多いはず。そこで、東京スニーカー氏こと小澤匡行氏が今年、注目した黒スニーカー8足をご紹介。ぜひもの選びの参考にしてほしい。
01:F.LLI GIACOMETTI|Exclusive Leather Sneaker “FG393”
「ドレスシューズの製法でつくられたスニーカーが昔から好きです。中でもイタリアっぽいムードを漂わせているデザインに目がなく、フラテッリ ジャコメッティのこのレザースニーカーもそんな一足。アッパーのステッチの仕上げやフォルムも美しく、この靴に合わせるファッションを考えるのも楽しい。個人的には革靴ゾーンの靴だと思っているので、ドレスっぽく履いたら意味がない。基本的にはカジュアルに振って履きたいと思います」(小澤)
エレガントなハンドメイドシューズでおなじみ。ファンの間では名作と評判の“FG393“をバーニーズ ニューヨーク限定で復刻。アッパーには最高級のカーフ素材”シャトーブリアン”を使用し、トウまわりのステッチはアッパーの表面に縫い目が見えないように折り込んで加工するレベルソ仕上げ、マッケイ製法でつくられる。クラシックでモダンなルックスはもちろん、クッショニングのきいた履き心地も魅力。
02:Jalan Sriwijaya|INTELLIGENCE SHOES
「普段からジャランスリウァヤをチェックしているわけではないんですが、ショールームでこのシューズを見たときに90年代から2000年代にかけてヒットしたカンペールやシルヴァノ マッツァ、当時のレザースニーカーブームの礎を築いたブランドのデザインと似たものを感じて。革靴を履くほどではないけれど、スニーカーって気分でもないよな…というときに最高のデザインだと思いました。特につま先のウィングチップ風の切り替えが大人っぽいです」(小澤)
ジャランスリウァヤはイギリス仕込みのハンドソーンウェルテッド製法を用いて、インドネシアで良質なレザーシューズを手がけるブランド。インテリジェンスシューズと銘打たれたスニーカールックの革靴は、上質なフレンチカーフのアッパーにエクストラライトソールというハイブリッドな傑作。
03:Hender Scheme|Polar
「このところレザースニーカーが気になっていたので、エンダースキーマの新作はツボです! ウィングチップをスニーカーとして見せるデザインが秀逸です。メダリオンやパーフォレーション、切り替えと素材のレイヤー…これを思いつくところもさすがなんですが、レザーシューズのようでいてフィットは完全にスニーカーというところに面白さを感じました。しかも履き心地がいい。ザ・ノース・フェイスとのコラボが話題を集めていますが、大人向けスニーカーとしてはこちらに軍配をあげたい」(小澤)
カーフやキップ、ステアとさまざまなカウレザー、ゴートレザー、オイルレザーなど多種のレザーをアッパーに採用。パーツごとに風合いがことなり、オールブラックながら奥行のある表情に。クッション性の高い低反発素材のインソール、踵まわりにはパッドをあしらい履き心地よく仕上げている。
04:SHINYAKOZUKA|MASSIVE-TOP
「ウルトラスエードの軽いアッパーにずっしりとしたヴィブラムソールで、スニーカーとブーツ、両方のプロポーションを見事に表現しています。サイドにファスナー付きでライニングのすべりもよく、とても履きやすい。トウやソールのフォルムも今のファッションの感覚にマッチしています。オリジナルでフットウエアを手がけるファッションブランドが減っている中、シンヤコヅカがこんなクオリティの高いスニーカーをつくっているという点に気概を感じて、今回ピックアップしました」(小澤)
ブーツライクな履き心地とスニーカーの軽快さを併せ持つ2022年秋冬新作のハイカットシューズ。アッパーには耐久性に優れた合皮素材「ウルトラスエード」を採用。シンプルながら個性のあるデザインは、デニムのロールアップスタイルからモードカジュアルまで汎用性も高い。
05:PRADA|Personalized Prada America’s Cup lace-up sneakers
「アメリカに留学していた2000年の12月にNYで、このモデルのシルバーを買ったことは今もよく覚えています。見た瞬間、懐かしさがこみ上げてきました。2000年代らしい流線形のデザインは、今また刺さる人も多いのではないでしょうか? 当時のプラダは近未来的なイメージが強く、シルバーカラーが人気を集めていました。今は年齢的にもオールブラックが洒落ているなと。パーソナライズにもトライしましたが、やっぱりプラダはワントーンが素敵だと思いました」(小澤)
90年代にプラダが、アメリカズカップに参加するイタリアの「ルナ・ロッサ」チームのためにデザインしたスニーカーを復刻。プラダのカスタマイズサービス「ACファクトリー」を利用すれば自分好みの素材、色でアレンジして、イニシャルを入れることも。アッパーには通気性に優れた革新的なバイクファブリックを採用。巻き上がったヒールソール、赤いロゴラインのあしらいは今なお耀きを放つ。
06:C.E|CAV SHOES #2
「ファッションブランドのスニーカーは、スポーツブランドとは違う発想でつくられているのが魅力です。C.Eの第2弾となるこのスニーカーも、立ち位置が難しいチャッカタイプを見事にカッコよく仕上げています。ヌバックアッパーにスムースレザーで補強を加えて、アンクル部分にはスケートシューズのようなパッドを装備。あるべきものがないような引き算のデザインが、うまく機能している気がします。キャンバスチャッカスニーカーだともの足りないけど、ブーツでは重たすぎるというときはコレですね」(小澤)
オリジナルシューズ第2弾は、C.E初のハイカットスニーカー。ヌバック×スムースレザーのブーツライクなルックスで、ジャケットスタイルにも合わせやすいミニマルなデザイン。初代モデル同様、ヒールにはC.Eおなじみのジッグラトグラフィックを刺しゅうであしらった。
07:NEEDLES×VAULT BY VANS|ERA / SLIP-ON
「スニーカーマニアの間ではおなじみの、左右異なる色のスニーカーを履く“バカ履き”。個人的にヴァンズなら意外とありだなと思っていたら、ニードルズとのコラボはなんとモデルすら異なるという驚きのアプローチ。最近ヴァンズのスリップオンやオールドスクールをよく履いていますが、少し物足りないと思うときに試してみようかな。色みも落ち着いた黒がいい感じです。30年間スニーカーシーンを見てきましたが、この履き方をしてみたい、と本気で思ったのは初めてかも」(小澤)
ヴォルトバイ ヴァンズは2003年に始動したヴァンズのハイエンドライン。このコラボは左がエラ、右がスリッポンのアシンメトリックデザイン。今季のニードルズのシューズラインのキーカラー、ブラックとトープの2色をスエード素材で展開する。VANSのロゴタグにはブランドカラーのパープル。シンプルベーシックながらインパクトが出せるスニーカーだ。
08:CONVERSE|LEATHER ALL STAR J HI
「コンバースにはいろいろなラインがありますが、僕はモデル名にJがつくMADE IN JAPAN派。オールスター Jは木型が細く、ラバートウキャップも小さめ。シュっとしたルックスが特徴です。ビリーズ別注は、過去にシボ革のオーセンティックを買って、レザーを使うのが上手いなぁと実感したことがあります。革が上質でやわらかく、色みや艶感もとてもいんですよ。このコンバースも然り。永遠の定番といわれるオールスターとプレミアムな姫路レザー。もとの素材がいいと相乗効果がすごいですね」(小澤)
国内でも希少なヴァルカナイズ製法を守り続けるシューズ工場にて、熟練の職人によってつくられた日本製オールスター。北米産原皮を姫路にてなめしから仕上げまで一貫した、プレミアムな国産レザーをアッパーに採用。ビリーズが得意とする洗練された本物のスニーカーが完成した。