2024.03.17

アシックス、ヴァンズ、アディダス… 大人がいい服に合わせたい「語れるミニマルなスニーカー」8選(後編)

ラグジュアリーをカジュアルに装うストリートのトレンドは落ち着き、シンプルな中に、わかる人にはわかるさりげない品格が求められている。そんなウェアに合わせたいスニーカーもまた、見た目重視ではなく、ミニマムで語れるデザインが気分。エディター小澤匡行が、その基準を解説。

アシックス、ヴァンズ、アディダス… 大人の画像_1
LAST RESORT AB VM005 ASICS GT-2160

4(右)LAST RESORT AB VM005

ブランド独自開発のCLOUDY CUSHインソールを採用。上質なスエードのアッパー。

スニーカー¥15,400/ラストリゾートエービー(ディアゲスト)

スウェット上下のホームウェア的なスタイル。抑えた色味で素材の上質さを引き立てた。首元に赤をアクセントに使うことで、贅沢な刺激を取り入れた。タッセルローファー型の一足で、シンプルにひねりを加えて。

スウェット¥39,600・パンツ¥42,900/エイトン(エイトン青山) シャツ¥16,940/ワイルド ライフ テーラー ソックス/スタイリスト私物

5(左)ASICS GT-2160

2010年代前半に発売されたGT-2000シリーズのデザインをアップデート。

スニーカー¥17,600/アシックス(アシックスジャパン カスタマーサポート部)

今季的ラグジュアリーに欠かせない要素がクラシック。ステッチが静かに主張するジャケットのワーク感に、アシックスのギーク感が絶妙にマッチしている。スポーツ感を払拭したランニングシューズは、キコ・コスタディノフ監修によるもの。

ジャケット¥74,800/ヨーク(エンケル) ニット¥59,400/ボーディ(alpha PR) パンツ¥57,200/SEVEN BY SEVEN

スニーカーはカルチャーとの関係性がスタイリングに影響しているので、見た目は革靴なのに快適、っていう論では履く理由にはなりにくい。でも、スケートブランドの作る革靴スニーカーは別。2000年代初期から、スケーターがパーティに行くシーンを想定したローファー型スニーカーが増えました。ストリートな彼らにとって革靴は必要ないんですよね。ラストリゾートABのタッセルスニーカー(右)は、そういう背景に重力を感じました。ちなみに履き心地は軽やかです。アシックス(左)はY2Kのトレンドが人気を支えていますが、スポーツ感を排除した配色に大人の色気を感じます。テーラードジャケットが今季は注目されていますが、ちょっと高級な服と合わせると、いい40代に映りそうです。


J.M. WESTON HUNT ONTIME VANS SK8-MID REISSUE 83

6(右)J.M. WESTON HUNT ONTIME

人気のダービーシューズ、ハントにスニーカーのソールをハイブリッド。

スニーカー¥121,000/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店)

上品なショート丈のレザーブルゾンに濃紺のインディゴジーンズ。パリジャンのカジュアルな雰囲気を感じるシンプルな装いを贅沢に見せる足元はスエードのオックスフォード型が正解。白ソックスで抜け感をプラス。

ジャケット¥154,000/カル ニット¥61,600/ボーディ(alpha PR) パンツ¥40,700/エドウイン フォー マーガレット ハウエル(マーガレット・ハウエル) ソックス/スタイリスト私物

7(左)VANS SK8-MID REISSUE 83

8オンスのキャンバスは古きよき仕様を再現。光沢のあるサイドのテープもレトロ感を高めた。

スニーカー¥12,650/ヴァンズ(VANS JAPAN カスタマーサポート)

淡いオフホワイトのジャケパンには、スニーカーを目立たせずにグラデーションで全体のバランスを意識。ボトムがきれいに収まるミッドカットをチョイス。

ジャケット¥132,000/スタジオ ニコルソン(スタジオ ニコルソン 青山) Tシャツ¥15,400/エイトン(エイトン青山) パンツ¥37,500/セーラー ドアー(アントリム) メガネ¥67,980/ハフマンス&ノイマイスター(コンティニュエ)

王道をあえて選ばない「じゃないほう」セレクトは、UOMOが得意とする天邪鬼理論ですが、スニーカーにあてはめるならジェイエムウエストンです。シグネチャーローファーでもゴルフでも、まして革靴でもない「ハント オンタイム」(右)は2000年前後にエルメスやシルヴァノ・マッツアなんかが作っていたスニーカーの雰囲気を思い出します。これはフランスのリモージュ工場の職人の手で作られていて、なんならソール交換も可能だとか。一方のヴァンズ(左)は、新しく発売されるVANS PREMIUMシリーズのもの。これはUSAのオリジナル工場で生産されていた昔の時代の仕様を再現しつつ、高級感が細部に表現されています。ともにクラシックで、さりげなくラグジュアリーです。


adidas Originals LONDON

8adidas Originals LONDON

フットボールシューズがベース。1970年代に発売された都市名を冠したシティシリーズの復刻。

スニーカー¥15,400/アディダス オリジナルス(アディダスお客様窓口)

ロロ・ピアーナの中でも最高級のウールと称されるザ・ギフト・オブ・キングス®のカーディガンを定番のタートルネックニットにレイヤード。ステータスのある素材に投資しつつ、足元はレトロなアディダス。ハイ&ローがスタイルに深みをつくる。

カーディガン¥1,015,300・ニット¥271,700・パンツ¥210,100/ロロ・ピアーナ(ロロ・ピアーナ ジャパン) メガネ¥67,980/ハフマンス&ノイマイスター(コンティニュエ)

アディダスのサンバがつくり上げた、薄くて細いスニーカーのムーブメントは、パンツの選び方や見え方を劇的に変えたと思います。普遍的なストレートジーンズやチノ、そして上品なスラックスに合わせてもシルエットに干渉せず、スニーカーの主張も控えめになりました。大人はそのくらいがおしゃれです。その成功例に倣ってアディダスでも薄くて細いアーカイブを掘り起こしていますが、発売を控えているLONDONも同様の魅力があります。爪先の面積がサンバやガゼルなどより明らかに狭く、よりキュッとした印象。上から見たときにワイドスラックスからはみ出た見え感が好みで、上質なロロ・ピアーナがよりドレッシーに見えます。


Masayuki Ozawa
1978年生まれ。著作に『東京スニーカー史』(立東舎)、『1995年のエア マックス』(中央公論新社)など。本誌主催による藤原ヒロシの「FRAGMENT UNIVERSITY」の助教授としても奮闘中。朝日新聞のコラムも執筆中。




Photos:Keita Goto[W]
Hair&Make-up:Ryoki Shimonagata
Stylist:Masaaki Ida
Models:Hisaki Hayashi  Kai de Torres  Kio de Torres  Sanmy  Yoshiaki Takahashi  Yusuke Oshiba
Composition&Text:Masayuki Ozawa[MANUSKRIPT]

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