毎日のようにアプリで発売されるデジタル上のスニーカー争奪戦に振り回されるのではなく、自分なりの価値基準をもって向き合いたい。必要な一足のヒントは、自分の歴史にある。二人の靴好きのスニーカー履歴書。
![ジョーダンからメゾン マルジェラまで。二の画像_1](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_eye-3.jpg)
![スニーカー](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img01.jpg)
1 ボッテガ・ヴェネタのスリッポン。
2 メゾン マルジェラのジャーマンはひもなしでも履ける2WAY。
3 ステューシー35周年のジャカード柄オールスター。
4 ナイキのエア リフトはエディフィスのロングセラー。
5 コンバース アディクトのワンスターローファーも’90sの名品。
6 ノンネイティブとワコマリアとの3社コラボによるオールスターはジップが特徴。
7 アディダスのブーストはお気に入りのハイテクソール。
8 アディダスのスーパースターは裏原スタイルの象徴。
9 履く、履かないは別として40代があらためて通るべきナイキ エア マックス95。
10 アシックスのランニングなど新トレンドもトライすべき、と大瀧さん。
11 ミタスニーカーズ別注のアディダス・タバコは10年以上愛用中のお気に入り。
12 A.P.C.別注のダンクハイは’90sのティンバーランドへの憧れから。
13 ニューバランスの2002。ワイドなスラックスとの合わせが鉄板。
14 エディフィス別注のスタンスミスは大瀧さんの仕事。
15 エア ジョーダン1はセメント柄にストリートカルチャー感。
16 ニューバランスの992は昨今のスタンダード。
17 純白が潔いハイク別注のスタンスミス。
18 AJ1はバスケットマン永遠の憧れ。これはミッドカット。
スタイルを更新し続けながら’90sスニーカーの鮮度を保つ
僕がスニーカーを最初に意識したのは、バスケ部だった中学生の頃に知ったエア ジョーダンXです。と同時にエア マックス95の大ブームを経験してファッションに興味をもちました。地元にできた仙台のエニイウェアに通い詰めた裏原宿全盛期には、アディダスのローテクの価値観を学びました。
入社時、勤務先のエディフィスでスニーカーといえばコンバースかスペルガくらいで、ストリートの概念がありませんでした。僕は販売員時代に上司に怒られながらも反抗してエア ジョーダンをスーツに合わせていましたが、そのうち世の中でスニーカーのムードが高まり「それもアリだよね」的な雰囲気になって助かりました(笑)。2011年にバイヤーに就任して以降、クラシックなスーツから現代的なセットアップへと流行が移り、僕も自分の趣味や引き出しで、足元を提案できるようになりました。
エディフィスに昔から存在する“ハズシの美学”を20代のうちに徹底的に鍛えられ、自分のスニーカー歴とファッションをどう結びつけるか、そればかりを考えてきました。ハイプなスニーカーも好きですが、それをどう履きこなすかが大事。特にボトムスとのシルエットのバランスが重要です。これを更新し続けないと、古く色褪せて見えてしまいます。逆を言えば、ファッションが更新されれば、スニーカーの選択肢も進化する。テーパードからワイドにパンツトレンドが変わったことで、ハイカットのコート系などボリューミーな足元が似合うようになった。メゾン マルジェラやボッテガ・ヴェネタなどスポーツメーカー以外のスニーカーも好きです。この手のものを選ぶときは、より服との親和性が大切。まず自分のキャラクターに合うかどうかを真剣に考える必要があります。
やはり僕は服屋の人間なので、足元にクローズアップするより全身で引いて考えます。思い返せばそれは’90年代から変わりません。藤原ヒロシさんがリーバイスの505にローテクのアディダスを合わせる姿に感化されたあの頃のように、トータルで魅力的に映るスニーカー選びがすべての基本です。
![ÉDIFICE バイヤー 大瀧北斗さん](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img02-3.png)
ÉDIFICE バイヤー
大瀧北斗さん
1982年生まれ。裏原カルチャーの洗礼を仙台で受けた後、ベイクルーズに入社して以来エディフィス一筋。2011年にバイヤー就任。’90sストリートのコレクターでもある。
![NIKE 1](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img03.jpg)
NIKE
左右色違いのエア ジョーダン1はユニオン別注。
![JORDAN BRAND 1](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img04.jpg)
JORDAN BRAND
ウーブン編みが特徴的なAJ1は最新のユニオン別注。
![NIKE 2](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img05.jpg)
NIKE
レオパード柄のナイキ ACG モックもユニオン別注。
![adidas](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img06.jpg)
adidas
ユニオン別注のスペツィアルはNYのB-BOYカルチャーより。
![adidas×Wales Bonner 1](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img07.jpg)
adidas×Wales Bonner
ウェールズ・ボナーとの初期コラボレーション、サンバ。
![JORDAN BRAND 2](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img08.jpg)
JORDAN BRAND
薄ピンクが魅力のウィメンズ ジョーダン デルタ。
![NIKE 3](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img09.jpg)
NIKE
アウトドアカラーで新装したエア リバデルチ ハイ。
![VANS 1](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img10.jpg)
VANS
オールドスクールの海外限定色のネオンカラー。
![NIKE 4](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img11.jpg)
NIKE
オリジナルカラーの復刻。ACG エア リバデルチ ハイ。
![NIKE 5](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img12.jpg)
NIKE
ACGのエア ベイクド ミッド。2009年製の珍品。
![NIKE 6](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img13.jpg)
NIKE
シンプル至極なバッシュは’80sの名作、エア シップ。
![adidas×Wales Bonner 2](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img14.jpg)
adidas×Wales Bonner
ウェールズ・ボナーとのコラボ。ニット素材のSL72。
![NIKE 7](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img15.jpg)
NIKE
ランニングの復刻は’90sのロンドンスタイルの影響。
![JORDAN BRAND 3](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img16.jpg)
JORDAN BRAND
スウッシュのないオールピンクのAJ1 ローカット。
![asics×AWAKE NY](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img17.jpg)
asics×AWAKE NY
ゲルカヤノ 5 360のアウェイク別注はアウトドア解釈。
![VANS×JULIAN KLINCEWICZ](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img18.jpg)
VANS×JULIAN KLINCEWICZ
鮮やかなパープルスエード。換えひもでアレンジ。
![adidas×OAMC](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img19.jpg)
adidas×OAMC
ルーク・メイヤーが手がけるコラボ。2019年製のTYPE O-1L。
![VANS 2](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img20.jpg)
VANS
ハーフキャブは細いフォルムがボトムスと好相性。
![JORDAN BRAND 4](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img21.jpg)
JORDAN BRAND
左右色違いのAJ1 。ランス・マウンテンとのコラボ。
![VANS 3](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img22.jpg)
VANS
メイデンノワールによるハーフキャブ。2016年製。
![NIKE 8](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img23.jpg)
NIKE
トム・サックスとのコラボは配色に惹かれて購入。
![VANS×STRAY RATS](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img24.jpg)
VANS×STRAY RATS
ストライプをステッチにしたオールドスクール。
![NIKE 9](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img25.jpg)
NIKE
’90sの名作をアップデートしたエア ズーム タラリア。
![VANS×STÜSSY](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img26.jpg)
VANS×STÜSSY
ステューシー別注のオールドスクールこそルーツ。
![MIZUNO×DIGAWEL](https://img.webuomo.jp/article/parts/image/archive/333791/2023_10_231003_sneaker_img27.jpg)
MIZUNO×DIGAWEL
’90sトレッキングを着想源にしたカラーリング。
カルチャーとの関係を学び新しい定番を探し続ける
アメカジは存在していたけど、ストリートの概念が確立されていなかった中学生の頃、スパイク・リーが映画で履いていたエア ジョーダンが欲しくなり、音楽と映画とスニーカーの関係に興味をもちました。その後、バッシュをファッションに取り入れる動きが高まって、スケートとヒップホップ、二つのカルチャーを雑誌などで学んでは、気になったモデルを上野や渋谷の並行輸入店で購入する。’90年代はその繰り返し。例えば左右色違いでエア ジョーダン1を履くランス・マウンテンから、バッシュではないバッシュの履きこなしの影響を受けました。アウトドアものを取り入れる東海岸のヒップホップスタイルもそう。また雑誌のロンドンのスナップ記事を参考に、ストリートウェアにレトロなランニングシューズを合わせていました。
そうした流れから、ステューシーで約15年、その後ユニオンで5年以上、カルチャーとスニーカーの関係に携わっていますが、昔はただモノとして買っていたものが、年々ファッションの一部になってきたと感じます。主役だったはずのスニーカーが引き立て役以上にはならないことに気づき、最近はジョーダン1、ヴァンズやアディダスの細身のシルエットがワードローブの中心に。欲しいな、と思う基準は、基本的にカラーリングです。コラボとか限定への憧れは、あまりないですね。ハイヒートなスニーカーでも色とデザインが気に入れば欲しいし、インラインで探す楽しさも変わらずあります。
僕の色彩感覚は、派手でも地味でもないと思っています。それは’90年代のアウトドア、特にイエローヌバックや蛍光色のトレンドの影響が大きい。スポーツっぽくない配色に惹かれ、失敗を繰り返しながらスタイリングできるようになっていきました。世間的な定番に興味はなく、“新しい定番”を10代の頃からずっと探し続けています。
UNION マーケティングディレクター
白橋誠一郎さん
1977年生まれ。JACK INC.に勤務後、ステューシーの企画、PRを経て、現在は日本におけるLA発ユニオンのマーケティングディレクターとして従事。
Composition&Text:Masayuki Ozawa[MANUSKRIPT]