サロモンのニューモデル、DRX ディファイグラベルは、ロードとオフロードを自由に行き来できるランニングシューズ。ちなみにグラベルは「砂利」の意味。グリップ力が高く、砂利道でもズズッと滑らずにしっかりと走れるのが魅力。まだ普段履きしか試してないので、公園の芝コースをゆっくり走る週末ランで試してみたいです。/私物
サロモンの今どきな選び方って?
1週間規模の出張や旅行時のスニーカー選びは、自分が何を大切にしているのか、価値観に気づくよい機会だと思う。なんせ1〜2足で5〜7日分のスタイルをカバーしなくてはいけないわけだから、第一に見た目が万能であること。次は歩きやすいこと。そして悪天候や悪路に強いこと。この3点が大切です。加えて僕が大事にしているのは「現地でほかのスニーカーを買いたくならないこと」です。ついつい海外に行くと買い物をしてしまうのですが、すごくお気に入りの一足を履いていると、そんなに物欲が出ないことに気づきました。汚れてもいいや、と打算的な考えで2軍スニーカーを毎日履いていると、新しいのを買いたくなります。これは財務上、よろしくない。
10月、久しぶりに撮影でロンドンに行きました。街を見渡すと、さすがテラスシューズ発祥の地とあってアディダスとプーマの薄底シューズが多かったです。店を見ても、サンバよりもハンドボールのほうが充実していて、日本未発売カラーもあったような。2000年前後、日本では並行輸入店が買いつけたキャンパスやガゼルのUK限定カラーが盛り上がっていました。モデルは定番だけどみんなが持っていないカラーが欲しかった若い頃の記憶が甦り、またふつふつと物欲が…。
いちばん驚いたのはサロモンでした。日本での人気は知っているものの、ヨーロッパでの勢いはそれ以上かも。取扱店舗の多さ、各店での扱いのよさを見て、ほんとに流行ってるんだな、と実感しました。いわゆる足元のファッションの先端にいるパリに流れる空気感がありながら、アディダスほどではないけれどロンドンの街に馴染んでいる、その両立感がよかった。僕もリカバリーサンダルを含めると6足ほどサロモンを持っていますが、普段着ている服よりも「硬質さ」が際立つデザインなので、履きこなしが難しかったりする。硬さと柔らかさに限らず、対極を表現するってとてもファッション的。若さの特権な気がしていて、ちょっと気恥ずかしかったり。そこでスタイリングにコントラストをつくらないサロモンを探すことにしました。
そして見つけたのがデンマークのサイクリングウェアブランド、PAS NORMAL STUDIOSとコラボレーションしたDRX DEFY GRVLです。グラベルシューズのアウトソールから着想を得たグリップ力だったり、軽さだったりと、わりと普段でも履きやすいトレーニングシューズ。加えてワントーンの配色も相まって、見た目の硬さがない。今の僕に理想的なサロモンに出会えました。ワントーンは人気ですが、そこに理由がないと欲しくならない。でも、PAS NORMAL STUDIOSはオフロードや自然の景色に溶け込む配色が特徴なので、アース系のトーナルカラーが得意。北欧らしいセンスを感じてソックスや帽子をランニングでも使っています。万能な見た目、悪路への対応力、歩きやすさ。すべて備えた新しい出張スニーカーになりそうです。
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。