“東京スニーカー氏”ことエディターの小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月イチ連載。今月は「雨用スニーカー」として気になるアウトドアブランドの“派手じゃない”防水スニーカー2モデルをピック。
(左)スエードの素材感が肉厚で上品です。ソールまでグレーが珍しい。あと黒とベージュもあるのでそちらもチェック。¥27,000/ザ・ノース・フェイス(ザ・ノース・フェイス原宿店) (右)足を入れると本当にゴアテックスを張っているの?と疑うほどアッパーが柔らかく、一日中街履きしても疲れません。¥18,000/スカルパ(ロストアロー)
憂鬱な天気をはね飛ばすくらいテンションが上がるものを雨の日に履こう! とはよくいわれますが、大概そういって紹介されるのは、色味形状がポップなものばかりです。でも晴れの日にシンプルな格好をする人って、雨の日もシンプルでいたいと思うほうが自然では。「雨の日用に使うもの」を吟味して揃える行為が楽しいだけで、コスプレをしたいわけではありません。そこんとこよく考えて、今回のお題に取り組みました。
ただでさえ普段より快適でなくては、雨の日にあえて履く意味がないので、脱ぎ履きが煩わしいとか、手入れが面倒なものはパス。あと、朝は雨だけど夕方から晴れとか、その逆とか、濡れる&汚れる場所に行くけど数時間だけで、あとは都会をブラブラなんて日のほうが多いわけです。そうしたとき、気になるのはアウトドアブランドの派手じゃない防水スニーカー。アウトドアブランドである理由は、いくらシンプルが好きとはいっても工夫が伝わらず、誰からも突っ込まれないのも寂しいから。もちろん、機能が前提ですが。
両者ともに、ゴアテックスを使用しています。スカルパはスキーブーツや登山靴の製造が盛んなイタリアのモンテベルーナのブランド。最近は、本格的なアルパインランナーがここのゲイター付きの防水ランニングシューズに注目しているのを知り、興味をもっていました。僕はトレラン童貞ですので、その域に到達できませんが、「プロトンGTX」(右)はトレッキングから舗装路ランまで対応できそうな万能っぷり。それ以上にこの黒とグレーの組み合わせやグリップソールが、ちょっとモードな気分。タウンユースにおいては人とかぶらなそうなところも気に入っています。
で、もう一つのゴアテックスはザ・ノース・フェイスの「トラバース ファストパック GORETEX」(左)。気に入ったのはオールグレーの撥水スエード。黒以外の単色アッパーは珍しいし、都会的ですよね。ガチ系ではないですが、ビブラム信者な自分としては、このロゴに弱いんです。改札を越えてからの駅の階段は油断すると高確率でスリップしますが、これなら一段抜かしで走れるし、濡れた路面でスキップもできそうです。しませんが。
でも本当に激しい雨の日にローカットは不向き。しかもゴアテックスは履き口から浸水した雨が中にたまって蒸れてしまうので。そのときは靴をワードローブの2軍にして、モンベルのゴアテックスのオーバーソックスを重ねばきするのも一案。これはオールブラックなので、地味でいい。でもそんな豪雨の中で外に出ることはぶっちゃけないんですけどね。結局はテンションを上げるためですが。
ロストアロー TEL: 049-271-7113
Illustration:Yoshifumi Takeda
Text:Masayuki Ozawa
(2017年7月号掲載)