“東京スニーカー氏”ことエディターの小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月イチ連載。今回のお題は「旅スニーカー」。ゴールデンウイークをはじめ行楽シーズンのオススメを考えてみました。
(右)黒に白ソールはオリジナルカラー。待望の復刻にストリートな大人たちは大興奮です。¥14,000/アシックスタイガー(ミタ スニーカーズ) (中)Color Boostソールは最近の傾向。¥28,000/アディダス(アディダスグループお客様窓口) (左)今旬なオールブラックもあります。¥14,800/ニューバランス(ニューバランス ジャパンお客様相談室)
旅行や出張に着ていく服、履いていく靴を選ぶことに対して、年々迷うようになりました。雑誌でもよくあるこの手の企画ですが、機能のあるもの=快適なもので、さらに万能なものとイコールで結ばれがち。旅や出張が快適であることは大事ですが、だからといって普段着慣れないものを身につけると、気合が伝わりすぎて、逆に旅慣れしてないように見えます。
荷物を少なくするのは、その場しのぎのスペックではなく、普段から身につけていて、さらに日常の先に非日常が結びつくもの、と考えるようになりました。足元も同様で、パンプスを履きなれたコンサバOLにありがちな、休日スニーカーを履いたときの絶妙な違和感だけは避けたいところ。
そんなわけで今回のお題は「旅スニーカー」。ゴールデンウイークをはじめ春の行楽シーズンに出かけるときのオススメを考えてみました。個人的にスペックがファッションに置き換えできる場所は都会オンリーだと思っているので、過剰なハイテク感は避けています。例えば空気のいい郊外をアクティブに歩き回る場合、そのシーンに最新のハイテクは、ミスマッチで滑稽に映ってしまう気がします。ハイテクって、グリーンよりグレーというか、自然よりビル街のほうが似合うんですよね。
アシックスタイガーの「ゲルマイ」は’90年代後期のランニングシューズ。藤原ヒロシさんが地元のスーパーで見つけて愛用していたという、変化球なチョイスが話題になった知る人ぞ知るスニーカー。これが初めて復刻されたことも、知る人ぞ知る話です。甲の側部にシューレース位置をずらすことでフィットを高める当時のデザインに、ちょうどいいベーシックの抜け道感があります。履きやすい=脱ぎやすいので、ホテルなどでの煩わしさがありません。
フィットとクッションとファッションのバランスで考えたら、アディダスの「ウルトラブースト アンケージド」は最高レベルではないでしょうか。柔らかなBoostソールは、僕にとって走るより歩くのに向いています。あと汚れが目立たないグレーやシルバー神話は、車もスニーカーも同じこと。いい意味でハイテク感がないデザインも、買いのポイントです。でもこれは都会向きかな。
最後に、そのジャンルでは一歩抜き出ているニューバランスのウォーキングシューズ。このカテゴリはいつも宝探し感覚でチェックしています。「880」は歩くことに対する靴と脚への負担を耐久性とクッション性の両面でカバーしています。軽すぎない軽さが絶妙で、ゴアテックスで見た目もシンプル。平均的なテクノロジーのバランスにNBならではの万能さというか、安心感があるんです。
ニューバランス ジャパンお客様相談室TEL: 0120-85-0997
ミタ スニーカーズ TEL: 03-3832-8346
Illustration:Yoshifumi Takeda
Text:Masayuki Ozawa
(2017年6月号掲載)