“東京スニーカー氏”ことエディターの小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月イチ連載。コンバースのオールスターはハイカット派? ローカット派? “真”の定番はどっち!?
生成りが王道と思っていましたが、どうやら同じ白でもオプティカルホワイトのほうが人気のよう。その昔はHIとOXのプライスは違いましたが今は同じ。となるとハイのほうが生地取りの分だけ得した気分になりますね。(各)¥5,800/コンバース(コンバースインフォメーションセンター)
かくいう自分はぶっちゃけローカット派ですが、まずは歴史的側面から友人の言葉の真意をくみ取りたいと思います。オールスターは、冬用の室内競技として考案されたバスケットボール専用のシューズです。コンバース自体、もともとラバーブーツを生産していたゴム会社。おそらく単純にブーツの延長上でまずはハイカットが誕生します。ゆえに色もブラックや茶系のキャンバスでした。
コンバースでの正式呼称はOXですが、ローカットの登場はハイカットの40年も後の1957年のこと。しかもキャンバスのオールスターがNBAの主役を飾ったのは1960年代後半までで、その後はレザーの時代。中学の部活で新入生は布バッシュ!なんて慣習があったのは、テクノロジーの進化を「10年早い!」の精神論にすり替えた、体育会マインドの功罪です。
いい意味で運動靴の呪縛を解き、ローテクの地位を確立したオールスターは、一気にオフコートの世界で開花します。OXとは、オックスフォード大学の学生が履いていた革靴が由来といわれており、ローカット=優等生と洗脳されている気分です。だからか余計に靴ひもをキュッと縛ったハイカットは「とっぽい」印象を与えます。
現代に話を戻すと、スニーカーのトレンドも空前のニューバランスブームから未曾有のスタンスミス人気に突入し、2016年はオールスターが再燃しました。前述の2モデルの印象は明らかに優等生ですから、やはり最初はOXが売れました。その後、ファッションもやんちゃ色が強まり、スカジャンやミリタリーといった男らしさの象徴とともに、黒のハイカットが注目されたのです。
2017年用に発売された新スペックのオールスターの白は、サイドのテープに黒が使われました。もともと白はアメリカ国旗をイメージしたカラーなだけに、赤と青がないとモードに見える。今っぽいカラーです。
原宿の直営店「ホワイトアトリエ バイ コンバース」で調べてもらったところ、2016年のハイカットの売り上げは、OXの約2倍。色は黒がぶっちぎり、続いて生成りじゃない、オプティカルホワイトが続きます。男女比を見ても、白系は半々の割合に対して黒は62%もメンズが占めています。それだけ黒のハイカットは「とっぽく」見えるのだと思います。
Illustration:Yoshifumi Takeda
Text:Masayuki Ozawa
(2017年2月号掲載)