“東京スニーカー氏”ことエディターの小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月イチ連載。今月はナイキのフライニットについて。
フライニットは基本的にメッシュとほぼ同じ繊維で、糸自体が特別なものではなく編みが特徴。各スポーツカテゴリーのトップモデルに採用されるが、最近はエア フォース1 みたいなライフスタイル系にも採用。(資料提供/ナイキジャパン)
1960年代に活躍した有名なジャズ評論家の故・三木鮎郎は昔、パリでメガネを作ろうとしたら、最初に検眼ではなく鼻と耳のフィットをとったことに感動した、と話していたことをYouTubeが教えてくれました。
2008年の北京五輪時に「4年後はどんなシューズを履きたいですか?」という質問をナイキがいろんなアスリートに聞いたところ、多くが「ソールに靴下がついているみたいに、履いている感覚のないシューズ」と答えたことからフライニットは誕生した、とナイキジャパンが取材で教えてくれました。シューズはギアでなく、身体の一部。そう聞くと、パリのメガネの思想がいかに斬新だったかがわかります。
とにかくフライニットは、夏は通気性、冬は保温性を高めるようにアッパーを自在に形成できる構造なので、今店頭に並んでいるシューズを選べば問題ないでしょう。しかもミニマム志向が生んだ究極のデザインに、季節感は関係ないですから。それが時代であれば、仮に少し寒くたって僕は履きます。
小澤匡行
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。スニーカー好きが高じて『東京スニーカー史』(立東舎)を上梓。靴のサイズは28.5㎝。
Photos:Yuichi Sugita
Illustration:Yoshifumi Takeda
Text:Masayuki Ozawa
(2017年1月号掲載)
Illustration:Yoshifumi Takeda
Text:Masayuki Ozawa
(2017年1月号掲載)