“東京スニーカー氏”ことエディターの小澤匡行がスニーカーにまつわるギモンに答える月イチ連載。今月はおしゃれな足元の代名詞になった、アディダスのスタンスミスについて。
こんにちは。スニーカーにまつわるギモンって、くだらないことこそ奥が深かったり、今さら聞けないことが重要だったりするもの。楽しく役に立つ回答を本気で考えますので、よろしくお願いします。質問もぜひ編集部まで! とごあいさつは早々に、お題は2014年の再販以来、おしゃれな足元の代名詞になったスタンスミスについて。
スタンスミスの新しいブームをつくった高級モデルがこちら。天然レザーは柔らかく、ソールはヴィンテージっぽい質感。
これはABC-MART流通限定モデルで、鮮やかなグリーンが特徴。フォルムは上に比べると丸っこくて、ソールも真っ白だ。
この質問は「カップ麺を探しにコンビニへ行ったら種類がたくさんありました」と言われる感覚に近いです。はい。僕の中で日清のカップヌードル(しょうゆ)的アイコンにあたるのは、定価¥8,900のABC-MART流通限定モデルです。足元をじっくり観察できる電車内を見渡すと、8〜9割がこのスタンスミスを履いています。つまり購入場所も特定できます。
一方セレクトショップなどで定番扱いされるスタンスミスは¥14,000のもの。これは行列のできるラーメン店が監修したカップ麺です。決定的な違いは、前者がつるっと白い人工皮革のアッパーに対し、後者はシボ入りの天然皮革であること。ベロもソールもよく見りゃまるで違うし、後者のデザインはシーズンでコロコロ変わってます。
ディテールで違いが出やすいのがベロの構造。左のABC-MART流通限定はステッチがなく裏地にメッシュが当てられている。
こちらのスタンスミスは、ゴアテックス搭載モデル。これならサイドのパンチングから水が入ってこない。
この価値基準は人それぞれ。僕は華麗なる復活劇を遂げる前の、どこにでもあるスタンスミスが好きでしたので、身近なABC-MART限定に親近感を覚えるし、質感もそれに近い。それでもラーメンブームをつくったのは行列のできるお店のカップ麺だから、どっちもポジティブに履くべきだと思います。
象徴のグリーンの色味一つとっても、よく見れば全然違う。(上から)¥14,000・¥8,900・¥22,000/アディダス オリジナルス(アディダスグループお客様窓口)
Illustration:Yoshifumi Takeda
Text:Masayuki Ozawa
(2017年1月号掲載)