春らしい爽やかさを着こなしに加えたいなら、足元に合わせるべきはブルーのスニーカー。本誌でもお馴染みのエディター小澤匡行さんが注目する青スニーカーはどれも大人にふさわしいクオリティだ。
01:Salomon|DRX DEFY GRVL
ロードも砂利道も行けるランニングシューズ
「サロモンの24FWのニューモデルとして登場したDRX ディファイグラベル。デビューシーズンに出たデンマークのサイクリングウェアブランド、PAS NORMAL STUDIOSとのコラボレーションカラー、オリーブをこの秋冬はよく履いています。みんなが好きなハードでプロテクトされたモード感のあるサロモンではありませんが、僕はとても気に入ってます。
DRX ディファイグラベルの魅力はロードや芝を走って、そのまま砂利道やトレイル、自転車も行けるところ。オールマイティな機能がソフトなデザインにまとまっていて、自分のライフスタイルにフィットしました。
ジムのトレッドミルのディスプレイで、ランニングコースの画面を選択できるんですが、ある日サンフランシスコの景色で走ってみたとき、街中から山、野原や川へと画像が変わっていくんですよ。そういう感じって実際の日本のランにはないから、いかにも欧米のシューズらしい、このコンセプトはいいなと思いました。僕は出張などで海外に行ったときも走るので、DRX ディファイグラベルの何でもカバーできる色が出たらまた欲しいなと思います」(小澤)
02:adidas Originals|JABBAR LOW atmos
ヴィンテージの文脈で履きたい復刻バッシュ
「この秋、アディダスが推しているモデルのひとつがジャバーです。ホワイト×ブルーアッパーのスムースレザーのハイカットとローカットも復刻されますが、アトモス別注でスエードバージョンのローカットが登場します。僕の記憶だとジャバーが最後に復刻されたのは、もう20年くらい前…2004年頃だったでしょうか。ヴィンテージマニアには受けがいいのですが、ストリートの文脈があまりないので、単純に復刻するだけだと広がりが少ないんですよね。
アトモスのコラボレーションではアーカイブからブルースエードを選んで、ヴィンテージスペックでつくっています。毛足の長さにもこだわっていて、かなりレベルが高いと思いました。この古着感を活かして、いい古着をミックスしたモダンなコーディネートに合わせたら映えるのではないかと。
ヴィンテージスニーカーブームのときには、フランス製ジャバーやトップ10もかなり価格が高騰していた記憶があります。でも裏原的なストリートの文脈はないモデルでした。だから僕の中では“スター選手が履いていたヴィンテージの靴”という解釈なんですよね」(小澤)
03:adidas Originals|SAMBA LT
カラーリングとレトロなメッシュに惹かれて
「アディダス オリジナルスから発売された、折り返しタン付きのいかにもフットボールシューズ然としたサンバ LTです。ウェールズ・ボナーとの2023年秋冬のコラボでもタン付きが出ていたように、最近はフットボールシューズのディテールが強ければ強いほどいいという風潮があります。
自分はタン付きを履いたことはないんですが、これは水色×茶色というカラーリングに惹かれました。ウィメンズのファッションでは折り返したタンの存在感がコーディネートのアクセントになるんでしょうね。今のサンバブームを牽引するウィメンズのトレンドをうまく表現していると思いました。
もうひとつ僕が惹かれたのがテクニカルじゃない、レトロなメッシュ素材。2000年代ブームを反映した近未来感を表現するためのメッシュも多いですが、レトロに見せる編み込み素材が増えています。こういった素材は今のファッションとも相性がよいので、面白い部分だなと注目しています」(小澤)
04:PUMA for BEAUTY&YOUTH|EASYRIDER VTG
90’sのUKヒップホップムードを纏う別注
「この別注を見た瞬間、かなりの変化球だなと思いました。僕の個人的な思い出だとイージーライダーは、90年代の後半ぐらいに、ダンサー系やヒップホップ系のインポートショップがGVスペシャルなんかと一緒に並行輸入していて、UKやヨーロッパのイメージがあるスニーカーでした。
2000年にアメリカに留学したとき、現地の靴屋で2足目ぐらいに買ったのが白ベースに水色ラインのイージーライダーでした。ポロ ラルフローレンの緑色のスウェットパンツに合わせてよく履いていました。自分が通ってきたスニーカーだったことを思い出し、とても気になったんです。
ビューティー&ユースの別注は、よりタウンユース向きにするためにブルーグレーとネイビーでトーナルに仕上げています。僕的には、スエードを毛羽立たせていたり、ナイロン部分のシワの入り方なんかにヴィンテージっぽいアプローチを感じて、ものづくりの視点から見てもよさそうだと思ったし、新しい視点でプーマをとらえている気がします。それ以上に90年代を思い出すようなUKヒップホップの空気感があって、久々にテンションが上がりました」(小澤)

「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
サロモン コールセンター TEL:03-6825-2134
アトモスカスタマー TEL:050-1720-8813
アディダスお客様窓口 TEL:0570-033-033
ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ 丸の内店 TEL:03-6212-1500