大人のスニーカーの鉄板カラーといえば白か黒。だが、その中間色であるグレーも実は汎用性抜群だ。東京スニーカー氏こと、本誌でもお馴染みのエディター、小澤匡行氏が選んだ4足なら、どれも手に入れておいて損はない。
01:On|Cloudsurfer 2
ファッションに合わせて履きたいオンの新作
「クラウドサーファーはオンが創業当初からつくっているロードランニングシューズです。数年おきにアップーデートされ、ルックスも初代からだいぶ変わってきていますが、名前はそのままという定番。それが今回クラウドサーファー2となって登場しました。
オンのスニーカーは僕の中で大きく2タイプに分かれていて、ファッションに合わせて履きたいか、ランニングユースオンリーか。その違いはソールの形状によるところが大きいです。新作のクラウドサーファー2は、ファッションに合わせて履きたいほう。クラウドテックフェーズのソールがスーッとフラットでロッカー構造になっているのがこのタイプです。ソールがデコボコしているクラウドモンスター2のようなモデルは、わりと存在感が強めなのでもっぱらラン用。もちろん、どっちをタウンで履いてもいいんですが、僕はデイリーユースならフラットなほうが好きです。
それからオンが素晴らしいのは配色のセンス。ニットアッパーのスニーカーってパーツがどんどん少なくなっていて切り替えなどがないから、配色のコントラストの表現が難しいと思うんです。それでもオンはシューレース留めにさり気なくイエローをあしらったり、とてもきれいにこなしています」(小澤)
02:asics for BEAUTY&YOUTH|asics GEL KAYANO 14 BYSP
グレーを基調にした大人の配色が光る
「アシックスの履きやすい定番として、ゲルカヤノ14を挙げる人は多いですよね。個人的には近年のアシックス人気を支えているモデルだと思っています。2018年にキコ・コスタディノフがアシックスとコラボレーションして、その後デザインチームとしても携わるようになった頃、ゲルカヤノ14の復刻や再アプローチが行われ、それからアシックスブームが大きくなっていきました。今ではスタンダードなモデルになっています。
アシックスといえばスペーサーメッシュが象徴的で、Y2Kの代名詞にもなっています。ゲルカヤノ14はシルバーベースの配色が多いのですが、このビューティー&ユース別注は、ゲルキンセイで人気を博したグレー系の配色をゲルカヤノ14に落とし込んでいるそうです。ピカピカなシルバーではなく、グレーをベースにしたトーンが新鮮に感じました。
履いてみるとスニーカー単体で見た印象とちょっと違って、ただライトなだけではなく、しっかりと足元に存在感が出ます。Y2Kなようでいて、きちんと大人のアシックスになっているから、コーディネートもしやすそう。シルバー系に抵抗を感じている大人におすすめしたいです」(小澤)
03:PUMA|GV SPECIAL LMC
2000年代のテイストをミックスした感度の高いコラボ
「韓国のストリートブランド、LMC(エルエムシー/LOST MANAGEMENT CITIES)とのコラボレーションモデルです。LMCについては詳しいことは知りませんが、韓国ブランドのコラボは、以前紹介したミズノのウエーブ ライダー 10のときもそうでしたけど、ファッションの文脈でシンプルに今っぽいことをやってくれるので、UOMO読者には取り入れやすいと思います。
プーマのカップソール系の靴は、過去にダンスやヒップホップのカルチャーと絡んでいたこともあり個人的にも好きです。GVスペシャルは僕の中では90年代のイメージが強いところに、2000年代のトレンドであるシルバーのカラーウェイをミックスしていている点で新鮮に感じました。インラインのGVスペシャルをファッションとして取り入れるのはハードルが高いけれど、これなら合わせやすいと思います。
上から見たときのパンチングのデザインが好きで、僕がもともと好きなGVスペシャルのよさをこれだけ引き出してくれています。韓国、と聞くと自分にはちょっと若いかな、と思うこともあるんですが、自分の感性にフィットするなら、コラボとか気にせずにどんどん選んでしまってよいのではないでしょうか」(小澤)
04:ENGINEERED GARMENTS × KEEN|WK400 LEATHER
キーンの魅力を引き出すデザイナーズコラボ
「キーンのウォーキングシューズ、WK400(ダブルケーフォーハンドレッド)をベースにしたエンジニアド ガーメンツとのコラボレーションです。キーンはKEEN.CURVEという独自のロッカー構造を開発しています。個人的には履いたときに踵にしっかり力が入って、歩きはじめると自然に足が前に出るので安定感が高い気がします。こういう革新的なスニーカーをつくるようになったこともあって、サンダルだけのイメージがだいぶなくなってきました。
エンジニアド ガーメンツのコラボレーションモデルはメッシュアッパーにNYの街並みをプリントしたものもありますが、これは濃淡の異なるヌバック素材を左右非対称に組み合わせた、EGらしくも大人っぽいデザインです。
近年のキーンはハイクやノワール ケイ ニノミヤといったレディースブランドとのコラボで、サンダルでおなじみの『ユニーク』を前衛的にアレンジしたデザインなども話題になっています。エンジニアド ガーメンツのコラボも素材使いの面白さでキーンのシューズをファッションに押し上げているのではないでしょうか。デザイナーズとのコラボレーションは、キーンの魅力を知るいいきっかけにもなっていると思います」(小澤)

「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
オン・ジャパン TEL: 050-3196-4189
ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ 丸の内店 TEL:03-6212-1500
プーマ お客様サービス TEL:0120-125-150
エンジニアド ガーメンツ TEL:03-6419-1798