黒スニーカーは大人の着こなしの定番アイテム。中でも隅から隅まで真っ黒なオールブラックのスニーカーは、クールな印象を演出してくれる優れもの。エディターの小澤匡行さんが注目する5型なら、どれも手に入れておいて損はない。
01:NIKE|AIR MAX ALPHA TRAINER 5
価格にも驚いたエア マックス シリーズの掘り出しもの
「ナイキのプレスルームに行くと、見たことがないようなモデルがたまにあります。どうしても既存モデルの新色や復刻に目がいきがちなので、こういうものもできるだけ見るようにしています。最近のヒットはこのエア マックス アルファ トレーナー 5。デザインに惹かれて手に取ったら、価格が10,780円だったんですよ。このご時世にしてはかなりリーズナブルですよね。
『何それ?』と聞かれる掘り出しものには、これ見よがしなものよりもヒネリが欲しいと個人的に思っているので、これは久々にちょっと面白いと思いました。エア マックス 270とかエア マックス 720、エア マックス 93を彷彿とさせるエアソールの存在感が目を惹きますが、意外に軽くて履きやすいトレーニングシューズです。
巷には見慣れたエア マックス シリーズがあふれています。そんな中でアッパーのレイヤー感にも現代的なデザインが取り入れられた、意外性のある新しいモデルを選ぶのがUOMOっぽいのではないでしょうか」(小澤)
02:MERRELL|MOAB 2 SLIDE QUILTED
メレルの勢いが凝縮された新作モック
「メレルの『MERRELL 1TRL (ワンティーアールエル)』コレクションからの新作モックです。キルティング&スエードアッパーにヴィブラムソール、ライニングはフリースと見た目と機能を両立していていいなと思いました。メレルはもともとアメリカのアウトドアシューズブランドで、海外では日本以上に盛り上がっています。
このモックは山歩きの後のアフタースポーツシューズを、タウンでも履きやすい冬のスライドやミュールのようなデザインに落としこんでいます。以前のメレルはジャングルモックに象徴されるように、いなたさのあるデザインをハズしとして使うイメージでしたが、今はファッションとしてちゃんとトレンドの真ん中に着地しているので、どんなコーディネートに合わせても今っぽく見える。(小澤)
03:Last Resort AB|VM006-MOC SUEDE
モックデザインでロープロファイルだからいい
「今年の春夏はラストリゾートエービーのVM005 タッセルローファーをよく履いていました。あまりにも履き心地がよくて、以前は敬遠してた革靴のアッパーにスニーカーソールのシューズのよさに改めて気づかされたんですよね。そしたらタイミングよく秋にこのVM006 モックが登場しました。
いわゆるレザーシューズブランドのモックと違うのは、スケートシューズと変わらないロープロファイル。今トレンドになっている薄底のテラスシューズを履いているような感覚で履けるんです。革靴系だとつま先が上がっていたり、ソールが厚かったりします。それがないのでパンツとの相性が抜群によくて、何を合わせてもしっくりきます。
シンプルな見た目はもちろん、インソールのクッショニングがすごくいいんですよ。ずっと履いていられて、これは万能だなと思います。昔はヴァンズやエアウォークのようなスケーターシューズブランドもモックを手がけていましたが、それに近い感覚が味わえるのも僕ら世代としてはうれしいところです」(小澤)
04:D-VEC|FOGLER GORE-TEX MID
ブランドが自信をもって推す「滑らない靴」
「D-VECはアパレルのイメージはあったんですが、最近は靴も展開しているということを仕事きっかけで知りました。スニーカー畑だけにいると出会いにくいシューズですよね。ブランドの方に『絶対滑らないですから!』と言われたので、雨の撮影のときに履いてみたら、滑りやすいコンクリートでスタッフがつるつると滑っている中、僕は大丈夫でした。
『滑らない靴』の秘密はヴィブラム社と共同開発したオリジナルソールにあるそうです。ヴィブラムでもグリップ力の高いメガグリップソールを、オリジナルのラグパターンで搭載しています。アッパーのデザインもバリスティック風の素材を使うなどタクティカルブーツっぽい感じで、でも履いてみるとメカっぽさもなく、スマートで快適です。
ちょっと前まではオールブラックのGORE-TEXシューズは珍しいものだったのに、今や世の中にたくさんあって、僕自身10足くらいは持っているかも。どのブランドも自信作としてリリースしているので、個人的にはボトムスとの相性や用途によって履き比べしています。そんな中でもD-VECは最近のお気に入りです」(小澤)
05:pg|OLIVER
90年代の仏トレッキングシューズに着想した注目作
「富ヶ谷のスニーカーショップ、プレイグラウンドはご近所ということもあって、週末に出かけて行って草賀(雄介/pgのデザイナー)さんとも話をしたりしています。行って感じるのはとにかく海外の人がよく来るなということ。先日もパリからの客人を案内すると、とても喜ばれました。pgはメジャーなスポーツブランドにはない、新鮮さと引き出しの面白さがあります。
スニーカーコレクターとしても有名な草賀さんは、とにかくマニアックで、しかもかなり天邪鬼な性格。その天邪鬼という視点は大手メーカーも近年、注目している部分です。このモデルは90年代に渋谷・原宿界隈のセレクトショップで売られていたフランスのトレッキングシューズがモチーフ。ビブラムソールでアッパーもレザーだから、ほぼほぼブーツのように見えますが、pgらしくFREELOCKシステムを付けてアレンジしています。ディスクを回してフィットするときにもたつきがちなシュータン部分も、ネオプレーンのインナーソックを採用することで違和感を解消。シューズメイクに精通している草賀さんらしいアイデアです。
草賀さんが『90年代に赤いスエードのトレッキングシューズにリーバイス501の66を履いて、オルテガのベストを着ていた原宿プロペラのショップのスタッフがカッコよかったことをふと思い出して、pgなりに現代的につくってみた』と話していたように、テック系のパンツではなくリーバイスのジーンズに合わせたりするのもよさそうです。重厚感もあって、冬にいいのではないでしょうか」(小澤)
NIKE カスタマーサービス TEL:0120-6453-77
丸紅コンシューマーブランズ TEL:03-6838-9677
サンプルデリカ info@sampledelica.com
ディーベック https://d-vec.jp/
プレイグラウンド TEL:03-5738-1872
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。