エディター小澤匡行さんによる連載「大人がこのスニーカーを買う理由」で紹介した中から、アクセス数上位の5モデルをピックアップ!
BEST5:PUMA|PALERMO PREMIUM
大人が履けるフラップ付きテラススニーカー
「最近のプーマは韓国のアーティストやブランドとのつながりを大切にしていて、若いターゲットに対していいアプローチをしています。でも僕にとっては、どこか大人っぽさやファッション感があるブランド。いつも“ローテクでカルチャーがあるのに何となく大人っぽい”、そんな視点でスニーカーを探しているので、このパレルモ プレミアムは響きました。
今のサッカーカルチャーのトレンドでフックアップされたパレルモは、1981~1982年の短期間しか生産されていなかったモデルだと知りました。天然のシボ革と合皮を組み合わせ、ヌメっとした質感に仕上げています。オリジナルに忠実だからいいわけではなく、クラシックなプーマの魅力をうまく残しつつモダンにアップデートされているのが出色。
オリジナルのパレルモにはフラップがありませんが、パレルモ プレミアムは取り外しできるフラップが付いています。折り返したシュータンは旬のディテールであり、UOMO世代が好きだったであろう、2000年頃のジルサンダー×プーマのコラボモデルを思い出させてくれて、大人が取り入れるのにもパレルモ プレミアムはおすすめです」(小澤)
BEST4:suncore|SP-trainer DPX
スポーツ文脈でつくられたファッションシューズ
「SNSで見て気になったサンコアは、UOMO世代のデザインチームが立ち上げた日本のシューズブランドです。ファッション文脈のラグジュアリーなムードと、おそらくストリートカルチャーも通ってきたであろうという、つくり手のバランス感がMIXされたデザインが目を引きました。
SP-トレーナー DPXは、は防水透湿性のある高機能素材DiAPLEX(ディアプレックス)をライニングに使っています。ポリマー分子が温度変化に対応して、水蒸気分子の透過量をコントロールする特性を持った素材なのだそうですが、防水スニーカーの見た目ではないデザインに搭載して、今っぽく着地しているところに面白さを感じました。
つくりを見ると革靴のような仕様もあり、どこか硬質な印象です。ファッション感度の高いスニーカーをスポーツ文脈でつくるのって、実はすごく難しい。最近では韓国の新興ブランドによく見られる分野ではあるんですが、やはり日本のブランドには経験値でかなわない。サンコアのようなブランドを見ると、その差が明らかです。春の新作にも楽しみなデザインがあって、またぜひ紹介したいと思います」(小澤)
BEST3:asics for BEAUTY&YOUTH|asics GEL KAYANO 14 BYSP
グレーを基調にした大人の配色が光る
「アシックスの履きやすい定番として、ゲルカヤノ14を挙げる人は多いですよね。個人的には近年のアシックス人気を支えているモデルだと思っています。2018年にキコ・コスタディノフがアシックスとコラボレーションして、その後デザインチームとしても携わるようになった頃、ゲルカヤノ14の復刻や再アプローチが行われ、それからアシックスブームが大きくなっていきました。今ではスタンダードなモデルになっています。
アシックスといえばスペーサーメッシュが象徴的で、Y2Kの代名詞にもなっています。ゲルカヤノ14はシルバーベースの配色が多いのですが、このビューティー&ユース別注は、ゲルキンセイで人気を博したグレー系の配色をゲルカヤノ14に落とし込んでいるそうです。ピカピカなシルバーではなく、グレーをベースにしたトーンが新鮮に感じました。
履いてみるとスニーカー単体で見た印象とちょっと違って、ただライトなだけではなく、しっかりと足元に存在感が出ます。Y2Kなようでいて、きちんと大人のアシックスになっているから、コーディネートもしやすそう。シルバー系に抵抗を感じている大人におすすめしたいです」(小澤)
BEST2:Reebok|INSTAPUMP FURY MULE
フィット感を調整できる名品のミュール
「90年代のハイテクスニーカーの名品、インスタポンプフューリーのミュールです。ほかのスポーツブランドからもミュールが出ていますが、これが目を引いたのはプロマロフトのカバーが付いている点。インスタポンプフューリーは軽量化のためにアッパーをくり抜いているので、冬に履くのには正直、寒くて向いていません。でもこのミュール版はプリマロフトカバーが付いていてあたたかいんです。
それともうひとつ。PUMP SYSTEM を搭載しているから、ミュールなのにアッパーのフィット感が調整できる点も出色です。通常のミュールは踵がカパカパと空いてしまうのが個人的にストレスなので、こういうデザインこそアッパーのフィット感が大事です。
一見、インスタポンプフューリーとわからない甲殻類のようなデザインですが、これもハイブランドのシューズを彷彿とさせて、僕的にはイヤじゃない。アッパーのロゴ刺繍もブラックで目立たず、ほぼブラックのワントーンだから使いやすいと思います。何年かしたら『あれ、よかったね』と隠れ名品的な存在になりそうなムードを感じています」(小澤)
BEST1:Onitsuka Tiger|MEXICO 66 NM
クラシックだけれど今また新鮮に見える名品
「オニツカタイガーの中でも鳥取の山陰工場でつくられているNIPPON MADEシリーズのメキシコ 66です。ロンドンに行ったときオニツカタイガーを履いている人をたくさん見ました。彼らはストリートのカルチャーではなく、ラグジュアリーなヨーロッパの空気感で選んでいるんですよね。改めてメキシコ 66を手に取ると、今の薄底ブームやラグジュアリーブランドの薄底シューズとも重なって、クラシックだけれども新鮮に見えます。
昨年はパリの老舗メゾン、パトゥとコラボレーションしましたが、ファッションのシーンではオニツカタイガーがただのスニーカーブランドではない存在になっているんじゃないかと感じました。ロンドンのブティックもリージェントストリートのど真ん中、アップルとマイクロソフトに挟まれているという立地で、海外の人が新しい日本の象徴として捉えている。そういう点にも感銘を受けました。
NIPPON MADEは日本のものづくりにこだわったラインです。このメキシコ 66も薄くてやわらかな天然皮革を使っていて、高級感も携えている。ハイブランドのシューズにも引けを取らない大人のスニーカーを、履いてみたくなりました」(小澤)
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「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。