先進的な機能とデザインでスニーカートレンドを牽引しているナイキ。続々と登場する魅力的なモデルの中から、エディターの小澤匡行氏が大人の着こなしにマッチする7型をピックアップ。
01:NIKE|GO FLYEASE
目的のあるテクノロジーを搭載した名品の卵
「ゴー フライイーズが好きで、ブラックとホワイト、2足持っています。障碍者が手を使わずとも履けるようにと考案されたスニーカーです。仕様に改良の余地はまだありそうですが、こういう目的をもってつくられたシューズのテクノロジーがスポーツやライフスタイルに応用されていくということがよくあります。
スニーカーが好きな人から見ると、こういうシューズって未来の名品になりやすいんですよ。スポーツ軸で考えたら、このデザインは絶対生まれないでしょう? ナイキは環境や社会に対してシューズでアプローチをしていて、爆発的なヒットはしないけれど後々名品になったりすることがあり、その点でゴー フライイーズはけっこういい線にいきそうだなと。何より僕が好きだった2000年前後のナイキを感じさせてくれるルックスに惹かれます。本当はNike By Youとかで、自由に作れたらいいのに…。
ライトアーミー(写真のカラー)は今シーズンの新色です。こういうトレンド感のある色も出てきているので、ぜひ一度、履いてみてほしいなと思います。トライしてみるとシューズデザインの未来が見えてくるかもしれません」(小澤)
02:NIKE|AIR MAX ALPHA TRAINER 5
価格にも驚いたエア マックス シリーズの掘り出しもの
「ナイキのプレスルームに行くと、見たことがないようなモデルがたまにあります。どうしても既存モデルの新色や復刻に目がいきがちなので、こういうものもできるだけ見るようにしています。最近のヒットはこのエア マックス アルファ トレーナー 5。デザインに惹かれて手に取ったら、価格が10,780円だったんですよ。このご時世にしてはかなりリーズナブルですよね。
『何それ?』と聞かれる掘り出しものには、これ見よがしなものよりもヒネリが欲しいと個人的に思っているので、これは久々にちょっと面白いと思いました。エア マックス 270とかエア マックス 720、エア マックス 93を彷彿とさせるエアソールの存在感が目を惹きますが、意外に軽くて履きやすいトレーニングシューズです。
巷には見慣れたエア マックス シリーズがあふれています。そんな中でアッパーのレイヤー感にも現代的なデザインが取り入れられた、意外性のある新しいモデルを選ぶのがUOMOっぽいのではないでしょうか」(小澤)
03:NIKE SPORTSWEAR|NIKE WAFFLE NAV
「何それ?」と聞かれる掘り出しものを探す楽しみ
「サカイ×ナイキLDワッフル以降、レトロなランニングシューズをツイストした新型がいろいろ発売されるようになりました。ソールが厚底だったり、どこかパーツが誇張されていたり。買いやすい値段のものがいろいろあって、デイブレイクをイメージしたこのワッフル ナビもそのひとつ。
ナイキに限ったことではないですが、常にインラインで面白いシューズを探すことを楽しんでいます。スニーカーを買う人は、人気モデルの復刻や新色を探すことが多いと思いますが、まだ無名のモデルを選ぶのもひとつのハズしになっていいんじゃないでしょうか。『何、それ?』って言われるような掘り出しものが見つかるので、皆さんにもぜひチェックしてほしい。
どこかモダンに見えるワッフル ナビに惹かれたのは、巻き上がったトウやワッフルソールなど、昔のランニングシューズのパターンを踏襲した、ナイキのDNAを守ったデザインだからだと思います。こういうスニーカーが意外に履きやすかったりするんですよね」(小澤)
04:NIKE|FIELD GENERAL SP U
素材使いにもユニオンらしさが光るコラボレーション
「最近OGカラーも発売されて沸々と盛り上がってきているフィールド ジェネラルでのコラボレーションです。先月紹介したボーディのように、コラボレーションするモデルに対する視点とか、奥行きや歴史を理解してみるとスニーカーシーンがもっと楽しくなると思っています。このフィールドジェネラルも然り。みんなが知っているようなモデルではなく新しい復刻にチャレンジしたほうが、ファッションも広がりますよね。
もともとユニオンのオーナーであるクリス(・ギブズ)が学生のときにフィールド ジェネラルを愛用していたのがきっかけで、今回はこのモデルをリクエストしたそうです。ユニオンはジョーダン4だったかな? そのコラボ以降、アッパーにメッシュのような編み込みのパターンをよく使っていて、それがアイコンにもなっていると思います。これもクリスが好きな素材らしく、こういう変わったテキスタイルが採用されるとかなりファッションナブルに見えます。
普通は淡いピンクのシューレースが付いています。僕は今回、替え紐でついてくるピンクと茶色のトラ紐がよいなと思って、こちらに替えました。あまりシューレースで遊ぶことはしないんですが、このモデルに関しては色を効かせたほうがしっくりきます」(小澤)
05:NIKE|ACG RUFUS
品よく見えるスエードの復刻スリッポン
「90年代にナイキACG エア モックが大ヒットした後、2000年にACG ルーファスは発売されました。今回24年ぶりの復刻ということで、メディアでもフォーカスされています。当時、おそらくエア モックのアップデート的なモデルと見られていたと思いますが、オリジナルのルーファスはあまり記憶にないんです。ただ、今見るととてもモダンですよね。
ACG エア モックが大ヒットしたとき、僕はソールのデザインが合わなくて履いていませんでした。その点ルーファスはソールがしっかりしていて、本当に履きやすい。この形のスリッポンって、ACGやアウトドアが好きな人というよりもビルケンシュトックのボストンが好きな人のファッションに合いそうだと思って、今回ピックアップしました。
スエードに高級感があって、小さなスウッシュの型押しにもセンスがありますよね。ロンドンのおしゃれな人たちの間ではこういうモックを、ストリートで履くのがトレンドになっています。UOMO世代の人たちもアウトドアやACGの文脈でなく、ストリートで品よく履きこなしたらいいんじゃないかと思います」(小澤)
06:NIKE BODE|ASTROGRABBER SP
70年代のトレーナーというチョイスが秀逸
「ナイキから久々の大物コラボが登場しました。ボーディはアンティークのテキスタイルを使った、クラフト感のあるデザインが得意なN.Y.のメンズブランドです。アストログラバーという1970年代のトレーナーをベースモデルに選んでいるのが、ブランドの世界観に合っていてすごくいいなと思いました。デザイナーとのコラボは、ピックアップするモデルに提案があることが大事な気がします。
女子の間では70年代のトレーニングシューズがトレンドということもあり、エア フォース 1やダンクのようにみんなの定番ではありませんが、男子も今だからこそトライできるチョイスではないかと。巷ではブランドビジュアルになったブラックレザーのBlack and Coconut Milkが話題を集めています。僕個人としては、アストログラバーと同時期に発売されたMVPというメッシュアッパーのモデルを持っていたという懐かしさもあり、Light Cream and Blackのほうが気になります。
アストログラバーは70年代に普及し始めたAstroTurf(アストロターフ)という人工芝用のトレーニングシューズとして開発されました。当時のカリフォルニア大学のアメリカンフットボールのコーチがビル・バウワーマンにワッフルソールのトレーナーをつくってほしいと依頼したことで生まれたというエピソードもあります。コットンをメッシュ状に編むというのがいかにも70年代のスニーカーという感じがして好きなんですよね。そんなオリジナルのムードを履きこなせたらいいなと思っています」(小澤)
NIKE × DOVER STREET MARKET|NIKE Zoom Vomero 5
DSMコラボならではの奥行のあるブラック
「2020年頃から注目されるようになったボメロ 5。ボメロは2000年代後半にエア マックスとは違う快適性を謳ったシューズとして登場しました。中でもこのボメロ 5はいろいろなコラボにY2K文脈で使われたりするのでファッションのイメージが付いていますが、パフォーマンスシューズとしては最新の17まで発売されていて、バージョンによってアッパーのデザインはかなり変わります。
ボメロはいつも時代に忠実なデザインで、最新のものもいいなと思って見たりしています。共通しているのはどれも履きやすいということ。アシックスのゲルカヤノ14とかニューバランスの1906みたいに、つい履いてしまうナイキって何だろう? と考えたとき、僕はボメロ 5だなと思います。
このトリプルブラックはオーバーレイにリフレクティブ素材を使用したドーバー ストリート マーケットとのコラボレーション。コム デ ギャルソン系のコラボスニーカーは、同じトリプルブラックでもインラインのものとは奥行が全然違います。ご存じの通り黒で何かを表現するのが得意なブランドなだけあって、素材の組み合わせ方などすべて意味のあるデザインになっているので、この“黒の幅”をぜひ楽しんでほしいです」(小澤)
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
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