エディターの小澤匡行が、ニューバランスの新作スニーカーの中から周りと差がつくコラボモデルをピックアップ。どれも定番とはひと味もふた味も違うスペシャルな逸品となっている。
01:N.HOOLYWOOD TEST PRODUCT EXCHANGE SERVICE × INVINCIBLE®︎ × New Balance|M1906NIH
トラッドじゃない、ミリタリーなグレーにセンスが
「台湾のセレクトショップ、インビンシブル®︎とのトリプルコラボの第3弾です。ニューバランスは本国ではミリタリーシューズも手がけていて、日本でも米軍支給品が並行輸入で販売されていたりします。Nハリはそもそもミリタリーものが得意ということもあって、このM1906NIHも配色が素晴らしい。今回のコラボにはそんなミリタリーシューズのムードを感じました。
Nハリは洋服もそうなんですが、たとえばグレー一色でも濃い、薄いだけでなく、赤みのあるグレーなどニュアンスの出し方が幅広いというか、上手だなと思っています。それこそベージュやオリーブなども、トーンの表現や組み合わせにセンスを感じるんですよね。今まで見てきている服の知識量やディテールへのこだわりの深さが、カラーパレットに映し出されています。
ヒールのケージ部分にはそのセンスが凝縮されていて、オリーブグリーンを繊細に感度よく仕上げています。ここに少しだけきれいなピンク色を差しているのも絶妙。アメリカ軍の人がこういうシューズを履いてトレーニングしていそうな、そんなカッコよさがある。トラッドじゃなくて、ミリタリーなグレー。この違いが出ているのがいいですね」(小澤)
02:TOKYO DESIGN STUDIO New Balance|FuelCell Rebel v4
パフォーマンスモデルをファッション仕様に
「東京デザインスタジオ ニューバランス(通称TDS)は、アメリカと日本のデザインチームによるブランドです。今回は今年の春登場したパフォーマンスシューズ、フューエルセル レベルv4を都会的なブルーグレーカラーで、ライフスタイルシューズとてして履けるように色をアレンジしています。
TDSの意図としては、パフォーマンスシューズをタウンユースしたり、ファッションとして履いてほしいということがあるんでしょうが、僕は逆で、こういうカラーこそランニングで使いたいと思ってしまいます。以前TDSが1300カラーでつくったパフォーマンスシューズの「MSRCELTO」でも、時々ランニングを楽しんでいます。
ランニングではときに、“いかにもガチ”なカラーリングも履くんですが、そのときはウェアのチョイスにファッション性を意識してバランスを図っています。全体をよりファッションに見えるようにするなら、足元は今回のフューエルセル レベルv4のこのトーナルカラーのほうが表現しやすい。僕のようなランナーにとっては、こういう提案はありがたいと思っています」(小澤)
03:New Balance × Miu Miu|530 SL Leather Sneaker
切りっぱなしの本革&超薄底が新鮮なNB530
「空前のミュウミュウブームがきていますね。2022年からはランウェイにメンズモデルも登場して、ジェンダーレスなコレクションを発表するようになり、それまでの甘さやファンタジー感が少し薄れた印象があります。プレスルームで一点一点のデザインを見ると、メンズファンが増えているのも納得できます。
このニューバランス530のコラボレーションモデルは、2024年春夏のランウェイショーで発表されました。アッパーはヴィンテージ加工のレザーを切りっぱなしで使って、ソールをものすごく薄くしています。よくぞニューバランスをここまでモードに昇華したものだと、感服します。
シューレースもレザー紐と平紐、丸紐を使って左右違ったバランスで結び、遊び心を入れています。レディースのスニーカーコラボではシューレースをまっさきにいじることが多いですが、本来いちばん装飾がしやすい部分でもあります。こういったシューレースの遊び方にも個人的に注目しています」(小澤)
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
ミスターハリウッド TEL:03-5414-5071
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