エディター小澤匡行氏による連載「大人がこのスニーカーを買う理由」にて4月にピックアップした新作スニーカーを、アクセスが多かった順にまとめて紹介。
BEST 1|CONVERSE × BEAMS CANVAS ALL STAR J 80s OX
真っ黒じゃなくスミクロ。コンバース オールスターのビームス別注
「コンバースのMADE IN JAPANシリーズや、ブラックの特別なオールスターは、僕が定期的に買うスニーカーのひとつです。USA製コンバースのヴィンテージ価格が高騰していて、ことブラックは人気が高くて手が出せないという状況。ビームスの別注は、ヴィンテージ特有の褪せた感じを表現しているから真っ黒ではなく、スミクロって具合が気に入っています。
MADE IN JAPANだけでなく、最近は通常のオールスターも忖度なしに履き心地がいいし、ファッションとの相性も高くなっているから、選択肢に入りやすくなりました。現行のラインで、こういうコンセプトにセンスがあるきれいなオールスターが出てくるのは僕としてもうれしい。
最近、クワイエットラグジュアリーという言葉がしつこいくらいにファッションシーンで飛び交っています。上質で、洗練されているということがその条件だと解釈するのであれば、このコンバースもクワイエットなのかもしれませんね」(小澤)
80年代のディテールを再現し、ヴィンテージのような風合いを出すべくチャコールで別注した。ソールサイドのテープも生成りを採用し、商品を入れるカートンも80年代に採用されていた通称「銀箱」にするなど、随所にこだわった。インソールには両社のロゴがビームスのコーポレートカラーのオレンジであしらわれている。
BEST 2|HOKA BONDI 8 TS
ロゴがない、そこがいい。ホカのボンダイ 8 TS
「ホカから登場したステルス/テック コレクションのボンダイ 8 TSです。4月1日に発売されたこのコレクションはアッパーにロゴがないのが特徴で、クリフトン 9もラインナップされています。ロゴがないだけで印象がまったく変わりますよね。HOKAのインパクトのある文字が入っているのが好きという人も多いと思いますが、これだといろんなシーンでファッションとしても履けるなと思いました。
ボンダイ 8はホカのパフォーマンスシューズの中でもクッショニングは最高です。ステルス/テックコレクションはアッパーにリフレクターが入っているのもポイント。ただリップストップ素材だから長距離のランニングには向かないので、普段履きベースでデイリーに、日常とパフォーマンスをシームレスにつなぐスニーカーとして使っていきたいです。
個人的にはこのシルバーグレーにハーバー ミストというグリーン系カラーのアクセントが、90年代の僕が好きだったスニーカーを彷彿とさせるところにも惹かれました」(小澤)
ハイスペックでありながら日常生活にもフィットするデザイン性を両立するステルス/テック コレクション。ボンダイ 8 TSは撥水性素材のリフレクティブアッパーに軽量で弾力性のあるミッドソールを搭載。ハイテク系のデザインが、コーディネートに旬のテック感を添えてくれる。
BEST 3|JUNYA WATANABE MAN × Oakley FACTORY TEAM W-NAME CHOP SAW MULES
ジュンヤ ワタナベ マン×オークリーのコラボ第2弾
「ジュンヤ ワタナベ マンとオークリーのコラボは、昨年のFlesh Sandal(フレッシュサンダル)に続く第2弾です。前回はスリッポンでしたが、今回はCHOP SAW MULES(チョップ ソー ミュール)とよりスライドっぽいモデルをチョイスしています。重厚に見えるソールとアッパーの掛け算も、オールブラックだとクワイエットでバランスがいい。最近はこういったスライドもスニーカーとして認知される時代になりました。大人でも街履きとして使えるデザインが増えたのは喜ばしいことです。
オークリーは昨年末にブラジルのストリートブランド、ピエトともコラボでスリッポンTEETH(ティース)を出しています。このCHOP SAW MULESもそうですがストリートのいい部分を突いていて、90年代後半ぐらいのレイブ感がしっかり吸い上げられている。懐かしさもありつつ、今のムードにもフィットしています。
スニーカーファンの間で話題を集めるオークリーを大人が履く理由として、モードなエッセンスも加わったジュンヤ ワタナベ マンのコラボモデルはちょうどいいのではないでしょうか? 見る視点によって印象が変わるこのミュールは、春の足元のトライとしてかなりおすすめです」(小澤)
オークリー ファクトリー チームは、ブレイン デッドとオークリーのデザイナーチームで構成され、長期に渡って展開する実験的なコラボレーションプロジェクト。ジュンヤ ワタナベ マンのコラボでは、2000年代初頭に登場したCHOP SAWのミュール版、CHOP SAW MULESのアッパーの素材をスエードに替え、オールブラックに変更した。
BEST 4|On Cloudmonster 2
自分の生活を変えてくれた厚底スニーカー
「2022年に登場したオンのクラウドモンスターは、本当によく履きました。ある意味、僕の生活を変えてくれた一足です。オンを履くようになってからランニングが楽しくなりました。ケガもしていないので、自分にはとても合っているんでしょうね。今年2月に新作としてクラウドモンスター 2が出たというので、このSand | Frost(サンド|フロスト)を入手しました。
オンはサイドビューこそ似ているものの、配色のバリエーションが多く、スポーツショップとセレクトショップでは置かれている色が違っていたりして、それをチェックするのもある種の楽しみ。クラウドモンスター 2はPRの方に勧められたこの配色が気に入りました。ランで履くにはちょっときれいすぎる色なんですが…。
東京では最近、おしゃれな外国の観光客がオンを履いているのが目立ちます。いろいろな理由があると思いますが、もし日本に一週間旅行に行くなら何を履いていくか? と考えたとき、履きやすく、ライフスタイルに溶け込むオンが選ばれているんだと僕は思います。僕も海外出張に、このクラウドモンスター 2は最高だと思いました。朝、これで走って、その後の仕事服の足元にも難なく合わせられるシームレスな一足です」(小澤)
クラウドモンスター 2は、発売されるや人気スニーカーに躍り出た、オンの厚底モデルの新作。前作よりも大きくなったCloudTec®ミッドソールや、スーパーフォームを挟み込んでアップデートしたSpeedboard®によってモンスター級の推進力を実現。軽快なメッシュアッパー&スイス発のブランドらしい上品な配色で、おしゃれ好きにも支持されている。
BEST 5|PRADA Leather sneakers
ファッションに振り切った薄底トレーナー
「トライアングルプレートが付いたスニーカーが大人気のプラダですが、僕は個人的に今のトレンドをラグジュアリーに落としこんだシンプルなトレーナーを見つけて興奮しています。ここまでソールの薄いスニーカーは、スポーツシューズでは機能面から成立しにくいからか、見たことがありません。プラダは完全にファッションに振り切っているのが潔い。
60~70年代のシルエットのトレーニングシューズをベースにしつつ、ミリタリーやスポーツの要素を抜いてつくっている点も見事です。最近は、ソールが薄いほうがバランスがとりやすいファッションになりました。レディースのスニーカーの先端がすでに薄底になっているように、メンズでもこれから増えてくると思います。
プラダのこのスニーカーはとにかく革がいい。やわらかくて美しいレザーアッパーに、PRADAのロゴだけがゴールドで入るという。これぞクワイエットラグジュアリーの極みではないでしょうか? いろんな視点から、このプラダはねらい目だと思います」(小澤)
スポーティなインスピレーションと、現代的なミニマルシルエットを融合させたエレガントなレザースニーカー。ディアスキン(鹿革)のアッパーに、軽量の薄いラバーソールが洗練されたルックスの決め手。カジュアルからモードまで、この一足でコーディネートがアップデートできる。