合わせる服を選ばない汎用性抜群の黒スニーカー。その中でも特にデザインや機能のこだわったモデルを東京スニーカー氏こと小澤匡行さんがピックアップ。
01:Clarks Originals|Wallabee Eden Lo
本家が正解にしたヴィブラムソールアレンジ
「2023年秋冬にヴィブラムソールのミッドカット版をユニオンのポップアップで見たとき、2000年代のドメスティックの靴ブランドのシューズが蘇りました。僕ら世代にとってはクラークス=クレープソールだったけれど、今はモカシンスタイルのアッパーが象徴になって、若い世代はこのデザインが履きたいわけです。今までワラビーを履くときに、スニーカーブランドのクッション性の高いインソールをわざわざ入れて履いていました。僕個人の積年の“履き心地の気になるポイント”が解消され、そんな経緯からも欲しいと思った一足。オーセンティックなワラビー以外にもチャレンジしてみたいです」(小澤)
クラシックなアッパーとテクニカルなヴィブラムソールが融合した「ワラビー エデン ロー」。クラークスのアイコンシューズである「ワラビー」をモダンにアップデートした。ソフトなプレミアムスエードの素材はそのまま、耐久性に優れたヴィブラムソールでタフに履ける。
02:PUMA for TOMORROWLAND|PUMA SUEDE VTG
大人の入門にいいドレスアップ感が魅力
「MADE IN JAPANで別注したトゥモローランドの今作は、旧ユーゴスラビア製のスウェード VTGがベースということで、革靴のような細身の木型を使っています。足入れしてみると、革靴を履いているような感覚。ソールの縫い方、つま先のシェイプなど、そこまでヴィンテージっぽくする必要があるの? というくらい、こだわっている。カルチャーの匂いが強いプーマ スウェードのような名品は、大人になるにつれてハードルが高いスニーカーになってしまっている気がするんです。でもこの別注のように、40代にも似合うドレスアップ仕様にしてもらえると、名品を履くきっかけにもなっていいですよね」(小澤)
プーマのアイコンでもある定番、スウェードのアッパーを毛足の短いスエードで、フォームストリップをパンチングで表現したモダンな一足。シュータンやヒールのプーマキャットもブラックの型押しでシックな表情に。木型からつくりあげた、こだわりのエクスクルーシブモデルだ。
03:CONVERSE × Scye|JACK PURCELL
パイル仕様のジャックパーセルをモダンにアレンジ
「サイとコンバースの初コラボは、パイルアッパーというところに惹かれました。20代の頃にベルベルジンで買ったパイル素材のジャックパーセルを、昨年泣く泣く処分してしまったところだったんです。1988年にカラフルなパイル地仕様の『ジャックパーセル クラシック』が発売されたと、コンバースのオフィシャルサイトにも書かれています。聞けばサイの宮原(秀晃/パターンカッター)さんも持っていたそうで、それが今回のコラボにつながったようです。自分のエピソードを重ねましたが、パイルの質感は当時のものとは違う気がします。ソールも少し褪せたような白で、今っぽく履けるようにカスタマイズされているところもいいんですよね」(小澤)
英国クラシックをベースにしたモダンなリアルクローズが持ち味のサイ。初となるコンバースとのコラボでは、トウの“スマイル”ラインがアイコンのジャックパーセルをセレクト。少し起毛感のあるパイル地、ゴールドのヒールラベルなど、大人っぽいデザインが魅力だ。
04:MIZUNO×nonnative|WAVE MUJIN TL MID GTX
墨黒のような枯れたオールブラックが魅力
「履きやすさも機能もミシュランソールのグリップ力も抜群な、ウェーブ ムジンTL MID GTXに新色が登場しました。今回の黒は発色にこだわって、意図的にちょっと褪せたような墨黒になっています。真っ黒って純度が高くてストイックだから、年齢を重ねると肌や髪色の枯れ感と合いにくくなってきますよね。スエード、ニット、ステッチ、アウトソールと素材が変われば黒のトーンが変わることも計算されています。大人が履きやすいような黒のレンジを、シューズで表現しているのが素晴らしいと思いました」(小澤)
2023年4月にリリースされ、大好評を博したコラボモデルのブラックバージョン。完成までに4年の歳月を費やしたというストーリーもさながら、タウンユースだけでなくアウトドアにも耐えるハイスペックで広く支持された。ブラックはモード感が加わり、コーディネート幅も広がっている。
05:MIZUNO|WAVE MUJIN TL GTX
つい欲しくなるミズノの黒GORE-TEX
「オールブラックのGORE-TEXスニーカーを探すのは今や難しいことではなくなりましたが、歩きやすさやファッション感も含めて、ミズノの黒GORE-TEXモデルは僕の中で頭抜けています。本誌連載でも紹介したミズノ×マーガレット・ハウエルに続いて欲しくなったのは、このウエーブ ムジン TL GTX。2007年にトレラン用に開発されたそうですが当時は商品化されず、今回それをベースに今作が誕生しました。どこかY2Kムードがあるのは、そんな背景もあるからかと。デコラティブなデザインを圧着でソリッドに見せているミックス感覚も素晴らしい。ミシュランソールだから悪天候のロケや出張でもとても頼りになります」(小澤)
リップストップに合成皮革で複雑なレイヤーを施し、シルバーのアクセントを添えた、ハイスペックさとシンクロするデザイン。ベーシックなプロポーションは、スーツやジャケパンにもすっとなじむ。カジュアルコーディネートに大人っぽくテック感を加えたいときにも活躍してくれる。
「足元ばかり見ていては欲しい靴は見えてこない」が信条。近著に『1995年のエア マックス』(中央公論新書)。スニーカーサイズは28.5㎝。
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