季節や着こなしを問わず、コーディネートできる黒スニーカーは、いくら持っていても損はない。今回は、東京スニーカー氏こと小澤匡行氏オススメの12モデルを一挙ご紹介。愛用できる1足がきっと見つかるはず。
01:ASAHI|ASAHI DECK MIXTURE
「ファンの間ではなぜ復刻されないんだろう? と常々、疑問視されていたアディマティック。日本ではヒットしましたが、グローバルでは今ひとつだったらしく、ドイツ本社と温度差があったようです。今回はアトモスのディレクター、小島奉文さんの熱い思いが伝わってめでたく復刻に至りました。ワイドスリーストライプスやファットシューレースよりも僕的には横から見たときのこのソール! トウのジグザグにエクストリームなエッセンスがあって、今見てもやっぱりカッコいいと思います」(小澤)
アサヒ デッキはキャンバスアッパーに波型の切れ込みを入れたアウトソールが特徴の看板モデル。ラバーカラーをアレンジした”MIXTURE”シリーズに、春の新色でBLACK/BLUEカラーが登場。クリーンな着こなしにも、少しだけストリートのニュアンスを添えてくれる。
02:MERRELL|WORLD LEGEND 2 MOC
「履いていたら服好きに『しゃれてるね。どこの?』と聞かれそうなメレルのレザースリッポン。メレルのビジネスカジュアルライン、“ワールド”シリーズから出ています。スクエア気味のトウやサイドのステッチが象徴的なオパンカ製法(ソールの端を巻き上げて、アッパーに縫い付ける製法)で、リラックス感のある履き心地になっています。いなたさもあるけれど、ヌメリのある革の質感が上品で、軽量だからビジネスユースにもいい気がします」(小澤)
2002年の発売以来、不動の人気を誇るメレルの“ワールド”シリーズ。今作は2020年に登場したスリッポンのアップデート版だ。独自開発の「メレル エアークッション」など、ハイキングシューズで培ったノウハウをタウンシューズに凝縮。アッパーのレザーにポリッシュ加工を施すことで、ドレッシーなルックスに仕上げている。
03:ECCO | ECCO CHUNKY SNEAKER
「40代半ばに差しかかり、スニーカーカルチャーの圏外にあるプロダクトデザイン的なスニーカーが、ときに合わせやすく感じるようになりました。レザーの質感も高級で気になっていたエコー。自社でタナリー(革なめし工場)を持っていたり、サステナブルへの取り組みも進んでいたり。いろいろと興味深かったんですが、単純にデザインという観点でエコーはいいと思いました。実際、革の質はすごくよいので、高級な服を着るときにはエコーのようなスニーカーが合いますよね」(小澤)
あえてかかと芯を入れずにしなやかなレザーだけで構成したチャンキースニーカー。クロムフリーのなめらかなレザーの質感が生きるハイテク調のデザインを、人間工学に基づいたアナトミカルラスト(木型)と独自のFLUIDFORM™(フルイドフォルム/一体成型製法)ソールで快適な履き心地に仕上げた。
04:NIKE|DUNK HIGH RETRO
「これはもう配色の勝利です。裏原宿カルチャーで育った “ホワイトソール世代”にとっては、絶対落とせないカラーだと思いました。黒アッパー×白ソールは、軽さや抜け感が出せるので、個人的にも好きな配色。沈めは沈むほどいいというオールブラックのトレンドは、ときに重すぎることもあるので、ホワイトソールだとホッとします。クリーンにも履きたいけれど、少しヴィンテージ風に加工してヒモも変えたいので、2足買いしたいと思っています」(小澤)
80年代のバスケットシューズのアイコン、ダンクを質感の違うブラックレザー×ホワイトスウッシュで展開。パッド入りのハイトップは、ボリューム感のあるシルエットも魅力。万能なモノトーン配色は、誰もが手もとに置きたいと願う人気カラー。
05:New Balance|XC-72
「XC-72はフランスのファッションブランド、カサブランカもオールホワイトで別注していますが、黒のワントーンならこのゴツゴツしたソールもイケる気がしました。70年代のニューバランスのヘリテイジを今っぽくアレンジしたこのモデルは、旬のブーツカットパンツにもマッチします。僕の好きな991は合わないんですよね。革靴ではなくスニーカーに踏みとどまって、今のパンツのシルエットを楽しみたい人にはおすすめです」(小澤)
ノスタルジックな70年代のランニングシューズをベースに、ビッグロゴやレイヤードスタイル、無骨なソールユニットで印象的にアレンジ。細身のアッパーにフレアソールの今っぽいフォルムが、セットアップからカジュアルまで着こなしの鮮度を上げてくれる。
06:and wander|SALOMON XT-6 for and wander
「アンドワンダーって、実はアウトドアや都市生活を哲学的にとらえている硬派なブランドなんだな、と最近思って。サロモンに別注できるということが、その事実を証明している気がしました。しかも選んでいるのは、僕が好きなXT-6。12月前編ではインラインのものを紹介しましたが、同じモデルには見えないところがまたスゴい。パリで評判のセレクトショップ、ザ・ブロークン・アームがサロモンをピックアップしているように、アンドワンダーも感度高めの店に選ばれている点は共通しています」(小澤)
XT-6はトップアスリートとともに開発する「S-LAB」シリーズのトレイルランニングシューズがベース。ファッション性を重視する “サロモン・アドヴァンスド”ラインの一足だ。アンドワンダーの別注はブラックベースのモダンな配色が魅力。夜間の視認性を上げるリフレクターが、部分的に使われているのも高ポイント。
07:STONE ISLAND|S0340 LEATHER SHOES
「ストーンアイランドがコンフォートシューズでおなじみのエコーで生産をしたスニーカーが登場しました。別注とかコラボではないところがユニーク。90年代にヒットしたノースウェーブのような、エクストリームっぽいフォルムにも心が動きました。そのムードを表現しつつ、ヨーロッパっぽい大人のシューズに仕上げている。そして何より、ストーンアイランドのようなエッジのきいたブランドが、僕も最近気になっていたエコーとタッグを組んだことがうれしかった」(小澤)
シンプルなデザインながら、アッパーには布帛、レザー、リップストップ、スエードと複数の素材を採用。エコー独自のFLUIDFORM™(フルイドフォルム/一体成型製法)技術を採用したコンフォートスニーカー。パンチングレザーのパッド入りシュータンにStone Islandブランドロゴパッチ、羽根の外側サイドにもネームタブが。
08:PUMA×BEAMS|SUEDE MIJ BEAMS
「シュータンが分厚いスケートシューズがブームだった2000年代前半、プーマスエードのようなローテクに極太のファットシューレースを付け替えてスケシューっぽく履いていました。このビームスのコラボはそんな懐かしい思い出が蘇る一足。細身のヴィンテージ仕様のプーマスエードもいいけれど、夏場にショーツを穿く時は、レトロクラッシックでファットなスニーカーを合わせたいので、今回のビームスコラボはありがたい。この変化球デザインでつくりがいいい日本製ってのもポイントです」(小澤)
トレーニングシューズとして1968年に誕生し、カルチャーシーンでも愛されてきた歴史的名品、プーマ スエード。ビームスではファッションのトレンドである“ビッグシルエット”を、この名作スニーカーに落とし込んだ。厳選された素材や匠の技が光る最高峰のMIJ(Made in JAPAN)モデルで、大人にこそふさわしいスケートシューズに。
09:CONVERSE|ONE STAR J VTG
「僕が好きなコンバースはタイムライン、アディクト、メイド・イン・ジャパンの3つのシリーズ。中でも2014年にスタートしたタイムラインは、マニアックなモデルをピックアップすることでもスニーカーファンに注目されています。ワンスターの黒スエードが登場するのは意外ですが初だそうで、上から見た履き口のカーブライン、スエードのレザーの質感など理想的。タイムラインのモデルには日本のコンバースが本気でつくっている、ヴィンテージを超えた凄みをいつも感じています」(小澤)
1974年に登場して2年間しか製造されなかった幻のモデル、ワンスター。当時のラストを基にした細身のシルエット、星の大きさなど、オリジナルのディテールを忠実に再現しつつアッパーには肌ざわりのいい国産スエードを採用するなど、タイムラインならではのアレンジを加えた。日本製ならではの職人の技術でアップデート。
10:HOKA|ANACAPA LOW GTX
「ゴアテックススニーカーが登場した頃は、デザインはローテクで防水といった意外性のあるモデルがよかったりしましたが、今はゴアテックスらしいトレッキング系のモデルが履きたいと思うようになりました。ホカの新作はちょっとメカニックなデザインもツボ。切り替えのパターン、丸紐使い、ヴィブラムメガグリップアウトソールなど、トレックな雰囲気満点ながら、洗練されて見えるオールブラック。デザイン性の高さにはいつも感心します」(小澤)
2022年春夏の新作として登場。レザーワーキンググループ(LWG/環境に配慮した適切な革製品を推進)に認定された軽量なヌバックレザー、リサイクルポリエステルを使用したメッシュや大豆オイル由来原料を使用したソックライナーなど、サステナブルな防水ハイクシューズとしても話題に。
11:Jalan Sriwijaya|INTELLIGENCE SHOES
「普段からジャランスリウァヤをチェックしているわけではないんですが、ショールームでこのシューズを見たときに90年代から2000年代にかけてヒットしたカンペールやシルヴァノ マッツァ、当時のレザースニーカーブームの礎を築いたブランドのデザインと似たものを感じて。革靴を履くほどではないけれど、スニーカーって気分でもないよな…というときに最高のデザインだと思いました。特につま先のウィングチップ風の切り替えが大人っぽいです」(小澤)
ジャランスリウァヤはイギリス仕込みのハンドソーンウェルテッド製法を用いて、インドネシアで良質なレザーシューズを手がけるブランド。インテリジェンスシューズと銘打たれたスニーカールックの革靴は、上質なフレンチカーフのアッパーにエクストラライトソールというハイブリッドな傑作。
12:Hender Scheme|Polar
「このところレザースニーカーが気になっていたので、エンダースキーマの新作はツボです! ウィングチップをスニーカーとして見せるデザインが秀逸です。メダリオンやパーフォレーション、切り替えと素材のレイヤー…これを思いつくところもさすがなんですが、レザーシューズのようでいてフィットは完全にスニーカーというところに面白さを感じました。しかも履き心地がいい。ザ・ノース・フェイスとのコラボが話題を集めていますが、大人向けスニーカーとしてはこちらに軍配をあげたい」(小澤)
カーフやキップ、ステアとさまざまなカウレザー、ゴートレザー、オイルレザーなど多種のレザーをアッパーに採用。パーツごとに風合いがことなり、オールブラックながら奥行のある表情に。クッション性の高い低反発素材のインソール、踵まわりにはパッドをあしらい履き心地よく仕上げている。