プロデューサー、トラックメイカー、ギタリスト。さまざまな顔をもち、多彩に活動するShin Sakiuraさん。自身の新作アルバムのリリースとツアーを終えた今、表現者としての思いを聞いた。
Shin Sakiuraさん/プロデューサー・ギタリスト
テレビアニメ「BNA ビー・エヌ・エー」のエンディングテーマやCMソング、他アーティストへのサウンドプロデュースと幅広く活躍するShin Sakiuraさんが、3年ぶりに自身のフルアルバム『Inner Division』をリリース。ツアーも終えた今の心境を聞いた。
「久しぶりに、自分そのものを言葉や音で表現しようと思えたんです。今は新しい階段の一段目にいるような気分。もちろん数年間、根を詰めてきたクライアントワークにも大いに面白さがありました。誰かの表現したいことにクリエイティビティの引き出しを使って花を添えるというお手伝いなわけですが、ご一緒することで気づきがあり、刺激を受け取り、世界観も広がっていく。一人ではできないインプットとアウトプットを繰り返したからこそ、あらためて自分から湧き出るものを表現したいという欲に帰ってこれたような気がします」
新譜のタイトルの和訳は「内部部門」。全体を通して自分の在り方を表現したという歌詞はいかにして生まれたのか。
「違和感を感じたら断片的にメモをとる習慣があって…見返しながら居心地の悪さと向き合う作業がありました。一曲ずつ、自分の疑問をつぶすように作っていったんです。そこに時間をかけたからこそメッセージがはっきりしたし、個人的なしんどさも手放せた。この制作で音楽をする根源的な理由に立ち返れて、人からの見られ方やマーケティングに自分を当てはめる必要はまったくないと思えるように。今はなりたい人間でいるために、したいこと、言いたいことを全部やりたい(笑)」
しなやかな強さを手にしながら欲張って笑うSakiuraさんは、ファッションにアートと多趣味だ。 「服も物もストーリーに惹かれます。誰がどうしてつくっているか文脈も大切。写真を撮るのもすごく好き。音楽と別軸にある創作の時間って豊かなんですよ。最近は雑誌で写真連載を始めまして、また個展も開きたいです」
Shin Sakiuraさん
1994年大阪府生まれ。SIRUPやiriをはじめとするミュージシャンのトラックメイク、CMやアニメへの楽曲提供などの音楽プロデュース業からライブ演奏まで幅広い領域で活動中。2017年から音楽活動を本格化。’23年6月に自身3年ぶりとなるフルアルバム「Inner Division」発表後、初となる東名阪ライブツアーにて成功を収めた。
Hair:SHOTARO[SENSE OF HUMOUR]
Interview&Text:Takako Nagai