ADFミラノサローネデザインアワードなどの主要デザインコンペにて多数の受賞歴をもち、国内外を問わずデザイン業界から支持を集める気鋭のデザイナー、太田琢人さん。彼の目が見据えるものとは。
太田琢人さん/インテリアデザイナー
昨年、国際的なデザインコンペ、ADFミラノサローネデザインアワードで最優秀賞を受賞した太田さん。現在は創作活動の傍ら、武蔵野美術大学で助手も務めるが、けっしてインテリアデザイナーを志したことはないと話す。
「デザインより面白いことが見つかれば、違う道へ進む可能性もあります。自分の強みは、出されたお題に従いながら既存の枠組みにとらわれず発想すること。そのアイデアが必ずしもインテリアになるとは限らず、問題提起をはらんだアート作品のようになることも。いつ何が起こるかわからない世の中で、職種や制作の目的地を決め込むのは自分には不自然で…折々の新しさを柔軟に探したい。また、多くの人が信じる価値観は一度フラットに見るようにしています。今は醜いとされるものでも10年後には美しいと言われるかもしれない。疑う視点が大切です」
写真右下の木工作品は、小さな風や振動で小刻みに動き出すテーブル『Rubbish Things』。
「モノが人に与える影響に興味があります。生産しやすいか、使いやすいかはさておき、人の意思で操れないモノが身近にあったら面白い。目を離した隙に勝手に動く家具には今までにない感覚が生まれるはず」 確かに家具とコミュニケーションしているかのような時間を体感できる。
Takuto Ohta
1993年フランス生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻を修了。2021年に世界最大級のインテリアデザイン見本市であるADFミラノサローネデザインアワードで最優秀賞を受賞。現在は、武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科にて教務助手として勤務しながら制作活動を行っている。
Hair&Make-up:Akemi Ezashi[mod’s hair]
Stylist:Masanori Takahashi
Interview&Text:Takako Nagai