2023.09.22
最終更新日:2024.03.08

室木おすし「プロサウナーSHOWの熱波に焦がれて…」第10話/「スイスのサウナが想像を軽く超えてきたの巻(後編)」【UOMOマンガ】

プロサウナーSHOW & プロテイナーYUSUKE
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初体験となったジュネーブのサウナは混浴だった…。いやいや そこじゃない。驚くべきは男女ともに、みな全裸だったのだ…。 しかし、そんな衝撃はまだ序の口。水風呂もとい“湖風呂”で 天啓に打たれたプロサウナーが、その目で見た新たな景色とは?

室木おすし「プロサウナーSHOWの熱波にの画像_1

 まさかの混浴全裸サウナに狼狽したものの(前回参照)、心地よく汗をかいた後、満を持して湖風呂へ歩みを進める…。すると目の前に現れたのは、湖から今まさにあがってきたばかりの水のしたたるブロンド女性。もちろんこちらのマドモアゼルも全裸! その堂々たる様がまるで『ヴィーナスの誕生』ばりの神々しさを放っていたため、水着着用の自分のほうが逆に恥ずかしくなってしまった…。郷に入っては郷に従え。かくして俺は、一糸まとわぬあられもない姿でレマン湖に入水することになったのだ。


 しかし…冬だったせいもあり水温は氷点に近く、流れがあるので身の危険すら感じる。噂に聞くレマン湖風呂は正直、期待した心地よさとはかけ離れたものだった。だが、同時にこうも思った。本来サウナ浴の起源は、このくらいスリルに満ち、ある意味勇敢な営みだったのではなかろうか。ある者は冷たすぎる水の刺激に耐えかね、またある者はその流れに抗うことができず命を落としたかもしれない。そして、そんな危険を顧みず、火照ったカラダを湖で清めるこの崇高なルーティーンに心血を注いできたレジェンドたち。まるで五輪の聖火リレーのように、国境を越え、時代を超えてサウナカルチャーという灯を現代へ継承してきた先人へのリスペクトが、この胸に沸々と湧き上がってきたのだ。幾人もの血と汗によって紡がれてきたサウナ文化を絶やさないため、自分もまた命を賭してこれからも汗をかき続けていかねば! 湖に浮かびジュネーブの空を見上げながら、異国の地で俺は固くそう誓ったのだった。


室木おすし「プロサウナーSHOWの熱波に焦がれて…」第10話/スイスのサウナが想像を軽く超えてきたの巻(後編)_イラスト

SHOWのひと言メモ

防波堤の端にあるボート乗り場の階段のようなところを勝手に下りて湖に入るという、なんとも奇妙な入水システム。湖なのになぜか流れがあるし、深くて足はつかないし、この“自己責任感”はハンパない。ただ、目の前には100m級の大噴水、歴史ある旧市街の街並みと広大なアルプスの山々…こんな絶景の水風呂は世界中探してもきっとココだけ!

 

今回のサウナ:[ジュネーブ]バン・デ・パキの湖風呂

サウナ_ジュネーブ_バン・デ・パキの湖風呂

観光名所であるレマン湖のパキ防波堤内にあるサウナ施設。温度設定を変えた2種のドライサウナやスチームバス(ハマム)で汗をかいたら、 眼前に広がる名物の“湖風呂”に入水して心身ともにリラックス! 料金は20フラン。詳細はhttps://www.bains-des-paquis.ch/


※UOMO2019年6月号掲載。内容は本誌発売当時のものです。


室木おすしプロフィール
イラストレーター。マンガ家。1979年生まれの三児の父。ペンネームである「おすし」は、寿司屋でのアルバイト経験から。単行本『悲しみゴリラ川柳』『貴重な棒を持つネコ』『君たちが大人であるのと同じく』発売中。UOMOでは『プロサウナーSHOWの熱波に焦がれて…』に続き『プロテイナーYUSUKE』を連載。

 

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