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“シングル”と聞いて、ゴルフでもウイスキーでもなく、すぐに水風呂が思い浮かぶアナタは、かなりのサウナ通。10度以下の強冷水風呂・通称シングルの最高峰を求め、プロサウナーSHOWが名古屋の地に今、降り立つ!
扉を開けた瞬間、俺は言葉を失った。眼前に広がる景色は、まるでフィンランドの凍てつく森。そして、今にも氷点に達しそうな湖…ではなく水風呂。さしもの俺でさえ、この銀世界を前にすると身震いがする。いや、冷水に浸かる前から震えが止まらないのは、このアイスサウナの室温がマイナス25度だからだろう。
「あんな冷たい水に入る人の気が知れない」と、水風呂嫌いの人がよく口にする水温が18度程度。その半分くらいが俗に“シングル”と呼ばれる強冷水風呂だが、ここはなんと水温3度設定! いや、もうその冷たさたるや、筆舌に尽くし難いエクストラコールドですよ! 肌を刺す痛みで10秒と浸かっていられないし、凍った手すりに指をかけたら皮膚がひっついちゃうし、水風呂から上がったら脳髄を貫くような刺激でしばらくフリーズ状態(かき氷を食べた後、時間差で頭がキンとなるヤツ×10倍くらいの衝撃)。さすがに「こんなの二度と入るか!」と思うのだが、ガチガチにしびれた状態でイスに横たわっていると、なんとも不思議な感覚に襲われる。「あれ、なんだか暖かい…」。そう、身体の内側からじんわりとぬくもりが肢体を覆っていく。身体中の細胞が徐々に息を吹き返し、再び生きた血が通いだす。自らがまっさらに“リブート”されていく究極の愉悦に全身が包まれるのだ。ああ、これが3度の冷却体験…なんという心地よさよ。
何かを忘れたいとき、すべてをリセットしたいとき、俺は性懲りもなくまたその扉を開くだろう。そこに待つ究極の快感、“水風呂の向こう側”を求めて…。
SHOWのひと言メモ
驚異の室温マイナス25度&水温3度(季節により変動)のアイスサウナは、広々とした浴室内の一角にフィンランドの湖畔をリアルに再現した「ラップランド」コーナーにある。セルフロウリュが体験できる「森のサウナ」やデッキチェアで休憩ができる「湖のほとり」も設置され、小鳥のさえずりのBGMが流れる…そこはまさに本場フィンランドだ!
今回のサウナ:[名古屋]ウェルビー 栄店
シングルというか水温はなんと氷点!をうたう「アイスサウナ」が名物。通常の冷水風呂、フィンランドサウナ&ロウリュサービス、バイブラバスなどその他設備も充実。24時間営業。サウナ¥2,570、60分サウナ¥1,540、カプセル(宿泊)¥4,220~ TEL:052-241-7126
※UOMO2019年1月号掲載。内容は本誌発売当時のものです。
室木おすしプロフィール
イラストレーター。マンガ家。1979年生まれの三児の父。ペンネームである「おすし」は、寿司屋でのアルバイト経験から。単行本『悲しみゴリラ川柳』『貴重な棒を持つネコ』『君たちが大人であるのと同じく』発売中。UOMOでは『プロサウナーSHOWの熱波に焦がれて…』に続き『プロテイナーYUSUKE』を連載。