お値段以上のバンコク旅
なぜ今バンコクなのか? 海外旅行に自由に行ける状況になったのに、世界的な物価高や歴史的な円安で、いつの間にか大人でさえハードルが高いものになってしまったが、確かにバンコクはまだまだ気後れせず楽しめる都市ではある。ただ、40歳になる男がバンコクを目指すのは、そういった消極的な理由ではなく、もっと積極的な理由があるからだ。
バックパッカーがエキゾチックなムードを求め彷徨っていたのは昔の話。まず大人が無理なく滞在できる都市型リゾートホテルの開業ラッシュで、日本のビジネスホテルに泊まる感覚で気楽にリラックスして過ごせること。おいしいけど怪しく、お腹の心配をしていたローカルフードが急成長したアートセンスにより、舌だけでなく目も喜ぶお店に変貌していること。熱帯の気候を生かした、世界から注目されるクールなバーが誕生し、ナイトライフが一変していること。何より、ファッション業界が今、東南アジアへの救援物資から派生したバンコクの古着マーケットや名産品であるシルバージュエリー、韓国以上にクリエイティブなストリートシーンに熱視線を送っていることなどがある。つまりはかつての「安くうまい食」や「タイマッサージ」などの女性が喜ぶ目的だけでなく、おしゃれ好きな大人の男が一人でも満喫できる新しい魅力にあふれているのだ。
もういても立ってもいられないだろうが、航空券を予約したら、まず日本で「Grab」アプリをダウンロード。トゥクトゥクでの面倒な値段交渉は不要で、スマホで目的地に安心明朗会計でたどりつける。まずは早速、アツい古着マーケットへ。一見ゴミ山から血まなこで高価なお宝を探すプロをはた目に、ただ好きなデザインを求めて掘るむせかえるような至福の時間が始まる。
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