その本質は、エキセントリックなパフォーマンスではなく、誰もがもっている力の応用だ。映画などで見る憧れのストリートスポーツも、全年齢向けクラスに参加すれば気軽に挑戦できる。
憧れのパルクールを始めてみる
’18年来、日本でのパルクールの普及と環境の整備に尽力しているパルクール協会会長の佐藤惇さん。日頃より、未就学児から大人までを対象にしたさまざまなパルクールクラスを開催する氏に、「40代がパルクールを学ぶメリットは？」と聞くと、笑顔で答える。
「100個くらいあるのですが、今回は3つに絞ってお伝えしますね（笑）。一つ目は、物事のとらえ方が柔軟になること。パルクールは本来、目的地まで自分の好きな動きで自由に、安全に移動するための自己鍛錬です。危険を招く派手な動きはしません。それを踏まえ、壁や凹凸などの障害物があるルートで、どのように自分の身体を使うかを考えながら移動します。自分なりの移動を繰り返すことで、同じ障害に対して多角的な視点が生まれ、それをつなげていくことで『こんなやり方もあるかも』という無限にある思考・判断の分岐を体験できます。ビジネスでいうPDCAサイクルを、身体を動かす原始的な喜びとともに鍛錬することができるんです。二つ目は、好奇心を取り戻せるということ。大人になり経験が増えると、実際に経験していないことも、やったような気になって結果挑戦する気持ちが減ってしまいがち。パルクールでは、まず触って動くという動物的なアクションが思考の先にくるので『やってみないとわからないよね』とワクワクする気持ちを発見できるんです。三つ目は、いざというときに動ける身体を得られるということ。過去のとある災害で、災害そのものでケガをした人より避難所への移動や避難生活でケガをした二次災害のほうが多かったというデータがあります。実際、災害から助かっても、瓦礫の道を安全に歩いたり、素早く避難するために塀を越えたりする必要がある。僕はパルクールを防災スポーツだととらえていて、自分だけではなく家族を守るためにも取り組んでほしいと思っているんです」
Information
長いパルクール指導者の実績をもち、SASUKE常連選手である佐藤さんが、未経験者が5000円で参加できる全年齢向けの体験クラスを開催中。経験者用クラスもあるので、詳しくは「SENDAI X TRAIN」（www.sendai-x-train.com/）をチェック。
