居心地のよすぎるクルマを一人部屋にする
最近の自動車メーカーは、室内空間の充実に本気で力を入れている。というのもこれからの時代は、自動運転中にどう過ごすのか、EVを充電している間に何をするのか、というのが大きなテーマになるからだ。今回は「走る」「曲がる」「止まる」という“クルマの三原則”を無視して、聖域となり得る快適な室内空間をもつクルマにスポットを当てた。ファーストクラス並みの後席で寛ぐ、コンサートホールのような音響システムに感動する、充電しながら仕事に専念する…もはや「一人部屋」と呼べるクルマたちを紹介したい。
※価格はすべてオプション込み
試乗したのはこの3人

職業柄、インテリアのデザインはもちろん、テクスチャーも気になる。1年前からアウディ Q8 e-tronでEVのある生活を実践している。

インテリア関連の仕事も多く、家具には一家言をもつ。3人の子どもがいる5人家族で、6年前からトヨタ・アルファードを愛用。

5人家族でキャンプやスノーボードに行くため、室内の広さと積載性能は重要。愛車はポルシェ・タイカンとメルセデスのGクラス。
Mercedes-Benz|V 220 d EXCLUSIVE long Platinum Suite

広い空間に後席独立シート
まさに走るファーストクラス
¥13,550,000
2024年秋にマイナーチェンジを受けたVクラス。内装の質が向上したほか、ナビや空調を音声で操作できるMBUXが備わるなど装備も充実。「運転席はGクラスと大差ない雰囲気で“運転手感”はない。運転席でも快適に過ごせる新しいミニバンかも」と山㟢さん。標準、ロング、エクストラロングの3つのボディがある中、撮影車はロングの最上級版。前席背面には後席用のテーブルが備わり、リアシートは脚を投げ出せるほどの広さを確保している。水澗さんは、シートヒーターやオットマンが備わる2列目の“おもてなし”に感銘を受けていた。エンジンは2.0Lディーゼル。


佐藤佑樹「ゴージャスな気分になるけどゆったりと寛げる空間です」

水澗 航「レザーシートの高級感が気に入りました。ボルボの優しいラグジュアリーに対して、メルセデスは強いラグジュアリー。これはこれでいいなと思います」
Volvo|XC90 Recharge Ultimate Plug in hybrid

北欧家具のようなしつらえに囲まれ
極上のオーディオに耳を傾ける
¥13,109,650
3列シートを備えたフラッグシップSUV。撮影車両はプラグインハイブリッドで、最大で73kmのEV走行が可能。そして、オプションのBowers & Wilkinsのオーディオ(38万円)が外せない。コンサート会場にいるような精緻な音を体感できるほか、スウェーデンの有名ホールの特等席で聴く音を再現したイコライザーも装備。クラシックに限らず鳥肌モノの音を体感できる。内装も「場所によってトリムのステッチの配色を変えるこだわりが贅沢。華美ではない上質さに北欧的な温もりを感じます」と佐藤さん。水澗さんは「背中のカーブにフィットして包まれる感じは、北欧のラウンジチェアを思わせます」と絶賛していた。


水澗 航「デザインとテクスチャーを組み合わせるセンスが抜群です」

山㟢晴太郎「クルマではなく人間が主役というヒューマンセンタードなデザインがいいです。最近はカラオケよりクルマの中で歌うほうが多くて、この音質はうれしい(笑)」
Hyundai|The new IONIQ 5 Lounge

コンセント付きのクールな室内
いかにもEVらしい空間設計
¥5,742,000
2021年にヒョンデが発表したEVで、グローバルで累計24万台以上を販売している。’24年に大改良を受けバッテリー容量を拡大、航続距離が700kmを超える仕様も登場した。広々とした内装はリビングルームをイメージしており、バッテリーから電源を取れば充電中にリモート会議も快適にできる。「ユニバーサルデザイン的な発想のインテリアが、家電みたいで面白い」と佐藤さん。山㟢さんも「ほぼフラットになる運転席のリクライニングなど、移動以外の時間もデザインしている。読書や映画鑑賞など、家とは違う一人時間が過ごせそう」と好印象。


山㟢晴太郎「クルマというよりスマホの延長。ロボットに乗っているみたい」

水澗 航「運転席にもレッグレストがあって、フルリクライニングするのが驚き。金沢の実家に帰省するロングドライブにも役立つと思います」