働いて約20年、若い頃より自由に使えるお金と時間が増えた。だからこそ、ただモノを買うだけの思考は一度リセットして、買い物プラスアルファの選択肢ももつと、人生後半は豊かになる。新年は、そんな価値観のシフトには絶好のタイミング。今や一生で最も楽しい時期と言っても過言ではない40代を謳歌するための「センスのいいお金の使い方」ってなんだろう? 30人の識者に聞きました!
尾崎雄飛(SUN/kakke デザイナー)
ナポリまでスーツオーダー
自分の姿をつくるのは、服だけではなく行動だと思っています。だから僕はいろんなところに旅をして、いろんなことを学ぶようにしています。最近は南イタリアのスーツを勉強中ということもあり、ナポリまでビスポークスーツを仕立てに行きました。僕が尊敬するサルトはすでに高齢なので、彼が仕事をできるうちに、できるだけ多くのスーツを作っておきたい。6月に仮縫いをすませたスーツがもうすぐ完成するので、取りに行くときにまた一着スーツをオーダーする予定。センスのいいお金の使い方は、経験を買うことだと思います。
村上宏明(DISM ビューティークリエイター)
一念発起のヒゲ脱毛
以前は自分が欲しい“モノ”にお金を使っていましたが、今は美容と健康に対する“コト”にも投資することを覚えました。その一つがヒゲ脱毛。「ヒゲを剃る」という煩わしい毎朝の習慣から解放されただけでなく、肌が滑らかになったことでスキンケアの効果をより実感しやすくなったのもうれしい。
江口大介(江口洋品店・江口時計店 店主)
自分好みの家具の組み合わせ
家具への好奇心は年々増すばかり。もともとバウハウスをルーツとするものを好み、中でも複製できる工業的なデザインに惹かれがちでした。丸・三角・四角という構造設計が見て取れるもの。ほっこりした木ではなく、スチールやアルミのインダストリアルな素材。ただ、最近さまざまなルーツの家具を組み合わせることの面白さに気づいたんです。北欧を象徴するハンス・J・ウェグナーや有機的なシェイプのフィンユールのように、自分らしくないと思い込んでいた家具を取り入れることで、空間づくりの奥深い楽しみを感じています。