働いて約20年、若い頃より自由に使えるお金と時間が増えた。だからこそ、ただモノを買うだけの思考は一度リセットして、買い物プラスアルファの選択肢ももつと、人生後半は豊かになる。新年は、そんな価値観のシフトには絶好のタイミング。今や一生で最も楽しい時期と言っても過言ではない40代を謳歌するための「センスのいいお金の使い方」ってなんだろう? 30人の識者に聞きました!
藤田貴大(劇作家)
地方でしか買えない食材を買う
劇団の地方公演では座組で一軒家に泊まることも多く、自炊することもしばしば。自分が料理担当になって、メニューを考えながら地元のスーパーに行って買い物する時間がとても楽しい。最近も公演で長野や京都に行ったのですが、長野では野沢菜漬けやりんご、京都では京揚げに万願寺とうがらしなど、その土地土地の特産物を買って調理しました。今年の夏は制作をともにしたイタリアの俳優陣に料理を振る舞い、「日本で食べた食事でいちばんおいしかった」と喜んでもらいました。
嘉戸 浩(かみ添 店主)
現役の作家から買う
器でも家具でも、アンティークやヴィンテージは現代に残っている時点でもう、みんなのセンスに認められている。それに対して現役の作家の作品を買うのは、自分のセンスが試されているようで緊張します。だけど現役の方に正当にお金が回るべきだし自分はそのほうが好きです。
川上淳也(SEVEN BY SEVEN デザイナー)
見た目先行ではなく
生産背景を気にする
旅行でも出張でも、海外の行き先がアメリカやヨーロッパからインドなどのアジア圏に変わってきました。ファッションの中心地でお金を使うより、インドの田舎で暮らす、高度な技術者にきちんと対価を払いたい。買い物をするときも、目先のデザイン先行ではなく、生産背景を気にします。