温泉大国、ニッポン。中でも北海道は、温泉地の数が全国1位、総湧出量は全国2位を誇る。いいお湯に、いいメシに、いい景色。それだけあればもうおじさんの旅は大正解。癒やしのファンタジースプリングスを求めて、2泊3日の道東の湯めぐり旅へ出発!
丸美ヶ丘温泉ホテル
霧のため出発時間が変更となり、30分遅れの朝8時55分に帯広空港に着陸。この程度の遅れなんてドント・ウォーリーと言いたいところだが、欲張りな俺たちは行きたいところを詰め込んじゃったから、スケジュールは結構パンパン。でも、大丈夫。今回の旅の同行者は、過去に爆食旅でもタッグを組んだことがあるメンバー。お互いこの手のてんこ盛り企画は慣れたもの。道央、道東、どこでも行くよ。俺たち何? え? チーム友達!ってな感じでレンタカーに乗り込んで、まずは「丸美ヶ丘温泉ホテル」へ。
帯広の周囲に大きく広がる十勝平野。十勝で温泉といえば、そう、モール泉である。モール泉とは、長い時間をかけて堆積した植物の層を通って湧き出る、世界的にも稀少な温泉。植物性の有機物を多く含んだ湯は、肌触りが滑らかで、保湿効果も高く、美肌の湯として知られている。
音更の町を望む小高い丘の上に立つ丸美ヶ丘温泉ホテルは、敷地内に2本の源泉をもち、その濃厚なモール泉を求めて、オープン前から地元客が列をつくるほどの人気ぶり。浴室のトビラを開けた瞬間に感じるモール泉特有の油臭。うーん、たまらない! 浴室内には二つの湯船があり、どちらも琥珀色の湯が贅沢にオーバーフローしている。大きいほうは温度が高めで独特なヌル味が感じられ、小さいほうは37度ぐらいで浸かっていると身体中に泡がつく。はあ~、こりゃいい湯だわ。リピート率が高いのも納得だ。
丸美ヶ丘温泉ホテル
北海道河東郡音更町宝来本通6-2
【日帰り】10時~23時
無休
大人490円
ローマの泉
湯上がりの余韻に浸る間もなく帯広市内に引き返し、今度は「ローマの泉」へ。開業は1976年。当時の姿をそのまま今に残す館内は、どこか懐かしいレトロな雰囲気。ここのお目当ては、ずばりサウナ付きの家族風呂。モール泉と水風呂とサウナが貸し切りで楽しめちゃうというから、まさに温泉&サウナ好きにとっては最高の施設だ。
家族風呂は全部で14室。そのうち3室がサウナ付き。部屋に入ると、脱衣スペースがあり、ガラス越しに浴室が見える。扇形をした湯船は、ざっくり3分の2がモール泉、残りが水風呂というユニークな造り。まるで火鍋みたい。湯船のすぐ横にはサウナ室が備わり、これ以上ないコンパクトな動線を実現している。湯口からはコーヒー色のモール泉が絶えず注ぎ込まれ、鼻を近づけると、若干の硫黄臭を確認。同じモール泉でも場所によって特徴が違うことを実感する。サウナで汗を流し、地下水をかけ流したキンキンの水風呂でクールダウンしたら、床に寝転がってトド寝。湯船からあふれ出すモール泉が背中をゆっくりと流れていく。ああ~、気持ちいい。貸し切りだからこそできる至福の体験に大満足。
ローマの泉
北海道帯広市東9条南12
11時~23時
定休日:第2水曜
ファミリーサウナ1室60分2200円
ファミリーバス1室60分大人700円
アサヒ湯
天然の化粧水ともいわれるモール泉を立て続けに浴びたせいか、いつになく肌がすべすべになった気がするおじさん3人。「もっとモール泉を!」ということで、次に向かったのは「アサヒ湯」。超絶フレッシュなモール泉が堪能できると評判の温泉銭湯だ。そもそも温泉というのは、空気に触れることで酸化し、劣化していく。つまり、いい温泉とは新鮮な温泉のことであり、新鮮な温泉は当然のように成分が濃く、質が高い。「アサヒ湯」は、建物のすぐ横に源泉井戸があり、そこから湧き出る湯はいっさい空気に触れることなく湯船の中の壁面から投入されている。だから、鮮度は抜群。浸かった瞬間、とろとろの優しい肌触りで、粒状の気泡が全身にびっしりとまとわりつく。この驚異の泡つきはぜひ一度味わってほしい。それくらい強烈。
アサヒ湯
北海道帯広市東3条南14-19
13時~23時(日曜のみ朝湯あり6時~10時)
休業日:元日
大人490円
個性豊かなモール泉を一気に3湯もめぐり、すっかりほわほわになった俺たち。でも、時刻はまだ13時半。ここからは帯広市内を離れて、気になっていた野湯に行ってみることに。途中、南インド料理の店に立ち寄り、腹ごしらえ。温泉とスパイスで代謝も上がり、気分も上々。山道を走る1時間強のドライブを経て、目的地の然別峡野営場に着いた。
然別峡 鹿の湯
大雪山国立公園内に位置する然別峡には野趣あふれる天然の野湯がいくつか存在し、中でも秘湯ファンの間で人気なのがこの野営場の奥にある「鹿の湯」だ。辺りは正真正銘の大自然。暗くならないうちに戻ってこないと。去年、道東を震撼させた怪物ヒグマOSO18のドキュメンタリーを見た俺は、肉食化したクマの恐ろしさを知っている…。
野営場を通り抜けて進んでいくと、「鹿の湯」へ続く入り口が見えてきた。案内看板に従い、川べりへと下り、川沿いを慎重に歩く。
程なくして円形の露天風呂が現れた。あれが「鹿の湯」だ。野湯にしては手入れが行き届いていると聞いていたが、さすがにオフシーズンということもあって、荒れている。虫の死骸も浮いているし、だいぶワイルドすぎるよな…。なので、さっと浸かって、あとはイマジナリー入浴を楽しんだ。快適に入りたいなら、野営場が開く7月から9月がベストということか。
然別峡 鹿の湯
北海道河東郡鹿追町然別峡
24時間営業
無休
無料
森のスパリゾート 北海道ホテル
再び帯広市内に戻り、今夜の宿となる「森のスパリゾート 北海道ホテル」にチェックイン。
何を隠そうこのホテル、十勝のサウナブームの火つけ役として知られ、サウナストーンにモール泉をかける「モーリュ」をいち早く取り入れたり、壁に装飾した白樺の木にロウリュする「ウォーリュ」といったオリジナルの楽しみ方を提案している。水風呂は帯広市の飲み水としても使用される札内川の伏流水を使用し、一年を通じて低い水温をキープ。外気浴スペースも露天エリアにちゃんとある。文句なしのコンディションとクオリティに、気づけば5セット目に突入。部屋に戻るや否や、即爆睡であった。
森のスパリゾート 北海道ホテル
北海道帯広市西7条南19-1
【日帰り】5時30分~9時(最終入場)、14時~21時(最終入場)
無休
大人2000円
ーDay2へ続く